午前十時を過ぎたなら ―義父との秘密が始まる―

山田さとし

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第一部 恵の選択

第十二章 禁断の妄想

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「おおぉっ・・おほぉっ・・おぉっ・・・」
荒い息がリズムを刻んでいる。

「あっ・・あんっ・・あっあっ・・・」
甲高い声が後を追うように響いていく。

啓介は息子の嫁である恵を犯していた。
折れそうなくらいの細い腰を逞しい腕で抱えながら、激しく突き上げている。

恵は義父の腰の動きに喘ぎ声を上げながら、その広い背中に爪を立てていく。
普段の透き通る声が獣の叫びに変わる。

「あぁー・・い、いやぁー・・・
あうぅ・・・いいっ・・・
いくっ、いくぅ・・・」

白くしなやかな腕が男の首に巻きつき、激しく自分から腰を押し付けるように動いている。
啓介の荒い息を首筋に受けながら官能の海に溺れていくのだった。

※※※※※※※※※※※※※※※

【啓介と同居 三ヶ月目】 
【20●1年3月16日 PM10:00】

浴室で。

※※※※※※※※※※※※※※※

「め、めぐ・・み・・・」

男は湯船の中でたぎっているものを握り締めながら、美しい恵を思い描いていた。
愛してはいけない天使の裸体を。

啓介が夜遅く帰った時、自分の家屋のダイニングテーブルの上に封筒を見つけた。
薄いブルーが爽やかなその中には恵からの手紙が入っていた。

※※※※※※※※※※※※※※※

お義父さん、どうも有難うございました。
プレゼント、すごく嬉しかったです。

今日の日を私、一生忘れません。
家を買って頂いた時以上に感激しました。

私、本当に反省しています。
今まで、お義父さんに対して冷たい態度をとっていたことに。

(そう・・・感じていましたよね?)

そして、どうしてあんなに意固地だったのか今、すごく後悔しています。
お義父さんの本当の優しさを理解しないで、自分で勝手に悪いイメージを作っていました。

でも、お義父さんもいけないんですよ。

最初すっごい、大柄だったんですもの。
憶えてらっしゃいますか?

初めてお会いした時、私の事を武さんに
「オッパイが小さい」って言ったんですよ。

私、根に持つんですよねー。(フフ・・・)

そんなに小さいかなー?(グスン)

でも、いいんです。
この頃のお義父さん、とても優しくなりましたから。

これからも仲良くして下さい。
私もキツイ?女にならないよう心掛けます。

突然、電話で遅くなるとの事でしたので夕食のオカズを冷蔵庫にいれておきます。
お義父さんの好物の煮物もあります。
電子レンジで暖めて召し上がって下さい。

それから、お風呂も沸かしてありますから。
着替えとタオルも置いておきました。

あっ、明日の朝食は御一緒して下さいね。
きっとですよ。

フフッ・・・
あのブレスレット、すごく気にいっています。

高かったでしょう?

本当に有難うございました。
では、オヤスミナサイ。

追伸
それから、もう一つ・・・ゴメンナサイ。

私、ビックリしちゃいました。
でも気になさらないで下さい。

私も、もう直ぐ三十歳ですから。(ウウッ)

遠慮せず、こちらのお風呂も使って下さい。
今日、そちらのお風呂も調節しておきましたから大丈夫だと思います。

※※※※※※※※※※※※※※※

テーブルの上には啓介の食器が、お盆に布巾をかぶせて置いてあった。

小腹が空いていたので早速食べる事にする。
煮物に味が染みていて美味かった。

恵の気持ちが込められているようで嬉しかった。
啓介は嫌われていなかった事を素直に喜んだ。

そして恵の手紙を何度も読み返した。
これだけ正直に自分の気持ちを書く事は、気の強い嫁にとって大変な事であったろう。

自分も深く反省しながら風呂に入った。
自動調節されていて丁度良い湯加減だった。

湯船につかっている内に、暗記する程読んだ恵の文章が頭の中でグルグル廻っていた。

(プレゼント、すごく嬉しかったです)
恵が喜んでくれた。

(冷たい態度をとっていたことに)
やはり、嫌われていたのだ。

(すごく後悔しています)
でも、気持ちを変えてくれた。

(最初すっごい、大柄だったんですもの)
その通りや、すまん・・・。

手紙の文章なのに、まるで目の前で言われているように恵の顔が頭に浮かぶ。
雨の中、カタツムリを助けた時の儚い表情と優しい声が天使のように思えた。

(そんなに小さいかなー?(グスン))
ちゃう、あれは・・・違うんや。

(これからも仲良くして下さい)
あぁ・・めぐみ・・・俺の方からお願いするわ。

(私、ビックリしちゃいました)
そのフレーズにペニスが反応する。

手が股間に伸びていく。
今日、恵に見られたのである。

驚愕する恵の瞳に、自分の勃起したペニスが映っていたのだ。
恵はどんな思いだったのだろう。

(でも気になさらないで下さい)

本当にそうなのか?
興奮が沸き上がるのを止めることができなかった。

恵に、大好きな天使に自分のそそり立つコックを見せてしまったのだ。
息子の嫁に対して、あり得ないことなのに。

見せただけなのに不条理な切なさが興奮を呼ぶ。
まるで恵を犯してしまったかのように。

(私も、もう直ぐ三十ですから。(ウウッ))
そやない、お前は若い、天使みたいや・・・。

「めぐみ・・好きや・・・」
ずっと心に秘めていた言葉を呟いてみると、湯船の中でペニスが更に膨張していった。

「あぁ・・・めぐみっ・・めぐみぃ・・・」
啓介は愛しい天使の顔を浮かべながら、無意識に手を動かすのであった。

「おお・・おおぉ・・・」
湯船の水面が揺れ、音をたてていく。

嫌われたと思っていた。
実際にそうだったのだが。

その恵が、俺の天使が優しい手紙をくれた。
こんな嬉しいことはない。

啓介は少年に戻り、この心地良い恋心に浸っていた。
もう遠慮することはない。

息子の嫁だってかまわない。
好きなのだ、愛しているのだ。

想像の中ですら禁じていた想いを今、解き放つ。
昇りつめる瞬間、愛する女の名前を呼んだ。

「め、めぐ・・みぃ・・・」
啓介の想いが誰もいない浴室の中で響いていった。

秘め続けていた気持ちを解き放つ快感に震えながら、啓介は愛する天使の顔を湯気の中に浮かべていた。

「禁断の愛」に踏み込んでしまった瞬間を、啓介は切なく噛みしめるのだった。
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