51 / 96
第8章
8-1 監督の作戦
しおりを挟む
春休み4月の初め、3泊4日の合宿がいつもの琵琶湖沿いの旅館で。旅館に着くと、持ってきた各自のお弁当を琵琶湖を眺めながら食べて、しばらくしたらその砂浜を25分間往復して走らされた。それから、15分の休憩の後、体育館に集合して、柔軟の後、その壁沿いにジャンプしながらのうさぎ跳びで2周。すでに、脚もガクガクしていたのだ。
この前卒業したクラブのOBで響先輩と美玖先輩も参加していて、私達中学の後、高校の連中が合宿に来るので、そのまま合流するんだと言っていた。
練習には、主に私が燕キャプテンと朝咲先輩の相手をしていて、響先輩は主に花梨と香を相手にしていた。コーチはしきりに若葉を指導していたのだ。
その日の練習の終わりの砂浜でのジョギングと全力疾走の後、私と花梨、若葉が監督に呼ばれて
「若葉 水澄とダブルスを組め 花梨はシングルに専念しろ お前はエースになるんだ」
私達は若葉が言っていたように予想していたことだったので、素直に
「わかりました」と、3人が応えると、監督は反応が意外だったのか言葉に詰まっていたが
「コーチと響の意見も聞いたが 考えが一致した。 いいか? 今年は去年のリベンジだ 全国制覇だぞ お前等3人は主力なんだ 香も仲良いみたいだから ハッパ掛けろ! お前等4人がチームを引っ張って行くんだぞ そのつもりで合宿を迎えろ」
若葉が予想していた通りだった。花梨も覚悟していたみたいなのだ。「ヨシッ」と気を引き締めているのがわかった。次の日から花梨は砂浜を走るのも先頭を切ってるし、練習中でも声がひときわ大きかったのだ。私は、別の意味で砂浜を走る時でも自分でステップを切るようにして鍛えていた。私は、身体も大きくないから、スマッシュの時にステップしながら勢いで打ち込んで、回転を掛けて、確実にイレギュラーバウンドさせようと思っていた。そして、次の日から私と若葉のダブルスの練習も始まったのだ。
3日目、午後から個人の対抗試合をすることになって、私は朝咲先輩に勝って、燕先輩とは最終までもつれたけど、負けてしまっていた。新しいシューズも調子が良くって、飛ぶように跳ねていたんだけどなぁー。その後、花梨と燕先輩が当たって、やっぱり最終ゲームが取りあいになって16-15の時に燕先輩のミスで花梨が勝ち上がった。相手は、美麗先輩、香に勝って上がってきた若葉と決勝なのだ。だけど、花梨も前の試合で疲れてしまっていたのか3-1で若葉が勝っていた。
合宿も明日の午前中で終わりになっていて、その対抗試合の後、石切コーチから
「明日、打ち上げ後の帰りに京都で都女学院と練習試合をするのはみんなわかっているな 団体戦だ そのメンバーを発表する」
「トップ 燕 2番 美麗 3番ダブルス 水澄、若葉 4番 朝咲 5番 美雪 いいか? 先に3勝しても5戦やるんだ 全部取りに行くぞ」
花梨の名前が呼ばれなかった。花梨のほうを見ると口を噛み締めるようにして、下を向いていたのだ。どうしてぇーとコーチを見ても涼しい顔をしているのだ。監督は花梨にエースになれって言ってたじゃぁない! 解散しても、私は花梨にどう声を掛けて良いのかわからなかった。だけど、響先輩が花梨を連れ出していたみたい。
「なぁ 若葉 どう思う?」
「う~ん ウチもわからんのやー でも、さっきの試合 迫力無かったなー いつもと違った 香 一緒に練習してたやんかー なんか・・・」
「そーやね いつものキレが無かったかなー 球が浮いたことが多かった 昨日の若葉との試合から・・・調子 悪いんやろな アレが来たんかな」と、呑気なことを言っていた。
私達3人で入浴して、夕食の時に花梨が揃った。以外とすっきりとした顔をしていたのだ。最終日なので、食卓にはワンプレートでなくて、近江鶏という甘辛のとんちゃん焼きにサラダ、ビワマスのお造りと鮎の南蛮漬け、きのこと春キャベツのお味噌汁と合宿にしては、割と豪華なのだ。
「う~ん このとんちゃん焼き 柔らかくて、歯ごたえもあって美味しい!」と、普段の花梨に戻っていた。落ち込んでいるんじゃぁないかと心配するほどでも無かったのだ。私も香と「この ビワマス? 脂も乗っていて美味しいネ 初めて」と、話し合っていて花梨のことも忘れていたのだ。
そして、次の日、合宿所を離れる時、響先輩が私と若葉を呼び寄せて
「あなた達は、実力的に言っても相手を上回ってるのよ いい? 水澄はアホやから、若葉がコントロールするのよ でないと、この子 調子に乗ってどんどん打ち込んでいくからー 今 あなた達の本当の実力を見せたら、全中までに競争相手から研究されるからネ」
「わかりました」と、若葉は言ってたけど
「先輩ぃー 私はアホですか?」
「ふふっ 言葉のアヤよっ! 花梨は成長したけど、あなたはまだ無鉄砲に相手に向かっていくのよ 少しは成長してるけど 水澄は卓球バカよ まぁ、試合 頑張ってネ」
対校試合は我がチームは調子が良くって、5-0で圧倒的勝利を収めていた。その帰りの電車の中で花梨が
「みんな 心配させたと思うけど・・・ウチは落ち込んでへんでーぇ 響先輩が気付いていたんやー ウチ 無理し過ぎたんか、右の足首が痛かってん たいしたこと無いと思ってたんやけど 響先輩が 今 無理して、引きずったらどうするのよーって あなたは全中に向けてエースになるんでしょって それより、メンバーの試合を離れてじっくり観察しなさいっても だから、監督にも忠告したって それに、もう ひとつ 監督には考えていることがあるみたい そらぁー メンバーの発表を聞いた時はショックやったでー でも、響先輩に諭されてな スッキリしたんや」
「そーやったんやー でも 今は? 痛いんかぁー?」
「あぁ 大したことないと思うでー 疲労なだけやと思う 一応 病院で診てもらうけどー」
この前卒業したクラブのOBで響先輩と美玖先輩も参加していて、私達中学の後、高校の連中が合宿に来るので、そのまま合流するんだと言っていた。
練習には、主に私が燕キャプテンと朝咲先輩の相手をしていて、響先輩は主に花梨と香を相手にしていた。コーチはしきりに若葉を指導していたのだ。
その日の練習の終わりの砂浜でのジョギングと全力疾走の後、私と花梨、若葉が監督に呼ばれて
「若葉 水澄とダブルスを組め 花梨はシングルに専念しろ お前はエースになるんだ」
私達は若葉が言っていたように予想していたことだったので、素直に
「わかりました」と、3人が応えると、監督は反応が意外だったのか言葉に詰まっていたが
「コーチと響の意見も聞いたが 考えが一致した。 いいか? 今年は去年のリベンジだ 全国制覇だぞ お前等3人は主力なんだ 香も仲良いみたいだから ハッパ掛けろ! お前等4人がチームを引っ張って行くんだぞ そのつもりで合宿を迎えろ」
若葉が予想していた通りだった。花梨も覚悟していたみたいなのだ。「ヨシッ」と気を引き締めているのがわかった。次の日から花梨は砂浜を走るのも先頭を切ってるし、練習中でも声がひときわ大きかったのだ。私は、別の意味で砂浜を走る時でも自分でステップを切るようにして鍛えていた。私は、身体も大きくないから、スマッシュの時にステップしながら勢いで打ち込んで、回転を掛けて、確実にイレギュラーバウンドさせようと思っていた。そして、次の日から私と若葉のダブルスの練習も始まったのだ。
3日目、午後から個人の対抗試合をすることになって、私は朝咲先輩に勝って、燕先輩とは最終までもつれたけど、負けてしまっていた。新しいシューズも調子が良くって、飛ぶように跳ねていたんだけどなぁー。その後、花梨と燕先輩が当たって、やっぱり最終ゲームが取りあいになって16-15の時に燕先輩のミスで花梨が勝ち上がった。相手は、美麗先輩、香に勝って上がってきた若葉と決勝なのだ。だけど、花梨も前の試合で疲れてしまっていたのか3-1で若葉が勝っていた。
合宿も明日の午前中で終わりになっていて、その対抗試合の後、石切コーチから
「明日、打ち上げ後の帰りに京都で都女学院と練習試合をするのはみんなわかっているな 団体戦だ そのメンバーを発表する」
「トップ 燕 2番 美麗 3番ダブルス 水澄、若葉 4番 朝咲 5番 美雪 いいか? 先に3勝しても5戦やるんだ 全部取りに行くぞ」
花梨の名前が呼ばれなかった。花梨のほうを見ると口を噛み締めるようにして、下を向いていたのだ。どうしてぇーとコーチを見ても涼しい顔をしているのだ。監督は花梨にエースになれって言ってたじゃぁない! 解散しても、私は花梨にどう声を掛けて良いのかわからなかった。だけど、響先輩が花梨を連れ出していたみたい。
「なぁ 若葉 どう思う?」
「う~ん ウチもわからんのやー でも、さっきの試合 迫力無かったなー いつもと違った 香 一緒に練習してたやんかー なんか・・・」
「そーやね いつものキレが無かったかなー 球が浮いたことが多かった 昨日の若葉との試合から・・・調子 悪いんやろな アレが来たんかな」と、呑気なことを言っていた。
私達3人で入浴して、夕食の時に花梨が揃った。以外とすっきりとした顔をしていたのだ。最終日なので、食卓にはワンプレートでなくて、近江鶏という甘辛のとんちゃん焼きにサラダ、ビワマスのお造りと鮎の南蛮漬け、きのこと春キャベツのお味噌汁と合宿にしては、割と豪華なのだ。
「う~ん このとんちゃん焼き 柔らかくて、歯ごたえもあって美味しい!」と、普段の花梨に戻っていた。落ち込んでいるんじゃぁないかと心配するほどでも無かったのだ。私も香と「この ビワマス? 脂も乗っていて美味しいネ 初めて」と、話し合っていて花梨のことも忘れていたのだ。
そして、次の日、合宿所を離れる時、響先輩が私と若葉を呼び寄せて
「あなた達は、実力的に言っても相手を上回ってるのよ いい? 水澄はアホやから、若葉がコントロールするのよ でないと、この子 調子に乗ってどんどん打ち込んでいくからー 今 あなた達の本当の実力を見せたら、全中までに競争相手から研究されるからネ」
「わかりました」と、若葉は言ってたけど
「先輩ぃー 私はアホですか?」
「ふふっ 言葉のアヤよっ! 花梨は成長したけど、あなたはまだ無鉄砲に相手に向かっていくのよ 少しは成長してるけど 水澄は卓球バカよ まぁ、試合 頑張ってネ」
対校試合は我がチームは調子が良くって、5-0で圧倒的勝利を収めていた。その帰りの電車の中で花梨が
「みんな 心配させたと思うけど・・・ウチは落ち込んでへんでーぇ 響先輩が気付いていたんやー ウチ 無理し過ぎたんか、右の足首が痛かってん たいしたこと無いと思ってたんやけど 響先輩が 今 無理して、引きずったらどうするのよーって あなたは全中に向けてエースになるんでしょって それより、メンバーの試合を離れてじっくり観察しなさいっても だから、監督にも忠告したって それに、もう ひとつ 監督には考えていることがあるみたい そらぁー メンバーの発表を聞いた時はショックやったでー でも、響先輩に諭されてな スッキリしたんや」
「そーやったんやー でも 今は? 痛いんかぁー?」
「あぁ 大したことないと思うでー 疲労なだけやと思う 一応 病院で診てもらうけどー」
10
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる