47 / 77
お説教(3)
しおりを挟む
「どういう意味ですか?」
「『女心と秋の空』って言葉聞いたことある?」
「まぁ、一応は。」
「女心は変わりやすいからねぇ。お嬢ちゃんが、あんた以外にいい男を探そうと思ってもおかしくないね。」
「そ、そんなこと。」
渋谷での黒江を思い出す。超能力のことを語り笑う黒江、あの笑顔は俺以外の誰に出せるというのか。
「あんたなりに自信はあるのかもしれないけど、わからないよ。あんた、悪いけど、男としてダメだもの。あたしの元旦那の方がましだね。」
「なっ。」
そこまで言われると思わなかった。DV、浮気に浪費に無職と4拍子揃った男に劣る要素などさすがに無いはず。
「この場合の男ってのはね、女から見た恋愛相手のこと。」
「それぐらいわかります!」
「大きな声出しなさんな。あんたは、あんな最低男に劣るところなど何一つ無いと思っているかもしれないけど、恋愛の相手としてはダメ。一点において劣る。そしてその一点は、恋愛において極めて重要。」
「なんです?」
「あなた、言葉に出して『好きです』とかお嬢ちゃんに言った?」
「いいえ。」
「やっぱりね、それがダメなんだよ。ひょっとしてあんた、お嬢ちゃんが自分の気持ちを知っていると思ってないかい?」
「ある程度知っていると思う。」
「だから、言わなくてもいいと思ってないかい。態度でちゃんと示しているだろうって思ってないかい?」
「まぁ。」
「それがいけない。ちゃんと言葉にしな。元旦那は、それだけはキチンとしてた。『好きだよ』とか『愛してる』とか折に触れて言ったよ。今になっちゃあ、忌々しい思い出でしかないけどさ。」
「軽い言葉じゃないですよね。」
「そう、軽い言葉じゃない。あたしはキャバ嬢やってたからわかるんだけど、真面目な男ほど真剣になるとかえって
その言葉を口にしない傾向にあるね。あたしらには遊びだから大盤振る舞いしてくれるけど。」
ポケットから煙草を取り出し咥えた。
「で、その結果、他の男に取られることがある。大手一流企業の社員で収入や将来性十分とあたしの目から見てもいい男なんだけど、振られちゃう。」
「よくわかるんですね。」
「その男を慰めると言って、キャバに来る連中もいるからね。話してればわかるよ。」
紫煙を吐いた。
「で、あんたも一応真面目に属する部類の男だから言葉にしたがらない。でもそれじゃぁ、ダメ。合コンで他の男が『好きです』なんて言ったらお嬢ちゃんなびくかもしれないよ。」
「ま、まさか。」
「どうだろ、お嬢ちゃんあんたとの関係をどう思っているのか。」
ちゅーするような間柄じゃないでしょ、と頬を耳をつねられたことを思い出した。
「おんや、何やら自信が無くなったような。」
「そんな、馬鹿な。」
「体が赤いな。」
よ、余計なことを!
睨みつけるが、吉良はすました顔をしているだけだ。
「自信が薄くなっているようだねぇ。」
「うぐぐ。」
「何をすべきかは、わかっただろ。坊や。」
「告白しろと。」
「そう。まだ時間はある。なんならさっき先生がお願いした甲斐の通話履歴の調査、ホテルですればいいじゃない。事の前後でお嬢ちゃんに告白して、そのまま押し倒しちゃいな。」
「それも悪くないな。その場合は時間がいくら伸びても経費として認めよう。シャンパンも一本まではお祝いに認めようじゃないか。」
「大盤振る舞いですねぇ、先生。坊や、聞いたかい。」
「そうやって、俺で遊ばないで下さい。」
「遊んではおらん、若い二人の門出は祝福すべし。亡き妻の遺言だ。」
どこまで本気だ、この先生。
「もし、押し倒して、その先がわからないなら、おねーたまが手取り足取り教えたげようか?」
いつの間にか机の近くに移動していた蔵良が声をかけてきた。
「筆おろしの経験は初めてだけど、頑張るわよ。」
「結構です!浮気はできません!」
「浮気じゃなくてお勉強だよ。おねーたまもまだまだイケると思うんだけどなぁ。」
机に腰掛け、細い足首からの脚線美を誇示するように足を見せつける。
「結構です!」
OKしようもんなら何言われるか。いや待て。
「まさか、今の会話録音してないでしょうね。」
「あら、バレた。」
卓上から銀色の機器を取り上げた。
「一応、来客とのやり取りを録音できるよう、準備はしてるの。」
やっぱりぃぃぃ!
「『女心と秋の空』って言葉聞いたことある?」
「まぁ、一応は。」
「女心は変わりやすいからねぇ。お嬢ちゃんが、あんた以外にいい男を探そうと思ってもおかしくないね。」
「そ、そんなこと。」
渋谷での黒江を思い出す。超能力のことを語り笑う黒江、あの笑顔は俺以外の誰に出せるというのか。
「あんたなりに自信はあるのかもしれないけど、わからないよ。あんた、悪いけど、男としてダメだもの。あたしの元旦那の方がましだね。」
「なっ。」
そこまで言われると思わなかった。DV、浮気に浪費に無職と4拍子揃った男に劣る要素などさすがに無いはず。
「この場合の男ってのはね、女から見た恋愛相手のこと。」
「それぐらいわかります!」
「大きな声出しなさんな。あんたは、あんな最低男に劣るところなど何一つ無いと思っているかもしれないけど、恋愛の相手としてはダメ。一点において劣る。そしてその一点は、恋愛において極めて重要。」
「なんです?」
「あなた、言葉に出して『好きです』とかお嬢ちゃんに言った?」
「いいえ。」
「やっぱりね、それがダメなんだよ。ひょっとしてあんた、お嬢ちゃんが自分の気持ちを知っていると思ってないかい?」
「ある程度知っていると思う。」
「だから、言わなくてもいいと思ってないかい。態度でちゃんと示しているだろうって思ってないかい?」
「まぁ。」
「それがいけない。ちゃんと言葉にしな。元旦那は、それだけはキチンとしてた。『好きだよ』とか『愛してる』とか折に触れて言ったよ。今になっちゃあ、忌々しい思い出でしかないけどさ。」
「軽い言葉じゃないですよね。」
「そう、軽い言葉じゃない。あたしはキャバ嬢やってたからわかるんだけど、真面目な男ほど真剣になるとかえって
その言葉を口にしない傾向にあるね。あたしらには遊びだから大盤振る舞いしてくれるけど。」
ポケットから煙草を取り出し咥えた。
「で、その結果、他の男に取られることがある。大手一流企業の社員で収入や将来性十分とあたしの目から見てもいい男なんだけど、振られちゃう。」
「よくわかるんですね。」
「その男を慰めると言って、キャバに来る連中もいるからね。話してればわかるよ。」
紫煙を吐いた。
「で、あんたも一応真面目に属する部類の男だから言葉にしたがらない。でもそれじゃぁ、ダメ。合コンで他の男が『好きです』なんて言ったらお嬢ちゃんなびくかもしれないよ。」
「ま、まさか。」
「どうだろ、お嬢ちゃんあんたとの関係をどう思っているのか。」
ちゅーするような間柄じゃないでしょ、と頬を耳をつねられたことを思い出した。
「おんや、何やら自信が無くなったような。」
「そんな、馬鹿な。」
「体が赤いな。」
よ、余計なことを!
睨みつけるが、吉良はすました顔をしているだけだ。
「自信が薄くなっているようだねぇ。」
「うぐぐ。」
「何をすべきかは、わかっただろ。坊や。」
「告白しろと。」
「そう。まだ時間はある。なんならさっき先生がお願いした甲斐の通話履歴の調査、ホテルですればいいじゃない。事の前後でお嬢ちゃんに告白して、そのまま押し倒しちゃいな。」
「それも悪くないな。その場合は時間がいくら伸びても経費として認めよう。シャンパンも一本まではお祝いに認めようじゃないか。」
「大盤振る舞いですねぇ、先生。坊や、聞いたかい。」
「そうやって、俺で遊ばないで下さい。」
「遊んではおらん、若い二人の門出は祝福すべし。亡き妻の遺言だ。」
どこまで本気だ、この先生。
「もし、押し倒して、その先がわからないなら、おねーたまが手取り足取り教えたげようか?」
いつの間にか机の近くに移動していた蔵良が声をかけてきた。
「筆おろしの経験は初めてだけど、頑張るわよ。」
「結構です!浮気はできません!」
「浮気じゃなくてお勉強だよ。おねーたまもまだまだイケると思うんだけどなぁ。」
机に腰掛け、細い足首からの脚線美を誇示するように足を見せつける。
「結構です!」
OKしようもんなら何言われるか。いや待て。
「まさか、今の会話録音してないでしょうね。」
「あら、バレた。」
卓上から銀色の機器を取り上げた。
「一応、来客とのやり取りを録音できるよう、準備はしてるの。」
やっぱりぃぃぃ!
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
碧春
風まかせ三十郎
青春
碧色(へきいろ)。それは表面は澄んでいながら最奥までは見通すことのできない深い碧。毎日のように級友たちと顔を合わせているにも拘わらず、気心の知れた友達ですら、その心の奥底までは見透かすことができない。でも一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、それは深海の底から沸き上がる気泡のように目視できることがある。主人公わたしは電車内で不意に唇を奪われた。それも同じ学校の女生徒に。彼女の名前は瀬名舞子。今日転校してきたばかりの同級生。それ以後、わたしの受験生としての日常は彼女に翻弄されることになる。碧春(へきしゅん)。それはきらめく青春の断片。碧春。それは誰もが抱く永遠の思い出の欠片。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つまみ食いしたら死にそうになりました なぜか王族と親密に…毒を食べただけですけど
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私は貧しい家に生まれた
お母さんが作ってくれたパイを始めて食べて食の楽しさを知った
メイドとして働くことになれて少しすると美味しそうなパイが出される
王妃様への食事だと分かっていても食べたかった
そんなパイに手を出したが最後、私は王族に気に入られるようになってしまった
私はつまみ食いしただけなんですけど…
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる