わんねー あいつに責任とってもらう だけど好きになっただけヤ

すんのはじめ

文字の大きさ
120 / 129
第15章

15-4

しおりを挟む
 2月、学期末テストを終えて、3年生の送別試合を行うことになって、河川敷公園のグラウンドを借りていた。桜子、美玖先輩が大阪代表の時の仲間だと言う人を連れてきていて、フォワードを組んで、繭子、充ちるの5人は同じ高校の 西の丸学院に進むことになったと言っていた。それに、美鈴と鈴花とで相手チームを組んでいた。私達は沙菜、晶、栞奈でフォワード、私、泉希、璃々、朝陽で対抗することになっている。大阪A代表の5人だから実力的には向こうの方が上なのだろう。

 そのことを聞きつけた西の丸学院の根来監督が笛を吹いてくれることになって、試合が始まった。相手の充ちるのキックオフから始まって、栞奈を中心にラックになって、出たボールを私、泉希から璃々へ、璃々が突っ込んで泉希にリターンした時、繭子がすかさずタックルしていた。私達の攻撃パターンを読んでいたのだろう。それでも、泉希からオフロードパスで朝陽へ・・・だけど、充ちると鈴花がふたりがかりで襲い掛かってきた。朝陽は苦し紛れのゴロキックを放って、私が追いかける展開に・・・ボールに追いついたと思った瞬間に美玖先輩の強烈なタックルで・・・跳ね飛ばされように感じたのだけど、ゴールラインが眼の前に見えて、ボールを持っている手を伸ばした。だけど、少しの所で届かずで、桜子先輩に奪われて、そのまま向こうの密集を受けて、あっという間に反対にトライを許してしまっていたのだ。

 ゴールキックの間には

「ごめん ウチ スタート遅れた 朝陽のキックに対応遅れてん」

「みゅんのせいとちゃう! こっちのパターンは完全に読まれてマークされてるわ! 相手の比較的弱いところといったらー 美鈴と鈴花よ! みゅん その後ろ目掛けてキックね みんなで追いかけるわ チャンスがあるかも」と、

 再開されて、ラックから出たボールを私は、美鈴と鈴花の後ろに低いパントを上げて行った。泉希、璃々、朝陽が追いかけて行ったのだが、相手フォワードの戻りが速くって、ノットリリースを取られたりで、その後も相手のフォワードの突進を止められなくて、前半は19-0になっていた。

 ハーフタイムの時、璃々が

「キャンキャンズの武器はスピードよ やっぱりラインにまわして勝負しょ みゅん ウチの後ろにフォローして みゅんが流れて泉希に切り返しのパス 泉希が相手をひきつけてウチから朝陽に繋いで」と、

「そうだ ダメでも どんどん廻していけ」と、紅林監督も指示をしてきた。

 後半が始まって、直ぐにマイボールのスクラムがあって、私、泉希、璃々へと、そしてフォローアップしていた私にボールが渡って、鈴花に向かって走った。だけど、その後ろには、もう相手フォワード陣の姿が見えたので、私は、ついていた泉希に切り返しのパスを送った。泉希は突進していって、相手をひきつけておいてパスを・・・朝陽は飛んでタックルにきていたのを交わしてスワーブで抜けきってゴールポスト下にトライしたのだ。

 その後は、私と泉希が繭子と充ちるにタックルを重ねて、我がフォワード陣も相手の突進を止めていて、相手を押さえたのだ。そして、最後のほうに、無理やり璃々が突っ込んで行って、私と泉希も側について押し込んでいた。フォワード陣も加わって、でも向こうの方が強力なのだ。動かないまま 栞奈がいったん離れて朝陽と一緒に突っ込ん来て、動いた塊がゴールラインを超えて倒れ込んだのを私は見えていた。しばらく、レフリーは皆をかき分けて泉希がしっかりとボールを抑え込んでいるのを確認して笛を鳴らしていたのだ。ゴールキック失敗の後、終了の笛が鳴って、19-12。キャンキャンズとしては初めての敗戦だった。終わった後、私は、自然と涙が出ていたのだろう

「なんやー みゅん 泣いてるんかー?」

「泣いてへんワー! でも、泉希ぃ~ 負けるって こんなに悔しいんやねー」

「おぉー よし よしっ みゅんはあんまり負けるってこと知らんからなー 今日は しょーがないやん 格上みたいなもんやからー それに、最後は意地の全員トライもしたんやしー」

 その後、土手でお茶とおにぎりとお菓子を詩織先生が用意してくれていて、懇親会が開かれた。

「キャンキャンズのメンバーはなかなかいいぞー 去年のA代表相手にあそこまでやるとはなー 今年の、代表戦は楽しみだよー 1年生のふたりも頑張っていたじゃぁ無いか 後輩達も育っているなー ねぇ 紅林先生!」と、根来さんが

「はぁ 卒業するふたりがしっかりしていて きっちり 鍛えていますからー」

「伝統になって欲しいですねー 女子中学ラクビーが普通になるまで頑張ってくださいね ウチの学校もね 今年は、期待していたのが8人も入ってくれるんですよー 今年は、全国も目指せます そして、来年は、ここのメンバーも続いてくれるといいんですけどねぇー」

 その間に、詩織先生は私が手の甲を擦りむいているのに気が付いて、端っこの方に連れて行って手当をしてくれていて

「あの人 好き勝手なこと言ってるわねー 強くなっているのはキャンキャンズのお陰なのにね!」と、小声で

「詩織先生 でも あの人はキャンキャンズに好意的なんですよ」

「それは あなた達が実力あるからよ! だから、自分とこの学校に取り込もうとしてるのと違う?」

「そうなんかなぁー 詩織先生って 男の人には厳しいですよね 川越先生なんかも目の敵にしてるってー」

「そんなことないわよー 誰がそんなこと言ってるの? 私はね 男の人がベラベラと人のことを勝手にわかったようなことを言うのが好きじゃぁないの」

「ふ~ん 詩織先生って 彼氏居ないの? というより、先生の歳もウチ はっきり、知らんわ」

「ふふっ 彼氏なんて居ないわ もう28なのにね 男の人とデートしたことも無いわ」

「はぁー 清楚で優しくて良い感じなんだけどなぁー 男の人の見る眼がないんですよー」

「ありがとうね じゃぁ みゅんちゃん デートしてくれる?」

「ぇっ えぇー みゅうみゅんなんかでよければー」

 そして、終わる時には、卒業する二人と繭子と充ちるに、寄せ書きの色紙とラグビーボールのチャームを1年生から送っていた。最後には、桜子、美玖先輩が1年生全員を呼んで、特別にタックルの指導をしていたのだ。

 そして、その試合が終わって、私達2年生だけで、次のキャプテンを誰にするかで話し合いが行われ、私が推した輝姫ちゃんに、みんなが納得して決めていた。副には、沙菜でみんなの意見が一致していた。

 当然、輝姫ちゃんは躊躇していたけど、私が命令口調でキャンキャンズのためにやりなさいと言ったので、一応納得したのだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

【ラスト4話!】『80年を超越した恋~令和の世で再会した元特攻隊員の自衛官と元女子挺身隊の祖母を持つ女の子のシンクロニシティラブストーリー』

M‐赤井翼
現代文学
赤井です。今回は「恋愛小説」です(笑)。 舞台は令和7年と昭和20年の陸軍航空隊の特攻部隊の宿舎「赤糸旅館」です。 80年の時を経て2つの恋愛を描いていきます。 「特攻隊」という「難しい題材」を扱いますので、かなり真面目に資料集めをして制作しました。 「第20振武隊」という実在する部隊が出てきますが、基本的に事実に基づいた背景を活かした「フィクション」作品と思ってお読みください。 日本を護ってくれた「先人」に尊敬の念をもって書きましたので、ほとんどおふざけは有りません。 過去、一番真面目に書いた作品となりました。 ラストは結構ややこしいので前半からの「フラグ」を拾いながら読んでいただくと楽しんでもらえると思います。 全39チャプターですので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 それでは「よろひこー」! (⋈◍>◡<◍)。✧💖 追伸 まあ、堅苦しく読んで下さいとは言いませんがいつもと違って、ちょっと気持ちを引き締めて読んでもらいたいです。合掌。 (。-人-。)

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...