彼は いつから私の彼氏? 好きと感じた時から・・・でも、別の道を進むねん

すんのはじめ

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第13章

13-1 中学 最後の試合

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 次の日からの練習では、私は、控え目に動いていた。時々、膝がビクッとするのが治っていないのだ。

「水澄 まだ 調子悪いんやろー? ごまかさんと答えやー ウチには・・・」

「うん 時々 膝がビクッとなー でも 大丈夫やー 中学 最後の大会やんかー 頑張るよー」

 試合の前日 監督から、団体戦の第1ステージは トップ香 2番遥香 ダブルス 莉子とひなた 4番花梨 5番輝葉 で行く。1戦も落とすなよ! と発表があった。監督にも私の膝のことはバレていたみたい。
 
 そして、個人戦で私と花梨、香、若葉と莉子が準々決勝で進んで、団体戦も勝ち進んでいた。個人戦の相手は、私は山手丘の寒川千草 花梨は忍埜山女学園の見沼川七菜香 若葉は都女学院の鐘ヶ淵翠 香は莉子とつぶし合いだった。団体戦の方も、準決勝の相手は日進中央中学で、山手丘対都女学院なのだ。

 その日の夜、お風呂で花梨が

「ほんまに大丈夫なんか?」

「うん 平気 明日は何も考えんと思いっ切りやる」

「そんなん ゆうても 今日の試合 水澄 ステップせんとやってたやんかー 足 かばっとるんやろー?」

「ちゃう! 手の内 見せへんかっただけやー」

「あかん 水澄 ウソついとるぅー 若葉 お風呂から出たら 足 摩ったりぃ~ ウチはオッパイ 揉んだるからぁー」

「こらぁー 花梨は 何が目的じゃー この変態がぁー」

 だけど、部屋のベッドに寝かされて、花梨が「いい? これは やーらしいことちゃうでー ほんまに水澄の為なんやでー」と、部屋着の上からなんだけど、本当に胸を揉んできて、若葉は膝を摩ってくれていた。私 そのうち 気持ちが良くって、夢心ちの中 眠りに落ちていっていた。

 決戦の日、会場には、お父さんの会社のグループに翔琉達仲間の3人に学校関係者の人達が横断幕を掲げて陣取っていたのだ。勿論 卓球部の部員のメンバーに、その中には、美ひろ先輩と響先輩の姿もあった。

 個人戦が始まって、第一試合の花梨と見沼川七菜香は、花梨が圧倒して3-0で勝利していたが、もう一つの試合 若葉と鐘ヶ淵翠は1-2の4ゲーム目 若葉が9-7でリードした時、若葉に異変が起きて・・・足首を捻挫したみたいだったのだ。その後も続行しようとしたのだけど、そのまま棄権してしまった。

 私も山手丘の寒川千草に苦戦していて、2-2のまま最終ゲームを迎えていたのだけど、仕方なくステップしてからのスマッシュを決めようと、その時、膝がビクッっとなっていたけど、ボールは相手のラケットの横をすり抜けていて、何とか勝ち進んだ。

 次の準決勝の時、花梨は相手の鐘ヶ淵翠に第1ゲームを取られたのだけど、落ち着いていて、第2、3ゲームを取り返して、第4ゲームも短いスマッシュとかチキータを決めていって勝利していた。隣の台の私と香の試合も、香は私の弱点も知っているので、苦戦していて第1ゲームも第2ゲームもディユースになっていたが、右に左に長いの短いスマッシュで対応していて、最後は短くて横に逃げて行くスマッシュを連発して、3-0で何とか勝っていた。だけど、私の膝は痛さを感じたままだった。

 花梨との決勝戦が始まって、最初から取ったり取られたりで、私は伸びるスマッシュで花梨のバックサイドを突いたり、フォアサイドに散らしていたのだけど、花梨も同じように返してきて、激しい打ち合いになっていて、第1ゲームから15-15になっていた。会場からも、大声援と拍手の嵐だった。その次、打ち合いの後 花梨はボールを幾分浮かして返してきた。あの時と同じだ。誘っていると瞬間感じて、私はステップして花梨のバックを狙うふりをしてフォアサイドに低い弾道で返して行ったのだ。だけど、ステップを降りた時、膝に激痛を感じていた。ボールは花梨のラケットの先をすり抜けていった。花梨は、その時 一瞬 微笑んだような気がした。そして、私のゲームポイントを迎えて、夢中でサーブを花梨の胸を目掛けて・・・花梨の返したボールはネットに引っ掛かってそのままだった。

 第2ゲーム以降も激しい打ち合いで譲り合わず2-2のまま、最終ゲームまでもつれ込んで、ディユースになっていて、お互いマッチポイントまでいったのだけど、決着がつかずで18-18になっていた。私の膝も限界に近かったのだけど、私の放ったスマッシュは花梨のバックサイドの台の手前のほうで弾んで逃げて行く第1の魔球 花梨は予想していたのだろう 前とは違って、私のバックサイドに返してきた。花梨は私がフォアサイドに返すと考えていたのだろうけど、私は もう一度 花梨のバックサイドの台の縁ギリギリにバウンドの後イレギュラーバウンドするスマッシュを花梨の胸を目掛けて放った。もう左足でステップ出来ないので、右足だけで踏んばったのだ。花梨も身体が右のほうに動きかけていたので、逆を突かれた形になって対応出来なかった。私は、6度目のマッチポイントを迎えていた。もう、私は気力も体力もこれが最後のチャンスと思っていた。

 打ち合いが続いた後、球が浮いた これが最後のチャンス 私は、気力を振り絞って、跳んで花梨のバックサイドの手前に叩きつけるように最後は渾身で捻って落としていったが、花梨も必死でカバーしてきて返してきた。私からは遠いフォアサイド側 だけど、私は全身で跳んで身体を伸ばして、花梨の胸元を目掛けて思いっ切り振り切って、その後は台に突っ伏していた。もう ダメと思っていたが・・・花梨は意表を突かれたみたいで対応できないでいた。花梨の弱点なのだ。

 会場からは、わめくような歓声と拍手を聞きながら、台に突っ伏したままの私を花梨は抱きかかえて起こしてくれていた。やっと 勝てた 花梨に・・・

「水澄 歩ける? 大丈夫? あんな すごい スマッシュ 突然 来るんだものー 負けたわ」

「花梨・・・」私は、涙を流しながら、花梨に支えられて歩くのがやっとでベンチに戻ったのだ。

 お昼休憩の間に美ひろ先輩と響先輩も駆けつけてくれて

「あんた等ふたり すごいネ 私は、あんな試合見たの初めてよー 最後は水澄の執念が勝ったみたいね でも 水澄 もう 団体戦は無理よー 見てても わかるもん 痛々しいわー これ以上無理すると 取返しつかなくなるわよ! ねえ? 花梨もわかってるんでしょ」

「・・・」花梨は黙ったままで・・・

「少し 休めば 大丈夫です 私は 太子女学園の個人も団体戦も 2冠連覇が夢ですからー」

「水澄 あんたは やっぱり アホで 卓球バカよねー」と、響先輩も呆れていたみたいだけど

「響先輩 アホでもバカでも 私は、最後までやり切りたい」

 そして、監督から団体戦準決勝のメンバーが発表されて トップは花梨 そして2番は香 ダブルスは若葉に代わっての莉子と私が、4番遥香 5番ひなた だった。

「水澄 ごめんね 休ませてあげたいけど、日進中央中学は強敵なの 何とか先手3勝しないと難しいのよー」

「監督 大丈夫ですよ あと2試合 私 頑張りますからー 最後までやり切りたい この脚は神様に預けたの」
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