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第11章
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「誠一郎君 盛況じゃぁないか」
「あっ 本町社長 わざわざ来てくださったんですかー まぁまぁってとこです 他なんか もっとお客様が足を止めているみたいでー ウチはせっかく 美味しいって言ってくださっても どこで、売ってるのってなって 県のアンテナショップと通販だけですからネ だから、こっちで取り扱ってもらえてるレストランとか和食のお店を紹介してます まだまだ、これからですね」
「そうか ウチももっと頑張れればいいのだけど 食品の取り扱いは専門じゃぁないからなー」
「いいえ 本町社長には 色々とご紹介していただきまして感謝してます それに、缶詰なんかも取り扱ってくださって 少しずつですが伸びてますよ」
「そーだな お土産として置いてもらってるんだが ぼちぼちな レトルトも開発してるんだろう?」
「ええ この春には・・・」
「土産用には その方が良いんだわ」
「はっ 急ぎます ・・・どうも さっきから 実海ちゃんのほうに眼がいってしまって、申し訳ないです」
「そうだろう 可愛いだろう?」
「ええ まして、今日は着物で素敵ですね」
誠一郎さんと渡来さんの以外にも男の人と女の人がふたり手伝っていたみたいで、取引先の問屋の人だって言っていた。渡来さんと眼が合った時、ピースサインを送ってきたので、私はベロをべぇーっとしたら、向こうも同じように返してきていたのだ。
だけど、その間に試食用の魚の中骨を米油と香草で仕上げてあるものをつまんでいて
「おいし~い! これ! お兄さん これ 何なのー 初めて食べたぁー おいしいわぁー 骨が口ン中で崩れて最高よー」と、渡来さんに向かって大きな声で
「ええ それは アカジンミーバイやアカマチとかの中骨とイーチョーバーのオイル漬け缶詰です 全部沖縄の特産です おいしいでしょう? 当社の自慢の開発商品です なかなか手に入りませんよー 今日は 特別にフェァーですからー 値段のほうもお買い得にしてあります」と、渡来さんも周りのお客さんを意識して大きな声で答えていた。
「へぇー イッチョバー? なんなん それ?」
「イーチョーバー フェンネルという香草の一種ですね」
「ふーん 知らなかった ねぇ さっきの魚もアカ アカ何とかと言うのも高級なんでしょ?」と、話しているうちに興味がわいたのか、お客さんが寄って来て、そのうち人だかりになっていた。そして、みんながその缶詰を買い求めていて、それ以外のものも買っていたのだ。
その様子をみていた誠一郎おじちゃんが
「みゅうみゅんは不思議な子ですね 人を引き付ける魅力がある 初日から来てもらっとけば良かったなぁー 初めてですよー こんなにお客様が並んだのって」
「ふふ ふっ 天使なんだよ 絢の娘だから・・・ 今夜は、紳と一緒なんだろう?」
「えぇ 京都の良い所でゆっくりします」
「あのねぇー みゅうみゅんも行きたいって 言ったんだけど みゅうみゅんが行けないとこに行くみたいだよ」
「そうかー まぁ 若いんだからな ゆっくりしなさいな」
そして、ばっちゃんが干物を買って、別れる時、私は渡来さんのほうにバイバイすると振り返してくれていた。そして、じっちゃんに何が食べたいと聞かれて、私は天ぷらと応えていたので、じっちゃんはあちこちに電話をしていて、まぁ 開店前だけど、なんとか いいよって言ってくれた店があったからと、そのお店に・・・路地を入って小さなビルの地下にお店があった。中は白木のカウンターで8席だけのお店。
「いらっしゃいませ 社長 今日も お仕事だったんですか?」
「いや まぁ 挨拶みたいなもんだよ こっちはワシの家内と娘だ」
「いらっしゃいませ 社長にはご贔屓してもらってます それと・・・」と、ばっちゃんに挨拶をして、私のほうを見ていたら
「ふっ 冗談だよ 実の娘の子だよ! 孫だよ 可愛いだろう?」
「でしょうね 一瞬 びっくりしましたよ でも 可愛いっていうより なかなかのべっぴんさんですなー」
「だろう? 去年からな 沖縄の離れ小島から、ウチに来て 一緒に住んでるんだ」
「そーなんですか」と、お店の人は奥に行って、しばらくして出てきて、最初に揚げてくれたのは、白身魚と海苔の天ぷらだったけど
「これは、沖縄のではなくて、奄美の島ラッキョウなんですけどね これを揚げますワ 懐かしいでしょう?」と、それを揚げてくれたのだ。
私は、それを食べていると、懐かしくて・・・
「どうしたの? 実海ちゃん 泣いているの?」
「うん 懐かしい味がするし おとんが一生懸命 山で作っていて・・・ 島の特産品にするんだって・・・島の味がする こうやって みゅうみゅんの島のも こっちで扱ってくれればいいなぁーって こみあげてしまった ごめんなさい」
「そうか 実海は 感情が激しいからなー ここのは うまいからな そうだ 車海老は確か 沖縄のものだって言ってたな」
「ええ ありますよ 養殖物ですけどね あとで お出しします」と、雲丹とプチプチの魚卵の和え物の小鉢を出しながら・・・。
その後も、里芋とか銀杏 野菜とか 穴子とか烏賊が出てきて最後に、車海老というのが、私は一口ずつ食べながら、又、涙が出てきていた。
「今日は ウチ どうしたんだろう 涙が出てきてしまってー」
「そうか 故郷を想いだすんだろう よかった 実海はそれだけ 情緒が豊かなんだよ ただお転婆娘っていうだけじゃぁ無くってな」
「へぇー お転婆なんですか? 見えないなぁー 静かなお嬢さんにしか」
「そうでしょう お兄さん 見る眼あるわー」
「ほらっ このとおりなんじゃー」
「いや いや お兄さんって 言われて嬉しいですなぁー」
そして、帰る時にお店の人が
「また ぜひ お寄りください 私も ウチのをお召しあがりくださって 感動なさっての涙を見たのは初めてです こっちも感激しました お出しさせていただいた甲斐がありました ありがとうございました」と、深々と頭を下げてくださった。私達が出て行くときに、入れ代わりにご夫婦の組が降りて行ったのだ。
「あっ 本町社長 わざわざ来てくださったんですかー まぁまぁってとこです 他なんか もっとお客様が足を止めているみたいでー ウチはせっかく 美味しいって言ってくださっても どこで、売ってるのってなって 県のアンテナショップと通販だけですからネ だから、こっちで取り扱ってもらえてるレストランとか和食のお店を紹介してます まだまだ、これからですね」
「そうか ウチももっと頑張れればいいのだけど 食品の取り扱いは専門じゃぁないからなー」
「いいえ 本町社長には 色々とご紹介していただきまして感謝してます それに、缶詰なんかも取り扱ってくださって 少しずつですが伸びてますよ」
「そーだな お土産として置いてもらってるんだが ぼちぼちな レトルトも開発してるんだろう?」
「ええ この春には・・・」
「土産用には その方が良いんだわ」
「はっ 急ぎます ・・・どうも さっきから 実海ちゃんのほうに眼がいってしまって、申し訳ないです」
「そうだろう 可愛いだろう?」
「ええ まして、今日は着物で素敵ですね」
誠一郎さんと渡来さんの以外にも男の人と女の人がふたり手伝っていたみたいで、取引先の問屋の人だって言っていた。渡来さんと眼が合った時、ピースサインを送ってきたので、私はベロをべぇーっとしたら、向こうも同じように返してきていたのだ。
だけど、その間に試食用の魚の中骨を米油と香草で仕上げてあるものをつまんでいて
「おいし~い! これ! お兄さん これ 何なのー 初めて食べたぁー おいしいわぁー 骨が口ン中で崩れて最高よー」と、渡来さんに向かって大きな声で
「ええ それは アカジンミーバイやアカマチとかの中骨とイーチョーバーのオイル漬け缶詰です 全部沖縄の特産です おいしいでしょう? 当社の自慢の開発商品です なかなか手に入りませんよー 今日は 特別にフェァーですからー 値段のほうもお買い得にしてあります」と、渡来さんも周りのお客さんを意識して大きな声で答えていた。
「へぇー イッチョバー? なんなん それ?」
「イーチョーバー フェンネルという香草の一種ですね」
「ふーん 知らなかった ねぇ さっきの魚もアカ アカ何とかと言うのも高級なんでしょ?」と、話しているうちに興味がわいたのか、お客さんが寄って来て、そのうち人だかりになっていた。そして、みんながその缶詰を買い求めていて、それ以外のものも買っていたのだ。
その様子をみていた誠一郎おじちゃんが
「みゅうみゅんは不思議な子ですね 人を引き付ける魅力がある 初日から来てもらっとけば良かったなぁー 初めてですよー こんなにお客様が並んだのって」
「ふふ ふっ 天使なんだよ 絢の娘だから・・・ 今夜は、紳と一緒なんだろう?」
「えぇ 京都の良い所でゆっくりします」
「あのねぇー みゅうみゅんも行きたいって 言ったんだけど みゅうみゅんが行けないとこに行くみたいだよ」
「そうかー まぁ 若いんだからな ゆっくりしなさいな」
そして、ばっちゃんが干物を買って、別れる時、私は渡来さんのほうにバイバイすると振り返してくれていた。そして、じっちゃんに何が食べたいと聞かれて、私は天ぷらと応えていたので、じっちゃんはあちこちに電話をしていて、まぁ 開店前だけど、なんとか いいよって言ってくれた店があったからと、そのお店に・・・路地を入って小さなビルの地下にお店があった。中は白木のカウンターで8席だけのお店。
「いらっしゃいませ 社長 今日も お仕事だったんですか?」
「いや まぁ 挨拶みたいなもんだよ こっちはワシの家内と娘だ」
「いらっしゃいませ 社長にはご贔屓してもらってます それと・・・」と、ばっちゃんに挨拶をして、私のほうを見ていたら
「ふっ 冗談だよ 実の娘の子だよ! 孫だよ 可愛いだろう?」
「でしょうね 一瞬 びっくりしましたよ でも 可愛いっていうより なかなかのべっぴんさんですなー」
「だろう? 去年からな 沖縄の離れ小島から、ウチに来て 一緒に住んでるんだ」
「そーなんですか」と、お店の人は奥に行って、しばらくして出てきて、最初に揚げてくれたのは、白身魚と海苔の天ぷらだったけど
「これは、沖縄のではなくて、奄美の島ラッキョウなんですけどね これを揚げますワ 懐かしいでしょう?」と、それを揚げてくれたのだ。
私は、それを食べていると、懐かしくて・・・
「どうしたの? 実海ちゃん 泣いているの?」
「うん 懐かしい味がするし おとんが一生懸命 山で作っていて・・・ 島の特産品にするんだって・・・島の味がする こうやって みゅうみゅんの島のも こっちで扱ってくれればいいなぁーって こみあげてしまった ごめんなさい」
「そうか 実海は 感情が激しいからなー ここのは うまいからな そうだ 車海老は確か 沖縄のものだって言ってたな」
「ええ ありますよ 養殖物ですけどね あとで お出しします」と、雲丹とプチプチの魚卵の和え物の小鉢を出しながら・・・。
その後も、里芋とか銀杏 野菜とか 穴子とか烏賊が出てきて最後に、車海老というのが、私は一口ずつ食べながら、又、涙が出てきていた。
「今日は ウチ どうしたんだろう 涙が出てきてしまってー」
「そうか 故郷を想いだすんだろう よかった 実海はそれだけ 情緒が豊かなんだよ ただお転婆娘っていうだけじゃぁ無くってな」
「へぇー お転婆なんですか? 見えないなぁー 静かなお嬢さんにしか」
「そうでしょう お兄さん 見る眼あるわー」
「ほらっ このとおりなんじゃー」
「いや いや お兄さんって 言われて嬉しいですなぁー」
そして、帰る時にお店の人が
「また ぜひ お寄りください 私も ウチのをお召しあがりくださって 感動なさっての涙を見たのは初めてです こっちも感激しました お出しさせていただいた甲斐がありました ありがとうございました」と、深々と頭を下げてくださった。私達が出て行くときに、入れ代わりにご夫婦の組が降りて行ったのだ。
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