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入学式
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白野は、のたのたとYシャツを袋から出した。
昨日、帰ってから寝て、夕方に起きた。それからしばらく考え事をし続けたため夜になってもなかなか寝付けず、朝起きたら寝不足で頭が回らない。
Yシャツを着て、白野がぼーっとしていると携帯が鳴った。
「もしもし。」
「あ、白野さん起きてた。」
黒江の声で頭がしゃんとした。
「起きてたよ。黒江さん、どうしたの?」
「今日、入学式でしょ。寝坊して遅刻しないかと思って。」
「大丈夫だよ。さすがに入学式を遅刻したりしないって。黒江さんの方はどう?」
「私はとっくに終わってるわよ。ただ、寮の中が準備でバタバタしてる。寝坊した人もいるみたいで心配になって。昨日というか、一昨日というか徹夜してるみたいだから。」
「俺は、後ネクタイ締めて上着きるだけ。インカメラの画像送ってもいいくらいだぜ。」
「しなくていいよ。ちゃんと来てね。」
「わかった。」
電話は切れた。
「さて。」
白野は姿見と向かい合った。上半身はYシャツを着ているが、下半身はパンツと靴下だけだ。インカメラの画像なら誤魔化せるだろうが、実際に見られたら「おバカ!」と言ってひっぱたかれること請け合いである。
入学式から、その後のクラス分け、オリエンテーリングまで滞りなく終了した。
編成されたクラスの人間と昼飯を一緒に食おうという話が出た。黒江がどうするのか聞いてみるべく携帯を出して見ると、蔵良からlineがきていた。
「今、離婚交渉で旦那側とおお揉め。来るなら夕方以降に。」
lineを読んでいるといると黒江が向こうから歩いてきた。
目新しいベージュのスーツ姿。髪をキチンとまとめ、ピシッっとした印象から、年上に見える。優し気なお姉さんって感じだな、と白野は思った。
近寄った黒江のスーツ姿をさっと上から下まで見る。気のせいか?ちょっと胸元が大きく見えるような。スーツのせいかな?
「黒江さん、入学おめでと。」
「白野さんもね。」
「蔵良さんからのline読んだ。」
「うん、読んだ。夕方からきてってなってるけど、私夕方から寮の歓迎会なんだよね。行ってもすぐ帰ると思う。」
「そうか、仕方ない。俺一人で行くよ。」
「それにしても、先生たちも他の仕事してるんだね。」
「そうだね、離婚交渉も弁護士の仕事だよな。あれだけにかかり切りってわけじゃないんだ。」
「私たちの前ではあれしかしてないからね。」
「お~い、白野、誰と話してるんだ。メシ行かないのか?」
「あ、すまんちょっと待ってくれ。」
「白野さん、クラスの人と食事に行くの?私もクラスの人と一緒に行くんだ。」
「黒江さんも?」
「うん、クラスの人と仲良くしたいしね。いい人が多そうなんだ。白野さんは?」
「野郎ばっかりでむさ苦しいよ。悪いやつはいなさそうだけど。」
「そう、白野さんもクラスの人と一緒に行った方がいいよ。」
そう言って黒江は去っていった。タイトスカートの後姿において、視線が一点に集中するのは男の悲しいサガである。
「白野、今の子誰だよ?彼女か?」
「いや、違うよ。それよりメシ行こうぜ。」
そう答えざるをえないのが残念な白野だった。
同じクラスの人たちとのランチは楽しかった。皆、結構いい人そうだ、というのが黒江の感想だった。付き合いが深くなればわからないが、とりあえずは、うまくやっていけそうである。
一緒にサークルの勧誘を冷やかし、お茶して寮に帰ったら、歓迎会1時間前だった。急いでシャワーを浴び、着替えて会場の食堂に入る。
「新入生は、こっちで待っててね。」
司会とおぼしき先輩が声をかけてきた。セミロングの美人だが、顔以上に胸が印象的だった。
この人にふらふらついて来たんだよな、と改めて思った。
間近で見るとわからないでもないような。迫力あるなと思った。たゆんたゆん揺れるのが本当に。
……ええい、大きさが全てじゃない、形とか色々大切な要素はいっぱいあるんだ。
「あんまり見ないでよ。恥ずかしいじゃない。」
「す、すいません。」
ついガン見してしまったようだ。
「いいわよ。あ、そうだ、飲み物ここから選んで。呑めなかったらジュース適当に選んで。」
クーラーボックスを指さしてきた。
見慣れない、銀色の缶チューハイをとる。アルコール度数4%。これくらいなら大丈夫かな。
乾杯後しばしの歓談、黒江も初めてのアルコールを口にしていた。レモンチューハイ、辛さと刺激がジュースと異なる飲料であることを教えてくれる。
昨日、帰ってから寝て、夕方に起きた。それからしばらく考え事をし続けたため夜になってもなかなか寝付けず、朝起きたら寝不足で頭が回らない。
Yシャツを着て、白野がぼーっとしていると携帯が鳴った。
「もしもし。」
「あ、白野さん起きてた。」
黒江の声で頭がしゃんとした。
「起きてたよ。黒江さん、どうしたの?」
「今日、入学式でしょ。寝坊して遅刻しないかと思って。」
「大丈夫だよ。さすがに入学式を遅刻したりしないって。黒江さんの方はどう?」
「私はとっくに終わってるわよ。ただ、寮の中が準備でバタバタしてる。寝坊した人もいるみたいで心配になって。昨日というか、一昨日というか徹夜してるみたいだから。」
「俺は、後ネクタイ締めて上着きるだけ。インカメラの画像送ってもいいくらいだぜ。」
「しなくていいよ。ちゃんと来てね。」
「わかった。」
電話は切れた。
「さて。」
白野は姿見と向かい合った。上半身はYシャツを着ているが、下半身はパンツと靴下だけだ。インカメラの画像なら誤魔化せるだろうが、実際に見られたら「おバカ!」と言ってひっぱたかれること請け合いである。
入学式から、その後のクラス分け、オリエンテーリングまで滞りなく終了した。
編成されたクラスの人間と昼飯を一緒に食おうという話が出た。黒江がどうするのか聞いてみるべく携帯を出して見ると、蔵良からlineがきていた。
「今、離婚交渉で旦那側とおお揉め。来るなら夕方以降に。」
lineを読んでいるといると黒江が向こうから歩いてきた。
目新しいベージュのスーツ姿。髪をキチンとまとめ、ピシッっとした印象から、年上に見える。優し気なお姉さんって感じだな、と白野は思った。
近寄った黒江のスーツ姿をさっと上から下まで見る。気のせいか?ちょっと胸元が大きく見えるような。スーツのせいかな?
「黒江さん、入学おめでと。」
「白野さんもね。」
「蔵良さんからのline読んだ。」
「うん、読んだ。夕方からきてってなってるけど、私夕方から寮の歓迎会なんだよね。行ってもすぐ帰ると思う。」
「そうか、仕方ない。俺一人で行くよ。」
「それにしても、先生たちも他の仕事してるんだね。」
「そうだね、離婚交渉も弁護士の仕事だよな。あれだけにかかり切りってわけじゃないんだ。」
「私たちの前ではあれしかしてないからね。」
「お~い、白野、誰と話してるんだ。メシ行かないのか?」
「あ、すまんちょっと待ってくれ。」
「白野さん、クラスの人と食事に行くの?私もクラスの人と一緒に行くんだ。」
「黒江さんも?」
「うん、クラスの人と仲良くしたいしね。いい人が多そうなんだ。白野さんは?」
「野郎ばっかりでむさ苦しいよ。悪いやつはいなさそうだけど。」
「そう、白野さんもクラスの人と一緒に行った方がいいよ。」
そう言って黒江は去っていった。タイトスカートの後姿において、視線が一点に集中するのは男の悲しいサガである。
「白野、今の子誰だよ?彼女か?」
「いや、違うよ。それよりメシ行こうぜ。」
そう答えざるをえないのが残念な白野だった。
同じクラスの人たちとのランチは楽しかった。皆、結構いい人そうだ、というのが黒江の感想だった。付き合いが深くなればわからないが、とりあえずは、うまくやっていけそうである。
一緒にサークルの勧誘を冷やかし、お茶して寮に帰ったら、歓迎会1時間前だった。急いでシャワーを浴び、着替えて会場の食堂に入る。
「新入生は、こっちで待っててね。」
司会とおぼしき先輩が声をかけてきた。セミロングの美人だが、顔以上に胸が印象的だった。
この人にふらふらついて来たんだよな、と改めて思った。
間近で見るとわからないでもないような。迫力あるなと思った。たゆんたゆん揺れるのが本当に。
……ええい、大きさが全てじゃない、形とか色々大切な要素はいっぱいあるんだ。
「あんまり見ないでよ。恥ずかしいじゃない。」
「す、すいません。」
ついガン見してしまったようだ。
「いいわよ。あ、そうだ、飲み物ここから選んで。呑めなかったらジュース適当に選んで。」
クーラーボックスを指さしてきた。
見慣れない、銀色の缶チューハイをとる。アルコール度数4%。これくらいなら大丈夫かな。
乾杯後しばしの歓談、黒江も初めてのアルコールを口にしていた。レモンチューハイ、辛さと刺激がジュースと異なる飲料であることを教えてくれる。
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