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小料理屋「美菜」
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「わぁはっはっはっは。」
「くっくっくっく。」
爆笑する吉良と蔵良の前で白野は赤面するしかなかった。
「美菜」に行く道すがら、黒江が、どうやって白野と知り合ったかを話したのだ。無論、別れ際のことはぼかして。
「そんな笑わないでください。」
「仕方ないでしょ、事実なんだから、おバカ。」
「ま、男なんてこんなもんよね。」
「蔵良君、手厳しいねぇ。」
散々白野が言われていると、吉良と蔵良が足を止めた。
「着いたよ、ここだ。」
吉良は暖簾をくぐった。
「いらっしゃい、センセ。あら、蔵良さん以外に若い人が。」
「女将、今日は事務所の新人を連れてきた。座敷で頼む。」
「かしこまりました。一番奥にどうぞ。」
座敷は掘りごたつだった。
吉良と白野が奥側に、入口側に蔵良と黒江が座った。
「お飲み物は?」
「ビールを、君たち飲むかね?」
「私は未成年ですから。」
「俺もちょっと。」
「女将、ビールを2本、グラスは2つで。若いのにはウーロン茶を。料理は、若い人向けに頼む。」
「かしこまりました。」
女将は一礼して下がった。
「お嬢ちゃんは飲まないだろうと思ってたけど、あんたも飲まないんだね。」
「アルコールって飲んだら脳にダメージあるじゃないですか。超能力に影響が出るんじゃないかと思うと。」
「大丈夫と思うけどねぇ。あたしなんて散々飲んでから超能力使えるようになったけど。」
「いや、『Mark2eyeball』が10m離れた時に目を開けるとすごい頭痛に襲われるんですよ。だから、影響ありますよ。」
『Mark2eyeball』のことは、黒江が出会った時のことと一緒に説明している。
「頭痛がするということは、脳にダメージがあるということだ。でも今でも使えるのだから飲んでも大丈夫ではないかな。」
「う~ん、そう言われると大丈夫のような。チャレンジしてみようかな。」
「お待たせしました。」
ちょうど女将がビールなどを持って来た。
「女将、グラスをもう一つ頼む。」
「もう一つですね、すぐに。」
女将は、すぐに持ってきた。
「無理に飲む必要はないぞ。」
吉良は、白野の前に置かれたグラスにビールを注いだ。
「いや、チャレンジしてみます。」
「無理しないでね。」
「飲み過ぎないようにはするよ。」
白野はビールのグラスを手にした。
「では、乾杯しよう。白野君と黒江嬢の入所祝いに乾杯」
「乾杯!」
唱和して、白野はグラスに口をつけた。
「白野さん、大丈夫?」
「ぷはぁ。」
白野は、空のグラスを卓に置いた。
「いけるようだが、大丈夫か?」
「大丈夫です。」
「『Mark2Eyeball』出せる。」
「やってみる。」
白野は目を閉じ念じた。
白野の脳裏に映像が浮かんだ。
「大丈夫、吉良先生の顔が見える。」
「うん、青い人型も見えるよ。大丈夫みたいね。」
黒江の視界の中で青い人型が動く。掘りごたつから立ち上がり、吉良の後ろに回る。
「吉良先生の頭も見える。よく光ってるよ。」
「余計なことを言わない。」
吉良は後ろを向いたが何も見えない。
「蔵良君も見えないかね。」
「見えないですね。黒江ちゃんが超能力が見えるというのも確かかもしれません。」
蔵良は、右手の人差し指を立てた。
「白野くん、この指を見て。」
「はい。」
「この指を追いかけられる。」
「できますよ。」
蔵良は指を動かす。左に右に動かす。
「ついてこれてる?」
「大丈夫ですよ。」
「大丈夫だと思います。『Mark2Eyeball』の目が左右に動いてます。」
「ついてきな。」
スピードを上げて左右に指を振る。
「全然平気ですよ。」
「これなら。」
蔵良は指を上げた。
「問題なぁしっ!。」
「これならどうよ。」
蔵良は指を下げ、卓の下に潜り込ませた。
『Mark2Eyeball』もそれに追従して…。
「このおバカァ!」
黒江がスカートのすそを抑えた。
「私スカートなんだよ。覗き込まないの!」
「ご、ごめん。」
白野は目を開いた。『Mark2Eyeball』は消え失せ、青い光が白野の頭に吸い込まれる。
「ほんと、おバカなんだから。」
「ごめんなさい。」
「蔵良君、ちょっといたずらが過ぎるぞ。」
「すいません、ちょっと黒江ちゃんに悪かったですね。気が付くと思ったんですが。」
蔵良はビールに口をつけた。
「ひょっとして気が付いてやってない?」
「気づいてないですよ!」
「本当でしょうね。おバカ。」
黒江のジト目が居心地悪い。白野はビールをあおり、グラスを一気に空にした。
「あんまり飲み過ぎないようにね。一つ間違うと吐いたもので死ぬよ。あたしの元旦那もそれで死んだんだ。」
「くっくっくっく。」
爆笑する吉良と蔵良の前で白野は赤面するしかなかった。
「美菜」に行く道すがら、黒江が、どうやって白野と知り合ったかを話したのだ。無論、別れ際のことはぼかして。
「そんな笑わないでください。」
「仕方ないでしょ、事実なんだから、おバカ。」
「ま、男なんてこんなもんよね。」
「蔵良君、手厳しいねぇ。」
散々白野が言われていると、吉良と蔵良が足を止めた。
「着いたよ、ここだ。」
吉良は暖簾をくぐった。
「いらっしゃい、センセ。あら、蔵良さん以外に若い人が。」
「女将、今日は事務所の新人を連れてきた。座敷で頼む。」
「かしこまりました。一番奥にどうぞ。」
座敷は掘りごたつだった。
吉良と白野が奥側に、入口側に蔵良と黒江が座った。
「お飲み物は?」
「ビールを、君たち飲むかね?」
「私は未成年ですから。」
「俺もちょっと。」
「女将、ビールを2本、グラスは2つで。若いのにはウーロン茶を。料理は、若い人向けに頼む。」
「かしこまりました。」
女将は一礼して下がった。
「お嬢ちゃんは飲まないだろうと思ってたけど、あんたも飲まないんだね。」
「アルコールって飲んだら脳にダメージあるじゃないですか。超能力に影響が出るんじゃないかと思うと。」
「大丈夫と思うけどねぇ。あたしなんて散々飲んでから超能力使えるようになったけど。」
「いや、『Mark2eyeball』が10m離れた時に目を開けるとすごい頭痛に襲われるんですよ。だから、影響ありますよ。」
『Mark2eyeball』のことは、黒江が出会った時のことと一緒に説明している。
「頭痛がするということは、脳にダメージがあるということだ。でも今でも使えるのだから飲んでも大丈夫ではないかな。」
「う~ん、そう言われると大丈夫のような。チャレンジしてみようかな。」
「お待たせしました。」
ちょうど女将がビールなどを持って来た。
「女将、グラスをもう一つ頼む。」
「もう一つですね、すぐに。」
女将は、すぐに持ってきた。
「無理に飲む必要はないぞ。」
吉良は、白野の前に置かれたグラスにビールを注いだ。
「いや、チャレンジしてみます。」
「無理しないでね。」
「飲み過ぎないようにはするよ。」
白野はビールのグラスを手にした。
「では、乾杯しよう。白野君と黒江嬢の入所祝いに乾杯」
「乾杯!」
唱和して、白野はグラスに口をつけた。
「白野さん、大丈夫?」
「ぷはぁ。」
白野は、空のグラスを卓に置いた。
「いけるようだが、大丈夫か?」
「大丈夫です。」
「『Mark2Eyeball』出せる。」
「やってみる。」
白野は目を閉じ念じた。
白野の脳裏に映像が浮かんだ。
「大丈夫、吉良先生の顔が見える。」
「うん、青い人型も見えるよ。大丈夫みたいね。」
黒江の視界の中で青い人型が動く。掘りごたつから立ち上がり、吉良の後ろに回る。
「吉良先生の頭も見える。よく光ってるよ。」
「余計なことを言わない。」
吉良は後ろを向いたが何も見えない。
「蔵良君も見えないかね。」
「見えないですね。黒江ちゃんが超能力が見えるというのも確かかもしれません。」
蔵良は、右手の人差し指を立てた。
「白野くん、この指を見て。」
「はい。」
「この指を追いかけられる。」
「できますよ。」
蔵良は指を動かす。左に右に動かす。
「ついてこれてる?」
「大丈夫ですよ。」
「大丈夫だと思います。『Mark2Eyeball』の目が左右に動いてます。」
「ついてきな。」
スピードを上げて左右に指を振る。
「全然平気ですよ。」
「これなら。」
蔵良は指を上げた。
「問題なぁしっ!。」
「これならどうよ。」
蔵良は指を下げ、卓の下に潜り込ませた。
『Mark2Eyeball』もそれに追従して…。
「このおバカァ!」
黒江がスカートのすそを抑えた。
「私スカートなんだよ。覗き込まないの!」
「ご、ごめん。」
白野は目を開いた。『Mark2Eyeball』は消え失せ、青い光が白野の頭に吸い込まれる。
「ほんと、おバカなんだから。」
「ごめんなさい。」
「蔵良君、ちょっといたずらが過ぎるぞ。」
「すいません、ちょっと黒江ちゃんに悪かったですね。気が付くと思ったんですが。」
蔵良はビールに口をつけた。
「ひょっとして気が付いてやってない?」
「気づいてないですよ!」
「本当でしょうね。おバカ。」
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