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第6章
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お盆休みが明けて、クラブの練習が始まって、7月に大阪大会では優勝していたから、1週間後の新潟で行われる全中の大会に備えていたのだ。
練習が始まると、六角先輩が私を呼び寄せて相手をするように言ってきたのだ。私はチャンスを見て、相手のバックサイドのギリギリのところにスマッシュを打ち込んでいて、何本かに1本は決まっていたのだ。そして、私のバツクに攻められた時にも、やっているうちに何とか返せるようになっていた。
ず~っと、そんな調子だったのだけど、練習が終える頃、加賀美キャプテンが
「水澄 少し 私に付き合って 相手してくんない?」
「えっ はぁー 私で良ければー」と、1時間ほど付き合わされて
「ごめんね 練習中は響先輩があなたのこと離さないからー 水澄のスマッシュは強力で厳しいところに来るから、練習相手に丁度いいのよ 明日もお願いね」
何なのよー 私は都合が良くてお手軽な定食みたいなもんなのかよー でも、お陰で私自身も上達しているかもー と、思ってシャワーを浴びて帰ろうとした時、岩場花梨ちゃんが待っていたみたいで
「水澄ぃー あのねー ウチの相手もして欲しいんやけどー 先輩達に独占されてるからー あのさー 1時間前に・・・練習始まる前 あかんやろーか?」
「ええー なんでー 私」
「ウチ 1年やんかー 練習中 あんまり 先輩からは相手してもらえへんのやー 勝手にやりなさいって・・・感じるのよー」
「わかった! 花梨 1年生のエースやもんなー 強よーぉ なって欲しいしなー」
「ありがとー 響先輩も燕先輩も 個人でもトップ狙ってるんやー だから水澄のスピードと球すじに慣れようとしてるんやと思う 水澄は時々すごい打ち込みするんやものー」
「そう それは たまたまやー」
「その たまたまが いつもになった時はすごいと思うでー」
そして、次の日から8時に花梨ちやんと二人で30分間の打ち合いを・・・8時半からは体育館のモップがけをやらなければいけないのだ。その後、響先輩の相手で45分間の打ち合いで、5分休憩、又、45分間の打ち合いの繰り返しで、12時に練習終了なのだが、燕先輩が眼で合図をしてきた。二人が台に着こうとしたとき時
「燕 昨日も 水澄を引きずってたじゃぁない 水澄だって バテちゃうよー」
「でも・・・ この子 ず~っと 響先輩の相手してたから・・・」二人の間には、沈黙の不穏な雰囲気が・・・
「響先輩 私 平気です 練習にもなるからー」と、強がっていたけど、本当は、朝からの花梨ちゃんとの相手もあって、休みたかったのだ。
「水澄 あんまり 無理すると怪我するからー 燕 明日から 1時間半 水澄を相手するの貸して 残りの時間はあなたが使ってー」と、何よー わたしゃー 物じゃぁ無いんだよー コーチも何とか言ってくれればいいのにー と、燕先輩との練習が始まったが、イライラしているのか、激しくって・・・だけど、ムラがあってミスも多かったのだ。
クタクタで帰る時に駅まで来ると、偶然 クラブの2年生で美雪先輩に会ってしまって
「あらっ 水澄 燕のお相手終わったの? ご苦労様 ねぇ お腹すいたでしよう? おごるから そこのパーラーでパンケーキ食べない?」と、気軽に誘って来てくれて、連れられて行った。美雪先輩は代表メンバーからは外れてしまっていたのだ。
「疲れるでしょ あの二人が相手じゃーね! でも 水澄でなきゃー駄目みたいなんだよねー 水澄は粗削りだけど 球すじが変わっていてね あの二人は今度の大会で優勝を狙っているの 団体は勿論だけどシングルでもね」
「はぁー でも なんで 私なんですか? 私 どうしてか、わからないんです」
「そう 気付いてないのね 水澄は左利きだから強いスマッシュが正確に台のバックサイドのコーナーめがけて飛んでくるの だから、台の手前で構えていると間に合わないのね いい加減に返すと、次には もっと 強烈なのが飛んでくるし 水澄のバツクサイドを狙っても あなた 知らないうちにバックサイドも対応出来てきてるしねー だから、大会の強い相手を想定して、練習相手にしてるんでしょーよ」
「はぁー 私 ダミーってことですか?」
「そーいうんじゃぁ無いけど 少なくともウチなんかじゃぁダメってことよー あのねー 響先輩と燕 あんまり仲良くないのよ 表向きは良い振りしてるけど・・・燕が1年で入ってきてから・・・張り合ってるの 燕 向こう意気が強いでしょ? だから、響先輩のこと 自分の方が強いのよーってとこあるの それに、次のキャプテンを決める時も響先輩は燕のことを反対したらしいの ほらっ 燕って うまいこといかないとイラつくことあるでしょ だから・・・響先輩はキャプテンとしての資質を心配したのね これっ ここだけの話よっ」
「あっ はい!」
「それとーぉ 水澄のこと見抜いたのは、最初 響先輩なの コーチにも進言したらしいよー だからーそれから燕も注視しちゃってっさー」
「はっ そーだったんですかぁー」
「そうよー だから 響先輩には 相手する義務があるんだからー 今度もリザーブに抜擢でしょ?」
「はぁ 私は 何をすれば・・・」
「試合前の練習相手と 球拾い 試合中の水とタオルの供給と応援の声出し かなっ でも 来年は正選手 確実よ 花梨とふたりはね」
私は、その言葉 嬉しいのだか 不安なのか 戸惑っていたのだ。
練習が始まると、六角先輩が私を呼び寄せて相手をするように言ってきたのだ。私はチャンスを見て、相手のバックサイドのギリギリのところにスマッシュを打ち込んでいて、何本かに1本は決まっていたのだ。そして、私のバツクに攻められた時にも、やっているうちに何とか返せるようになっていた。
ず~っと、そんな調子だったのだけど、練習が終える頃、加賀美キャプテンが
「水澄 少し 私に付き合って 相手してくんない?」
「えっ はぁー 私で良ければー」と、1時間ほど付き合わされて
「ごめんね 練習中は響先輩があなたのこと離さないからー 水澄のスマッシュは強力で厳しいところに来るから、練習相手に丁度いいのよ 明日もお願いね」
何なのよー 私は都合が良くてお手軽な定食みたいなもんなのかよー でも、お陰で私自身も上達しているかもー と、思ってシャワーを浴びて帰ろうとした時、岩場花梨ちゃんが待っていたみたいで
「水澄ぃー あのねー ウチの相手もして欲しいんやけどー 先輩達に独占されてるからー あのさー 1時間前に・・・練習始まる前 あかんやろーか?」
「ええー なんでー 私」
「ウチ 1年やんかー 練習中 あんまり 先輩からは相手してもらえへんのやー 勝手にやりなさいって・・・感じるのよー」
「わかった! 花梨 1年生のエースやもんなー 強よーぉ なって欲しいしなー」
「ありがとー 響先輩も燕先輩も 個人でもトップ狙ってるんやー だから水澄のスピードと球すじに慣れようとしてるんやと思う 水澄は時々すごい打ち込みするんやものー」
「そう それは たまたまやー」
「その たまたまが いつもになった時はすごいと思うでー」
そして、次の日から8時に花梨ちやんと二人で30分間の打ち合いを・・・8時半からは体育館のモップがけをやらなければいけないのだ。その後、響先輩の相手で45分間の打ち合いで、5分休憩、又、45分間の打ち合いの繰り返しで、12時に練習終了なのだが、燕先輩が眼で合図をしてきた。二人が台に着こうとしたとき時
「燕 昨日も 水澄を引きずってたじゃぁない 水澄だって バテちゃうよー」
「でも・・・ この子 ず~っと 響先輩の相手してたから・・・」二人の間には、沈黙の不穏な雰囲気が・・・
「響先輩 私 平気です 練習にもなるからー」と、強がっていたけど、本当は、朝からの花梨ちゃんとの相手もあって、休みたかったのだ。
「水澄 あんまり 無理すると怪我するからー 燕 明日から 1時間半 水澄を相手するの貸して 残りの時間はあなたが使ってー」と、何よー わたしゃー 物じゃぁ無いんだよー コーチも何とか言ってくれればいいのにー と、燕先輩との練習が始まったが、イライラしているのか、激しくって・・・だけど、ムラがあってミスも多かったのだ。
クタクタで帰る時に駅まで来ると、偶然 クラブの2年生で美雪先輩に会ってしまって
「あらっ 水澄 燕のお相手終わったの? ご苦労様 ねぇ お腹すいたでしよう? おごるから そこのパーラーでパンケーキ食べない?」と、気軽に誘って来てくれて、連れられて行った。美雪先輩は代表メンバーからは外れてしまっていたのだ。
「疲れるでしょ あの二人が相手じゃーね! でも 水澄でなきゃー駄目みたいなんだよねー 水澄は粗削りだけど 球すじが変わっていてね あの二人は今度の大会で優勝を狙っているの 団体は勿論だけどシングルでもね」
「はぁー でも なんで 私なんですか? 私 どうしてか、わからないんです」
「そう 気付いてないのね 水澄は左利きだから強いスマッシュが正確に台のバックサイドのコーナーめがけて飛んでくるの だから、台の手前で構えていると間に合わないのね いい加減に返すと、次には もっと 強烈なのが飛んでくるし 水澄のバツクサイドを狙っても あなた 知らないうちにバックサイドも対応出来てきてるしねー だから、大会の強い相手を想定して、練習相手にしてるんでしょーよ」
「はぁー 私 ダミーってことですか?」
「そーいうんじゃぁ無いけど 少なくともウチなんかじゃぁダメってことよー あのねー 響先輩と燕 あんまり仲良くないのよ 表向きは良い振りしてるけど・・・燕が1年で入ってきてから・・・張り合ってるの 燕 向こう意気が強いでしょ? だから、響先輩のこと 自分の方が強いのよーってとこあるの それに、次のキャプテンを決める時も響先輩は燕のことを反対したらしいの ほらっ 燕って うまいこといかないとイラつくことあるでしょ だから・・・響先輩はキャプテンとしての資質を心配したのね これっ ここだけの話よっ」
「あっ はい!」
「それとーぉ 水澄のこと見抜いたのは、最初 響先輩なの コーチにも進言したらしいよー だからーそれから燕も注視しちゃってっさー」
「はっ そーだったんですかぁー」
「そうよー だから 響先輩には 相手する義務があるんだからー 今度もリザーブに抜擢でしょ?」
「はぁ 私は 何をすれば・・・」
「試合前の練習相手と 球拾い 試合中の水とタオルの供給と応援の声出し かなっ でも 来年は正選手 確実よ 花梨とふたりはね」
私は、その言葉 嬉しいのだか 不安なのか 戸惑っていたのだ。
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