関白の息子!

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秀頼ルート 徳川家存続作戦

秀頼の帰郷(エロ度☆☆☆☆☆)

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「母上、ただ今戻りました」

 懐かしの大阪城に戻るや否や、先ずはお千の件を心配しているであろう母上の元に行く。
 どうせ裏内にいるだろうからと真っ直ぐに向かってみたが、母上の方は何処かに行こうとしていたのかちょうど廊下でばったりとなった。

「ひ、秀頼!? い、いえ陛下。どうして大阪に?」

 驚くのも無理はない。
 母上からすればお千がじきに帰るとは思っていても、俺が帰ってくるのは想像もしていなかったのだろう。

「お千はもうしばらく帰りません。代わりに今回の件の処理のために俺が戻ってきました」

「な、なにを言っているのですか!? 子供の我儘を通せる場合ではないのですよ!?」

 怒ったようにして狼狽えながらも言われるが、まぁ、それも仕方ない。
 予め文にでもして知らせておけばよかったのかもしれないが・・・・・・。
 まぁ、俺の方も最速で帰ってきたから、結局は大した時間差も無かっただろう。

「一応ちゃんとした理屈も付けてあります。まぁ、多少強引なのは認めますがね。それより秀忠や江叔母上の身柄がどうなったか知りませんか?」

「・・・・・・陛下。どうか公平なご判断を」

 俺の質問には答えず、母上はただ静かに臣下の礼を取ながらそう告げてくる。
 形式上ではあるが、母上もまた俺の臣下であるというのも確かなのだ。
 そして、今は臣下として俺に正道を通せとでも言うのだろう。

「大丈夫です。ちゃんと公平に、それでも助けられるように考えました。ただ、そのためには秀忠たちに抵抗されては不味いんです」

「・・・・・・本当、なのですか?」

 母上が大粒の涙を流し始める。
 江叔母上は実の妹だし、その子達は当然全員が姪や甥、お千とお珠に至っては養子として育てた時期もある。
 当然、母上だって助けたいだろうに、それでも心を鬼にして言っていたのだ。

 だが、もしも秀忠が破れかぶれになって抵抗した場合、罪が重くなり差し引きの計算が合わなくなる。

「そういうことでしたら大丈夫です。秀忠殿や江たちは民や兵の無事を条件に、全員無抵抗で護送部隊を受け入れたとのことですから。あと三日もすれば大阪に到着するそうです」

「良し! それなら何とかなるはずだ!」

 俺の言葉に母上の方も少し安堵の顔を見せる。
 ただ、未だに納得のいかないままの表情で俺に質問してくる。

「それにしてもどうやって助けると言うのですか? 信繁殿や色々な者達とも相談しましたが上手く助ける方法はないと言う結論でしたのに」

「ああ、それについては妙案を思いつきました。お千に戦功を立てさせ、その功と引き換えに徳川家の救済措置に変えます」

 その瞬間、確かに場の空気が凍り付いたように感じた。

 サラッと言いはしたが、この時代においては本当にとんでもないことを言っているのだ。
 母上の顔も最初はきょとんとしていたのに、みるみるうちに青ざめていくのが分かる。

「な、なっ、なにを言っているのです!?」

 戦功を立てるということはつまり戦場で指揮をするということだ。
 俺の代では割と補給部隊にも褒賞を与えているとはいえ、やはり前線で闘う部隊に比べればその功は雲泥の差だろう。

「それくらいの妙手でなければ、世を騒がせずに徳川の人間を生き残らせることは出来ない。そう言っているのです。母上自身も仰ったでしょう? 上手く助ける方法は無い、仰る通りです私達も助ける方法は思いつきませんでした。だから、お千自身に助かってもらうしかないんです。俺はそれまでの間、徳川の人間に危害が加わらぬように見張る。そのために大阪に帰って来たのです」

 俺の言葉に、母上も呼吸を忘れて聞き入っている。

「確かに、お千一人の命を助けるだけなら簡単です。でも、それではお千も納得できない。秀忠に戦功を立てさせようとしても、既に一度限りの救済措置は使ってしまっています。だから、徳川の人達を救うためには秀忠以外の徳川の人間が戦功を立てるしかないのです。そして、今それが出来るのはお千だけなんです。だって他の人間は既に罪人として捕らえられているのですから。それに俺が打てるだけの手は打ちます。お千ならきっとやってくれます。今はお千を信じて俺達は俺達がするべきことをしないといけないんです!」

 一息に母上に俺の考えを伝える。

 姪として産まれ、養女として育て、義理の娘になりと、この13年間常に愛情を傾けてきた少女が銃火が飛び交う戦場に立っている。
 戦国の世に産まれた母上といえど耐え難い話のはずだ。

「・・・・・・お千はそれで決心したのですね?」

「はい。両親や弟妹を救う可能性を導き出したことに感謝していました。母上、お千のためにも俺達は俺達の成すべきことをしましょう」

 もう一度母上に呼び掛ける。
 母上は一度空を仰ぎ、グッと涙を堪え、一度深呼吸をすると俺に向き直る。

「私はなにをすれば良いのです?」

「ありがとうございます。先ず、裏内には座敷牢がございましたね?」

「え、ええ。裏内の規則に違反した者を拘束するためのものがあります」

 実はそこに尋問部屋や一通りの拷問道具があることも知っている。
 裏内の規則は絶対に遵守しなくてはならないということだ。
 まぁ、俺の妻や子供達もいるのだからそれも仕方ない。

「それで、そこには何人入りますか?」

「・・・・・・詰めれば20人は」

 そんなに大きいとは思わなかったが、結構入るんだな。

「徳川の女性達は皆そこに入れることになります。出来る限り良い環境にしておいてください。調べさせたところ、秀忠には2男5女と江叔母上。また兄弟の松平忠輝とその正室、他に各地に嫁いでいる家康の娘が3人。その子供達が8男2女。なので、女は11人です。あ、お千は抜きますので」
「そうですか、ではそのように支度しておきましょう」

 さて、これで女性側はなんとかなる。
 あとは男性側だが、12人、か。

「お願いします。全ての者の尋問は私が行いますので」

「・・・・・・どのように?」

「表向きは厳しく、実際はお珠と遊んでます」

 きっとお珠も可愛らしく成長しているだろう。
 嫁いだということも婚約したとも聞かないし・・・・・・。
 だが、今回のことで、もう徳川家の子女を貰おうと言う人間は少なくなるだろう。

「秀頼、お珠ももう11ですよ。それほど子供ではないのです」

「ハハ、大きくなったでしょうね」

 不謹慎かもしれないが、少しだけ楽しみにさせてもらおう。

「他に私に出来ることは?」

「・・・・・・今はそれだけで大丈夫です」

  いざ動くべきときのために今は下手に動かない方が良い。
  戦うべき者が見えない今は。

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