73 / 80
第13章
13-1
しおりを挟む
翌春、僕は、県庁を退職した。以前から、中村課長には打ち明けていたが、ずーと反対されていた。いずれ、技術センターに移動することもあるからということだったが、最後には、納得してくれた。それに、島の村役場のほうにも、掛け合ってくれて、空き家を借りられることになった。
漁協のほうにも話をしてくれて、もちろん、誠一郎さんの後押しもあって、勤められるようになった。島の漁師が捕ってきた魚を取りまとめて、取引先に売り渡したり、氷の用意とか運搬したりとか、いろいろな仕事があるのだが、僕にとってありがたいのは、空いた時間にサンゴの海の環境について調査研究ができるということだった。
僕は、みんなに感謝していた。夢を叶えることに、助けてくれている。島に移った時、最初に役所に、お礼に行った。すると、村長が相手をしてくれた。
「中村さんからも聞いているよ。島に移り住んでくれる若い人は大歓迎だよ。真面目な男なんで、見守って欲しいとも。ここは、漁業ときれいな海しか無くてね、サンゴも守る政策をなんとか進めなければ思っています。でも、そういう志しを持った若い人がここに住んでくれて、心強いのです 君が切り口になってくれると期待しています」
「はぁー・・・ 住むところをご紹介していただきまして、ありがとうございます。仕事のことも、助けていただいて」
「いや、仕事の方は、漁協と話しあってね カンコーさんのほうも、ここの魚の取り扱いも確保してくれてね 漁師も喜んでいるよ カンコーさんは新しい形を考えているみたいだよ それに、今後、サンゴの保護活動にも賛同してくれるそうだ」
「そうなんですか 神谷さんは、そこまでしてくださっていたんですね」
「いや 君みたいな若い人のチカラになるのは、我々の努めだよ 頑張って、ずーと海を守って、この島を盛り上げていってくださいね」
- - - - - ☆ ☆ ☆ - - - - -
私は、社長さんの帰って来るのを待っていた。
「モトシのこと、いろいろありがとうございます。私、彼から聞くまで知らなくて」
「いや それは、誠一郎がやってたことなので、ワシはあとから聞いた。なんだか、良かったじゃあないか。でもな、絢さんも一緒に行くんだろう 会社にとっては、痛手なんだ 今は、君は誠一郎の右腕みたいなもんだからな」
「でも 私・・」
「心配するな 誠一郎とも、そこは相談している 悪いようには、しない 大切な娘さんを預かっているんだから うちの会社にとっても宝物だし 彼にとっても宝物なんだろう」
「社長さん 私・・」下向いて、感謝しながら、涙を押さえていたんだと思う。
「あなた どうして、絢ちゃんを泣かせているのよ なにを言ったのよ かわいそうに」と、その時、奥さんが側に来た。
「いや ワシは何もひどいことは・・」
「ちがうんです 奥さん うれしくって こんなに大切に思っていただいて・・ 私 何にもできないのに」
「なにいってるのよ 絢ちゃんが良い娘だから 何にでも、一生懸命で あなたは、頑張ってきたじゃない 会社の中の雰囲気も前とは、全然違うのよー 不思議なものでね なんか 皆が活気があるのよー だから、私達も、出来るだけのことはしようと思っているのじゃない」と、奥さんが言ってくれた。
漁協のほうにも話をしてくれて、もちろん、誠一郎さんの後押しもあって、勤められるようになった。島の漁師が捕ってきた魚を取りまとめて、取引先に売り渡したり、氷の用意とか運搬したりとか、いろいろな仕事があるのだが、僕にとってありがたいのは、空いた時間にサンゴの海の環境について調査研究ができるということだった。
僕は、みんなに感謝していた。夢を叶えることに、助けてくれている。島に移った時、最初に役所に、お礼に行った。すると、村長が相手をしてくれた。
「中村さんからも聞いているよ。島に移り住んでくれる若い人は大歓迎だよ。真面目な男なんで、見守って欲しいとも。ここは、漁業ときれいな海しか無くてね、サンゴも守る政策をなんとか進めなければ思っています。でも、そういう志しを持った若い人がここに住んでくれて、心強いのです 君が切り口になってくれると期待しています」
「はぁー・・・ 住むところをご紹介していただきまして、ありがとうございます。仕事のことも、助けていただいて」
「いや、仕事の方は、漁協と話しあってね カンコーさんのほうも、ここの魚の取り扱いも確保してくれてね 漁師も喜んでいるよ カンコーさんは新しい形を考えているみたいだよ それに、今後、サンゴの保護活動にも賛同してくれるそうだ」
「そうなんですか 神谷さんは、そこまでしてくださっていたんですね」
「いや 君みたいな若い人のチカラになるのは、我々の努めだよ 頑張って、ずーと海を守って、この島を盛り上げていってくださいね」
- - - - - ☆ ☆ ☆ - - - - -
私は、社長さんの帰って来るのを待っていた。
「モトシのこと、いろいろありがとうございます。私、彼から聞くまで知らなくて」
「いや それは、誠一郎がやってたことなので、ワシはあとから聞いた。なんだか、良かったじゃあないか。でもな、絢さんも一緒に行くんだろう 会社にとっては、痛手なんだ 今は、君は誠一郎の右腕みたいなもんだからな」
「でも 私・・」
「心配するな 誠一郎とも、そこは相談している 悪いようには、しない 大切な娘さんを預かっているんだから うちの会社にとっても宝物だし 彼にとっても宝物なんだろう」
「社長さん 私・・」下向いて、感謝しながら、涙を押さえていたんだと思う。
「あなた どうして、絢ちゃんを泣かせているのよ なにを言ったのよ かわいそうに」と、その時、奥さんが側に来た。
「いや ワシは何もひどいことは・・」
「ちがうんです 奥さん うれしくって こんなに大切に思っていただいて・・ 私 何にもできないのに」
「なにいってるのよ 絢ちゃんが良い娘だから 何にでも、一生懸命で あなたは、頑張ってきたじゃない 会社の中の雰囲気も前とは、全然違うのよー 不思議なものでね なんか 皆が活気があるのよー だから、私達も、出来るだけのことはしようと思っているのじゃない」と、奥さんが言ってくれた。
20
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる