彼は いつから私の彼氏? 好きと感じた時から・・・でも、別の道を進むねん

すんのはじめ

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第9章

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 夕方 私が帰ると、お母さんが出て来て、いきなり抱き締められた。

「水澄ちゃん お疲れ 頑張ったよねー」

「お母さん 暑苦しいよー 汗びちょなのにー」

「あ そうかー 先にお風呂入りなさいよ 疲れてるんでしょ 今ね 達樹にお寿司取りに行かせたの お父さんも6時頃帰って来るから お祝いネ」

 私 そーいえば 朝 翔琉に愛してもらった後 シャワーもしてなかったんだと気がついて、お風呂に・・・まだ 翔琉の匂いがするのかなーって 湯舟に浸かりながら (まだ 翔琉が入ってるようなー 変な感じ 私 こんなで練習 踏んばり効くかなー)

 この夏に買ってもらった葵の花のじんべぇさんの上下を着て、汗を拭きながら出て行くと

「水澄 こっち クーラーかけたからー ・・・水澄 その下 何か着てる?」

「ううん 暑いんだものー」

「まぁー・・・ 少し 落ち着いたら、つけてらっしゃいヨ 女の子の身だしなみヨ!」

 お兄ちゃんが帰ってきたみたいで

「おぉー 帰ってたかー 外は 暑い暑い まだ 陽射しが強いんだよー」と、クーラーの前でパタパタしていた。

「お風呂 いってくればー 私 今 出たとこ」

「だなー シャワーしてくっかー」

 お兄ちゃんはトランクス1枚で上は裸のままバスタオルを首にかけて頭を拭きながらリビングに現れた。

「達樹 ・・・ もぉーぅ 年頃の女の子が居るんだからー 家族って いってもー」

「へっ 水澄のことかぁー 平気だよ 俺の肉体美を見て喜んでるんだからー」

「だっ 誰が喜んでるんよーぉ しょうがないなぁーって思ってるんやー 妹のことを色キチみたいに言うな! この変態がー」と、私は持っていたタオル投げつけると

「おっ みごとなスマッシュか・・・水澄 今 右手で投げたよなー お前 卓球はサースポーだよな でも 右利きなんだろう 箸なんかも右だったよなー」

「そーなんやー 私 よーわからんまま 左になってしもーたんやー 左で振るほうが鋭いってー」

「へぇー ややこしい奴ちゃなー サッカーのボール蹴るんは?」

「たぶん 右足やと思うけどなー でも 右足を前に出して踏んばるやろー そしたら 身体開いて左足が後ろに来るやんかー だからー 左手がラケットになったん もしかしたら、サッカーも左で蹴るんかもー」

「うん なるほどなー そうかー お前 右足で踏んばってステップしてたもんなー お母さん 水澄の運動神経 右と左とぐちゃぐちやになってるんかもよー」

「なにをごちゃごちゃ騒いでるのよー 両方使えるほうが良いに決まってるわー 達樹 知らないでしょうけど 水澄はご飯よそう時 おしゃもじとかお玉 左で持つのよ 昔からー それに、小さい時は 日本語の文章 縦に書く時は左で鉛筆持って書いてたわー 横書きの時は右手なのに・・・器用っていうかー そーいう子なの!」

 お父さんが、早い目に帰って来て、私を見るなり、抱きしめようとしてきたので

「ストップ ハグはダメ」と、私が拒否すると

「なんだよー 父親の特権だろー」

「うぅー 少しだけね」と、我慢することにしたけど

「お父さん なんか 臭いぃー」

「そうかー デオロラントスプレーしたんだけどなー」

「だからよー 私 そんな 不自然な匂い 合わないの 臭くても普段お父さんの匂いが好き」

「そうかー すまなかった 待ってくれ 先に風呂 入って来る」

 私のお祝いが始まって、食卓には6人前の寿司桶にべっこに、つぶ貝とえんがわの握りも乗っていた。私の好物なのだ。そして、お母さんの作った浅利のお吸い物も。

「まずは 乾杯だ 水澄 お疲れさん 優勝おめでとう」

 お父さんとお母さんはビールでお兄ちゃんはコーラ、私はお茶だった。

「いやー 本当にすごかったよー 個人戦の準決勝 去年のチャンピオンに勝ったんだからなー 壮絶な試合だった 闘っているのが水澄なんだものなー 水澄が勝って 夢かと思ったよー 相手も負けた瞬間 首を傾げていたよ それに 最後の試合 これもすごかったなー どっちも譲らずでなー みんながどっちも応援してたよー でも 水澄が決めたと思ったら、最後にな ボールがコロコロと・・・ みんなが その瞬間 それまで応援していた声を失っていた。そして 大声援だろう 僕もジーンときてしまった。あれほどの名勝負なんて そうそう見られないよー でも 勝った相手 最後に ニャッとしてたようなー 憎らしいな!」

「う~ん あと 一歩だったんだけど しょーがないよね 相手は天才 花梨なんだからー」

「いやいや 水澄も天才だぞー よく わからんがー 準決勝の時の最後・・・スマッシュのボールが 不自然に変化してたよーな 相手も首を傾げていたじゃーないか 何でって思ったんだろうな」

「うん たまたまねー でも 花梨には すぐに 私の必殺を破られた」

「あぁー あの憎らしい優勝した子か? あの子はクールなんだな 表彰式の時も笑わなかった」

「そうそう 去年の秋 水澄がダブルス組んで優勝した時の 相棒なんだ あいつ すげーよなー 淡々としてて 団体戦の時も 先陣切って あの去年のチャンピオンって奴を切りくずしたんだろう 水澄に負けた後だったから、ダメージ大きかったんだろうな 相手は3年なのに でも、あいつ かっけ良いよなー ああいうクールなのって 俺の好みかも」

「ちょっとぉー お兄ちゃん! 花梨は智子より男には固いかもよー あのさー お寿司って この頃 こーやって 寝かせる盛り付けなんかなー」と、私は横になっている鯛の握りをお箸で挟んでいた。何個かが横に寝ているのだ。

「あっ あー 新鮮だから動いたんかなー」

「ウソよ 達樹が乱暴に扱ったのよー」と、お母さんは割と冷たい感じで言っていたけど、その後の微笑むような顔が優しかったのだ。

「そうそう オーナーがね 水澄にって ホールケーキ作ってくれたのよー 特別らしいわー 後で食べてみようね でも 期待しないでよー あのお店のだからー」

 お父さんが割と言いたいことを言って、酔っぱらったのか先に寝てしまって、私達は、お母さんの言う期待もしていないケーキに取り掛かっていた。20㎝もない小さなものだったけど、ブルーベリーのショートケーキで真ん中のホワイトチョコのプレートに(あっぱれ みずすみ)の文字が書いてあった。早速切り分けて食べてみて

「おいしぃじゃん お母さんも食べてみてよー」

「ふ~ん おいしいんだー」と、お母さんもお兄ちゃんも食べたけど、「うん なかなか いけるねー スポンジもしっとりとしておいしいし クリームも」と、言っていて

「お母さん 私 いつから みずすみ になったのかしら?」

「あっ ほんとうだねー オーナーったら とぼけてー でも おいしかったって 明日 お礼言っとくね いつも こんなの作ってたら、もっと お客さん増えるのにねー」

「まぁ 原価とか売値とか いろいろと難しいことあるんじゃぁない? 経営者は大変なんだよー」

「お母さん 私 明日から練習も無いしお休みだから、ジョギングのついでにお店寄って 直接 お礼言おうか?」

「そうね オーナーも一度 水澄ちゃんに会ってみたいって言ってたからネ」

「着替えて行った方がいいかなー」

「そこまでしなくていいわよー アスリートの端くれなんだから ぽくて良いんじゃぁない お母さんの自慢の娘よ」

(お母さん 私 本当は悪い子なの お母さんを裏切って 昨日の夜も今朝も・・・ でも、翔琉と・・・私 全て翔琉のものになって 今 幸せなの)
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