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第7章
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次の日はお母さんもお休みで朝からお正月の料理の準備をしていて、私もお手伝いしていたのだ。このところ我が家のお正月は2日の日から始まるみたい。
お祝いの料理を食べた後、皆で近所の神社にお詣りに行って、今年は、お兄ちゃんの受験があるので、沿線にある八幡宮まで足を延ばしていた。
帰りには、お母さんが「何か 食べて帰りましょうか」と、言っていたけど、お兄ちゃんが家で串揚げを食べたいと言い出したので、帰り道にスーパーで適当に買い揃えることにしたのだが、お父さんとお兄ちゃんは先に家に帰って行った。お父さんは、明日、会社の人とゴルフに行くので、打ちっぱなしで調整すると言ってウズウズしていたのだ。
外が暗くなりかけて、お父さんも帰って来て、食卓にオイルコンロを置いて、皆で囲んでドロウとパン粉を付けて揚げたてを食べて行くのだ。
「水澄がね お兄ちゃんはイカとニンニクが好きなんだよって言うから 買ってきたの 達樹 沢山食べて お肉もね 体力つけなきゃーね」
「へっ 水澄がニンニクって言ってたの・・・ まぁ 嫌いじゃぁないけど・・・」と、お兄ちゃんは、黙って私を睨んでいた。
「うん うまいなぁー 揚げたてはー これは、鯛の切り身か? うまい そ~いえば去年の正月は達樹達の友達の家で寿司だったなぁー あん時の鯛とかまぐろもうまかったまぁー」
「いや 今日の 揚げたてのほうがおいしいよ こーやって家族で食べるのもネ お父さん ほらっ 車海老だってよ 奮発して買ったらしいよ」と、お兄ちゃんは話題を遮るようにしていた。私は (あれぇー やっぱり お兄ちゃんも何かおかしい 翔琉のとこには)と、感じたのだ。
「うまいなぁー この車海老 さすがだよ 民子も飲まないか?」と、今はビールを飲んでいるお父さんは、さっきから黙っているお母さんに勧めていて、ご機嫌になってきたのか
「水澄 翔琉君とは学校違うけど、うまく行っているのか? 彼は真面目で清潔そうな好い子だよなー」
「あっ あぁー 私 卓球も学校のほうも 今は 必死だから・・・あんまり 逢ってないの」
「そーなのか 確かに 水澄は頑張っているみたいだものなー」
「みたいじゃーないよ! すごく頑張ってるんだ 我が妹ながら頭が下がるよー お父さん 水澄は学年3番なんだってよー 知っている? あの名門校で3番ってすごいことなんだよー 明日だって、ゴルフの後、飲みに行かないで、早く帰って来て 少しは、水澄と触れ合ってやれよー 逢う機会ってないんだろう? 水澄のこと ほぉたらかしじゃぁないか お父さんの娘だろう? 可哀そうだよ 昨日だって さっさと寝てしまうしよーぉ」
「達樹 そーいうなよー 昨日 友達が来てるから 気を利かせたつもりでー いゃ 水澄は可愛いよー でも あんまり・・・ほらっ 親父って 女の子にとったら うっとおしいんじゃぁないかと・・・」
「水澄はそんな女の子じゃぁないよ! 素直で 俺の妹としても素晴らしいんだよ 今は、小学校からの仲間ともあんまり逢えないけど、独りで歯を喰いしばってー そりゃー お母さんだって俺だって、側にいてやってるよー だけど、父親とは違う やっぱり頼りになるものー 水澄だって お父さんのこと大好きなんだよ なぁ 水澄」
「えっ えぇー そのー・・・ お父さんは、忙しいから・・・」
「ほらぁー 優しいんだよー お父さんの娘は・・・反省しろよな! 親父」
「ぅー わかった 達樹は厳しいのぉー 知らない間に大人になったな 息子に説教されるなんて・・・ 明日は 早く 帰って来る じゃぁ 一緒に風呂でも入るかー」
「うぅー 俺でも もう 入れないんだよー」と、はしゃぐお父さんにお兄ちゃんは呆れていたけど
「うっ なんじゃぁー これはー 辛れぇーぇ」と、お父さんは うぇー と なっていた。
「あらっ 辛かった? 美味しいと思ったんだけど 飲み過ぎの人には・・・」と、私は しし唐に山葵を詰めて揚げたのをお父さんに出したのだ。
「水澄ぃー ・・・ なんか そーいうとこ お母さんに似ているなー」
「うふふっ 調子にのって バカなこと言ってるからよー」と、やっとお母さんも表情が明るくなっていた。
「明日は水澄ちゃんとお買い物に行くの 難波まで お洋服を買ってあげるのよ それで、お昼は天ぷらのお店に行くの」
「えぇー お母さん 私 洋服なんて 着ていくとこもないしー」
「いいの! そのうち 達樹の高校入学のお祝いに お父さんが美味しいフランス料理のお店に連れて行って下さるからー」
「はぁー 俺のお祝いなんだろー なんで水澄が・・・」
「あらっ 達樹だって 妹が可愛らしいほうが嬉しいでしょ! お土産は何が良い?」
「・・・だなー 難波だったらー 551の豚まん」
「そう 達樹はあっさりしていて 安上がりでいいわぁー」
「あ母さん 私 お金ばっかり掛けて ごめんなさい」
「あらっ そんなつもりで言ったんじゃぁないのよ! 水澄は頑張ってくれているし、香月家を代表して 夢を追いかけてくれているんだものー お母さんには誇らしいのよ!」
お祝いの料理を食べた後、皆で近所の神社にお詣りに行って、今年は、お兄ちゃんの受験があるので、沿線にある八幡宮まで足を延ばしていた。
帰りには、お母さんが「何か 食べて帰りましょうか」と、言っていたけど、お兄ちゃんが家で串揚げを食べたいと言い出したので、帰り道にスーパーで適当に買い揃えることにしたのだが、お父さんとお兄ちゃんは先に家に帰って行った。お父さんは、明日、会社の人とゴルフに行くので、打ちっぱなしで調整すると言ってウズウズしていたのだ。
外が暗くなりかけて、お父さんも帰って来て、食卓にオイルコンロを置いて、皆で囲んでドロウとパン粉を付けて揚げたてを食べて行くのだ。
「水澄がね お兄ちゃんはイカとニンニクが好きなんだよって言うから 買ってきたの 達樹 沢山食べて お肉もね 体力つけなきゃーね」
「へっ 水澄がニンニクって言ってたの・・・ まぁ 嫌いじゃぁないけど・・・」と、お兄ちゃんは、黙って私を睨んでいた。
「うん うまいなぁー 揚げたてはー これは、鯛の切り身か? うまい そ~いえば去年の正月は達樹達の友達の家で寿司だったなぁー あん時の鯛とかまぐろもうまかったまぁー」
「いや 今日の 揚げたてのほうがおいしいよ こーやって家族で食べるのもネ お父さん ほらっ 車海老だってよ 奮発して買ったらしいよ」と、お兄ちゃんは話題を遮るようにしていた。私は (あれぇー やっぱり お兄ちゃんも何かおかしい 翔琉のとこには)と、感じたのだ。
「うまいなぁー この車海老 さすがだよ 民子も飲まないか?」と、今はビールを飲んでいるお父さんは、さっきから黙っているお母さんに勧めていて、ご機嫌になってきたのか
「水澄 翔琉君とは学校違うけど、うまく行っているのか? 彼は真面目で清潔そうな好い子だよなー」
「あっ あぁー 私 卓球も学校のほうも 今は 必死だから・・・あんまり 逢ってないの」
「そーなのか 確かに 水澄は頑張っているみたいだものなー」
「みたいじゃーないよ! すごく頑張ってるんだ 我が妹ながら頭が下がるよー お父さん 水澄は学年3番なんだってよー 知っている? あの名門校で3番ってすごいことなんだよー 明日だって、ゴルフの後、飲みに行かないで、早く帰って来て 少しは、水澄と触れ合ってやれよー 逢う機会ってないんだろう? 水澄のこと ほぉたらかしじゃぁないか お父さんの娘だろう? 可哀そうだよ 昨日だって さっさと寝てしまうしよーぉ」
「達樹 そーいうなよー 昨日 友達が来てるから 気を利かせたつもりでー いゃ 水澄は可愛いよー でも あんまり・・・ほらっ 親父って 女の子にとったら うっとおしいんじゃぁないかと・・・」
「水澄はそんな女の子じゃぁないよ! 素直で 俺の妹としても素晴らしいんだよ 今は、小学校からの仲間ともあんまり逢えないけど、独りで歯を喰いしばってー そりゃー お母さんだって俺だって、側にいてやってるよー だけど、父親とは違う やっぱり頼りになるものー 水澄だって お父さんのこと大好きなんだよ なぁ 水澄」
「えっ えぇー そのー・・・ お父さんは、忙しいから・・・」
「ほらぁー 優しいんだよー お父さんの娘は・・・反省しろよな! 親父」
「ぅー わかった 達樹は厳しいのぉー 知らない間に大人になったな 息子に説教されるなんて・・・ 明日は 早く 帰って来る じゃぁ 一緒に風呂でも入るかー」
「うぅー 俺でも もう 入れないんだよー」と、はしゃぐお父さんにお兄ちゃんは呆れていたけど
「うっ なんじゃぁー これはー 辛れぇーぇ」と、お父さんは うぇー と なっていた。
「あらっ 辛かった? 美味しいと思ったんだけど 飲み過ぎの人には・・・」と、私は しし唐に山葵を詰めて揚げたのをお父さんに出したのだ。
「水澄ぃー ・・・ なんか そーいうとこ お母さんに似ているなー」
「うふふっ 調子にのって バカなこと言ってるからよー」と、やっとお母さんも表情が明るくなっていた。
「明日は水澄ちゃんとお買い物に行くの 難波まで お洋服を買ってあげるのよ それで、お昼は天ぷらのお店に行くの」
「えぇー お母さん 私 洋服なんて 着ていくとこもないしー」
「いいの! そのうち 達樹の高校入学のお祝いに お父さんが美味しいフランス料理のお店に連れて行って下さるからー」
「はぁー 俺のお祝いなんだろー なんで水澄が・・・」
「あらっ 達樹だって 妹が可愛らしいほうが嬉しいでしょ! お土産は何が良い?」
「・・・だなー 難波だったらー 551の豚まん」
「そう 達樹はあっさりしていて 安上がりでいいわぁー」
「あ母さん 私 お金ばっかり掛けて ごめんなさい」
「あらっ そんなつもりで言ったんじゃぁないのよ! 水澄は頑張ってくれているし、香月家を代表して 夢を追いかけてくれているんだものー お母さんには誇らしいのよ!」
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