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中学生編
娘vsお風呂
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ちっちゃい釣り竿がちっちゃい手で動かされ、プラプラ揺れる釣り糸の先端には釣り針ならぬマグネット。水面に漂うプラスチックの魚達も口に金属がついていて、やがて一匹のそれと釣り糸の先の磁石がくっついた。
「つれた!」
「上手だねー、友樹」
「つぎ、友美」
「はい」
弟の手から釣り竿を受け取り、友美もチャレンジ。こちらはあっという間に釣り上げてしまった。
「かんたんすぎる」
「そっか、友美にはもう簡単すぎるかー。あ、それなら」
思いついた私は体を揺らし、水面に波を作る。
「これならどうだー?」
「やってみる!」
「ともきのばんだよ!」
「おねえちゃんが一回やったら、つぎ友樹が二回」
「……」
どういうことかと考えフリーズしてしまう友樹。その間に友美は釣り糸を垂らす。波のせいで魚達がさっきより激しく動いていて流石に苦戦気味。
「むずかしい」
「ふふふ、これで釣れたら友美は天才釣り師だね」
「あ、つれた」
「天才だ」
「ほら、タオルをこうすると……クラゲみたいでしょ」
「ほんとだ、クラゲさん」
「くらげさん」
「さらにクラゲさんをお湯に沈めると~?」
「あわが出てきた!」
「こーら」
「コーラではないかなあ。でも、ちょっと美味しそうに見えるよね」
「よーし、それじゃあ肩まで浸かって十数えようね」
「うん」
たくさん遊んだ友美と友樹に仕上げとして体を温めさせる。夏場だからそんなに温まる必要無いとも思うけど、風邪をひかせたくないからね。
「ワン・ツー・スリー」
相変わらず英語で数える友美。おおかた美樹ねえの仕業だと思っていたら、実は友にいの教えだった。
『小さいうちから英語に慣れておいた方が、将来覚えやすいかなあと思って』
なるほど言語学者の友にいらしい。家にいる時もたまに美樹ねえと英会話して聞かせているそうだ。
(いいなあ、英語のできる夫婦……かっこいい)
私も勉強してるけど、まだ会話できるほどじゃないんだよね。
「テーン」
「よーし、それじゃあ上がろう」
友美は自力で浴槽の外へ。友樹はまだ小さいので抱き上げて一緒に。
「友樹えらいね、ちゃんと十数えるまで我慢できた」
「がんばった」
「頑張ったね」
かわいい。
脱衣場まで戻って、バスタオルでまず二人を拭く。
「わしゃわしゃ~」
「うわー!」
「あー!」
「あははは、よーし、それじゃあ行くのだ」
「ママー!」
「ぱーぱー」
裸で駆け出すちびっ子達。友美はそろそろここで服を着させた方がいいかな?
私も戸を閉め直し、持って来た着替えを着用。じいちゃん達と暮らしてた頃はともかく、今は父さんも友にいもいるし、流石に下着姿で出ていったりはしない。
「あがったよ~」
パジャマ姿で居間まで戻ると、キッズの着替えを手伝っていた大人達が振り返る。
「次、誰入る?」
「俺は最後で構わん」
「兄さんいつもそれね」
「美樹ちゃん入る?」
「そうね、たまには一緒に入りましょうか」
「先に入ったらって意味だよ!?」
美樹ねえ達がいると、いつもより賑やかだなあ。
「あゆゆ、かるたしよー」
早くも次の遊びに走る友美。元気だねほんと。
「先に髪を乾かさなきゃ駄目だよ、ほらおいで」
着せ替えられた友美と友樹を連れ、今度は洗面所に。ドライヤーで二人の髪を乾かしてやる。
「あうー」
「友樹、かみばさばさ」
「はい、クシ」
私がクシを手渡すと、友美はまず友樹の髪から梳いてあげた。たまに意地悪な時もあるけど基本的には良いお姉ちゃん。
次に友美の髪を梳いてあげていたら、今度は私の髪を整えたいと言ってきた。
「すわって!」
「髪は乾いたし、居間でやろうか」
というわけで、ちゃぶ台の前に座って友美のなすがままになる。
「みつあみしたげる」
「ありがとー」
髪を梳くだけだったはずがやってるうちに面白くなってきたらしい。三編みを作ったり、ゴムで縛ったりし始めた。
「あゆゆのかみ、ママのとちがうね」
「うらやましいわ~、サラッサラのストレート」
「お前はお袋に似たからな」
美樹ねえの髪はうねってるんだよね。あれ、父さん達のお母さん似なのか。
「父さんのそのツンツンヘアーは?」
「親父似だ」
「へ~」
そういえば写真で見たことあったな。父さんをもうちょっと老けさせて、さらに一回り大きくした上でヒゲを生やした感じの人だった。つまり九割くらい熊。
隣に立ってた美樹ねえ似の美人がおばあちゃんだったね。
「正道もあなた似ですね、間違い無く」
すでにツンツンヘアーになりつつある弟。将来父さんみたくでっかくなるのかな? 弟の方が背が高くなるとか、ちょっと悔しいかも。
「柔もこれ、麻由美ちゃんてか母さんの遺伝よね」
「そのようだな」
ママは私と同じまっすぐな髪。でも柔は美樹ねえっぽい髪質。
「しかし、目許は麻由美に良く似ておる」
「たしかに」
「つまりママと美樹ねえを足して割った感じに育つのかな?」
「どうかしらね。まだ赤ちゃんだもの、これからどんどん変わっていくわよ」
そか、まだまだ先はわからないんだ。
「楽しみだなあ」
大きくなったら今日みたいに一緒に海で遊んだり、お風呂に入ったりしたい。
「早く大きくなれよ」
「そう早く成長されたら、親の楽しみが減る」
せっかちな 娘の期待 背負う双子
「私、そんなにせっかちじゃないでしょ」
「いや」
「兄さんとどっこいどっこいよ」
「俺もなのか……」
「自覚が無い」
「できた!」
──この夜、私は友美にせがまれ力作だという芸術的な髪型のまま眠ることになった。
翌日、癖がついちゃってて美樹ねえに爆笑された。さおちゃんに写真を送ったらもっとウケた。
『パンク!』
『アートだよ!』
「つれた!」
「上手だねー、友樹」
「つぎ、友美」
「はい」
弟の手から釣り竿を受け取り、友美もチャレンジ。こちらはあっという間に釣り上げてしまった。
「かんたんすぎる」
「そっか、友美にはもう簡単すぎるかー。あ、それなら」
思いついた私は体を揺らし、水面に波を作る。
「これならどうだー?」
「やってみる!」
「ともきのばんだよ!」
「おねえちゃんが一回やったら、つぎ友樹が二回」
「……」
どういうことかと考えフリーズしてしまう友樹。その間に友美は釣り糸を垂らす。波のせいで魚達がさっきより激しく動いていて流石に苦戦気味。
「むずかしい」
「ふふふ、これで釣れたら友美は天才釣り師だね」
「あ、つれた」
「天才だ」
「ほら、タオルをこうすると……クラゲみたいでしょ」
「ほんとだ、クラゲさん」
「くらげさん」
「さらにクラゲさんをお湯に沈めると~?」
「あわが出てきた!」
「こーら」
「コーラではないかなあ。でも、ちょっと美味しそうに見えるよね」
「よーし、それじゃあ肩まで浸かって十数えようね」
「うん」
たくさん遊んだ友美と友樹に仕上げとして体を温めさせる。夏場だからそんなに温まる必要無いとも思うけど、風邪をひかせたくないからね。
「ワン・ツー・スリー」
相変わらず英語で数える友美。おおかた美樹ねえの仕業だと思っていたら、実は友にいの教えだった。
『小さいうちから英語に慣れておいた方が、将来覚えやすいかなあと思って』
なるほど言語学者の友にいらしい。家にいる時もたまに美樹ねえと英会話して聞かせているそうだ。
(いいなあ、英語のできる夫婦……かっこいい)
私も勉強してるけど、まだ会話できるほどじゃないんだよね。
「テーン」
「よーし、それじゃあ上がろう」
友美は自力で浴槽の外へ。友樹はまだ小さいので抱き上げて一緒に。
「友樹えらいね、ちゃんと十数えるまで我慢できた」
「がんばった」
「頑張ったね」
かわいい。
脱衣場まで戻って、バスタオルでまず二人を拭く。
「わしゃわしゃ~」
「うわー!」
「あー!」
「あははは、よーし、それじゃあ行くのだ」
「ママー!」
「ぱーぱー」
裸で駆け出すちびっ子達。友美はそろそろここで服を着させた方がいいかな?
私も戸を閉め直し、持って来た着替えを着用。じいちゃん達と暮らしてた頃はともかく、今は父さんも友にいもいるし、流石に下着姿で出ていったりはしない。
「あがったよ~」
パジャマ姿で居間まで戻ると、キッズの着替えを手伝っていた大人達が振り返る。
「次、誰入る?」
「俺は最後で構わん」
「兄さんいつもそれね」
「美樹ちゃん入る?」
「そうね、たまには一緒に入りましょうか」
「先に入ったらって意味だよ!?」
美樹ねえ達がいると、いつもより賑やかだなあ。
「あゆゆ、かるたしよー」
早くも次の遊びに走る友美。元気だねほんと。
「先に髪を乾かさなきゃ駄目だよ、ほらおいで」
着せ替えられた友美と友樹を連れ、今度は洗面所に。ドライヤーで二人の髪を乾かしてやる。
「あうー」
「友樹、かみばさばさ」
「はい、クシ」
私がクシを手渡すと、友美はまず友樹の髪から梳いてあげた。たまに意地悪な時もあるけど基本的には良いお姉ちゃん。
次に友美の髪を梳いてあげていたら、今度は私の髪を整えたいと言ってきた。
「すわって!」
「髪は乾いたし、居間でやろうか」
というわけで、ちゃぶ台の前に座って友美のなすがままになる。
「みつあみしたげる」
「ありがとー」
髪を梳くだけだったはずがやってるうちに面白くなってきたらしい。三編みを作ったり、ゴムで縛ったりし始めた。
「あゆゆのかみ、ママのとちがうね」
「うらやましいわ~、サラッサラのストレート」
「お前はお袋に似たからな」
美樹ねえの髪はうねってるんだよね。あれ、父さん達のお母さん似なのか。
「父さんのそのツンツンヘアーは?」
「親父似だ」
「へ~」
そういえば写真で見たことあったな。父さんをもうちょっと老けさせて、さらに一回り大きくした上でヒゲを生やした感じの人だった。つまり九割くらい熊。
隣に立ってた美樹ねえ似の美人がおばあちゃんだったね。
「正道もあなた似ですね、間違い無く」
すでにツンツンヘアーになりつつある弟。将来父さんみたくでっかくなるのかな? 弟の方が背が高くなるとか、ちょっと悔しいかも。
「柔もこれ、麻由美ちゃんてか母さんの遺伝よね」
「そのようだな」
ママは私と同じまっすぐな髪。でも柔は美樹ねえっぽい髪質。
「しかし、目許は麻由美に良く似ておる」
「たしかに」
「つまりママと美樹ねえを足して割った感じに育つのかな?」
「どうかしらね。まだ赤ちゃんだもの、これからどんどん変わっていくわよ」
そか、まだまだ先はわからないんだ。
「楽しみだなあ」
大きくなったら今日みたいに一緒に海で遊んだり、お風呂に入ったりしたい。
「早く大きくなれよ」
「そう早く成長されたら、親の楽しみが減る」
せっかちな 娘の期待 背負う双子
「私、そんなにせっかちじゃないでしょ」
「いや」
「兄さんとどっこいどっこいよ」
「俺もなのか……」
「自覚が無い」
「できた!」
──この夜、私は友美にせがまれ力作だという芸術的な髪型のまま眠ることになった。
翌日、癖がついちゃってて美樹ねえに爆笑された。さおちゃんに写真を送ったらもっとウケた。
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