74 / 80
第13章
13-2
しおりを挟む
私は、社長さんと誠一郎さんに呼ばれて、会議室に居た。モトシが島に行って、1ト月程経っていた。
「本町さん 彼とはどうなんだ というか、結婚の話はしているのかな」
「いえ 私等、まだ・・あのー そのうち・・」
「そうだろうな 彼は、そういうことは、絢ちゃんをほったらかしだろうな 僕なりに、いろいろ考えた 会社にとって、今、君に居なくなられては困る かといって、彼のもとに行くなとは言えない」
「私 お世話になっているのに、そんな我儘言えないです」
「君は、そーなんだよねー あの島にね、女性一人で民宿をやっている人が、誰か手伝ってくれる人が居ないか、探している。どうだろう 会社の方は、週に1回なり2回ほど出てくれば良い。あとは、オンラインとかで何とかなるだろう」
「私 島に住めるんですか」
「うん 行きたいんだろう?」
「行きたいです 何でも、やります 夢みたい 社長さんも部長もありがとうございます」
「ワシは 何にも・・・ 誠一郎が段取りしとるから 絢さんの笑顔が見れたら、ワシは満足なんだ」
「実は、あそこに魚の処理施設を作ろうと思っている。新鮮なうちに、こっちへ運んで、新しい工場で、それを加工する。その工場の建設も計画中だ。向こうの漁協とも相談しながらね。そうなれば、水島君にも協力してもらうことになると思う。君にもね。順調にいけば、海の環境を守るという意味でサンゴの保護にも賛同していく」と、誠一郎さんが説明してくれていた。
「とっても、いい話だと思いますけど、私、わからないので・・もしかすると、彼、処理施設の排水なんか、気にするかも知れません」
「もちろん そこは、水島君の意見を聞きながら、進めるよ」
「絢さん 君達は、まだ、結婚はしないのか これを機にどうかね」と、社長さんが聞いてきた。
「私 まだ」下を向いていると
「まだ 言われてないのか」
「今まで、何となくなんですけど 一緒に居てくれってとは 言われたんですけど・・・まだ・・具体的には・・・」
「そうなんか それは、かわいそうだなぁ 待っているんだろう? 予約だけしておいて、ほったらかしとはなぁ なんとかせんとな なぁ誠一郎」
「と いいましても これは、ふたりの問題でして」
「そんなことあるか ひとんちの大事な娘をなんだと思っているんだ ワシも本町さんに顔向けできないぞ ハッキリするように、彼に言え なぁ、絢さん」
「そんなぁ 私 呼んでくれるまで、待ってます 彼の側に行けたら、それだけで幸せです」
「いじらしいのぉー 誠一郎 先に、ワシは、その民宿の主人に、会って来る。その時に、水島君をけしかけて来るぞ あさって 家内と一緒に、泊りに行くから、手配してくれ 絢さんを預けるにしても、どんな人か、会っておかないとな」
― ― ― ☆ ☆ ☆ ― ― ―
私達の結婚が10月の初めに決まった。あっと言う間だった。社長さんたちが島に入った後、どういう風に話してくれたのか、モトシがご両親と一緒に、私の実家に結婚の申し込みに行ってくれた。式は簡素にということだったけど、うちのお母さんが、娘の絢には、どうしても白無垢とウェディングドレスを着せたいと言っていたらしい。私がどうしても、簡素に言い張ったので、結局、白無垢は写真だけということになった。
7月の梅雨が明けて、私は、島に行って、お世話になる民宿に挨拶に行った。70近いおばさんで、20年くらい前にご主人に先立たれ、子供達も東京に行って、帰ってこないらしい。お客さんが多いときには、大変なので断っている状態らしい。顔を見せると、すごく喜んでくれた。親しみやすかったので、私は、8月の会社休みの時には、手伝いに来ると言ってしまった。
帰る前、モトシの借りている家にも行ってみた。汚れた白い壁のお家。汚くて、一瞬、こんなとこって思ってしまった。ぜいたく言えないか、私達の第一歩なんだ。鍵も掛かっていなかった。電気製品であるのは、冷蔵庫、炊飯器だけで、他には、本と服と鍋が2ツとフランパンと少しの食器だけ。布団だって、敷きっぱなしの1組だけだし、洗濯物をロープに吊るしてあった。モトシってこんな生活しているのかしら。ちゃんと ご飯たべているのかしら・・・覚悟しているとはいえ、私、生活出来るんだろうかと思いながら、台所とか、お風呂、便所を掃除して、家を出た。今日は、多分、モトシは仕事で会えない。
茜が7月の末に出産予定だという。去年、夏の終わりに結婚していた。卒業してから、直ぐに、小野原さんと同棲をしていて、教員になるのもあきらめていたみたいだ。結局、小野原さんの手伝いをしていたみたい。式には、私行かなかったけど、慎二と葵、詩織は出席して、小野原さんの仕事の関係で出席者も多く、豪華だったということだ。
モトシが、式場を決める為、島から来ていた。披露宴は島でやりたいと言っていた。私は、もともと、ふたりだけで式だけあげれれば、いいと思っていたので、それは、それでも良かった。結局、ホテルの教会と身内だけの会食会場、貸衣裳だけを決めたんだけど、その後も、お母さんが、私のドレスは仕立てるからと言って、何度も打ち合わせに来ることになる。
「本町さん 彼とはどうなんだ というか、結婚の話はしているのかな」
「いえ 私等、まだ・・あのー そのうち・・」
「そうだろうな 彼は、そういうことは、絢ちゃんをほったらかしだろうな 僕なりに、いろいろ考えた 会社にとって、今、君に居なくなられては困る かといって、彼のもとに行くなとは言えない」
「私 お世話になっているのに、そんな我儘言えないです」
「君は、そーなんだよねー あの島にね、女性一人で民宿をやっている人が、誰か手伝ってくれる人が居ないか、探している。どうだろう 会社の方は、週に1回なり2回ほど出てくれば良い。あとは、オンラインとかで何とかなるだろう」
「私 島に住めるんですか」
「うん 行きたいんだろう?」
「行きたいです 何でも、やります 夢みたい 社長さんも部長もありがとうございます」
「ワシは 何にも・・・ 誠一郎が段取りしとるから 絢さんの笑顔が見れたら、ワシは満足なんだ」
「実は、あそこに魚の処理施設を作ろうと思っている。新鮮なうちに、こっちへ運んで、新しい工場で、それを加工する。その工場の建設も計画中だ。向こうの漁協とも相談しながらね。そうなれば、水島君にも協力してもらうことになると思う。君にもね。順調にいけば、海の環境を守るという意味でサンゴの保護にも賛同していく」と、誠一郎さんが説明してくれていた。
「とっても、いい話だと思いますけど、私、わからないので・・もしかすると、彼、処理施設の排水なんか、気にするかも知れません」
「もちろん そこは、水島君の意見を聞きながら、進めるよ」
「絢さん 君達は、まだ、結婚はしないのか これを機にどうかね」と、社長さんが聞いてきた。
「私 まだ」下を向いていると
「まだ 言われてないのか」
「今まで、何となくなんですけど 一緒に居てくれってとは 言われたんですけど・・・まだ・・具体的には・・・」
「そうなんか それは、かわいそうだなぁ 待っているんだろう? 予約だけしておいて、ほったらかしとはなぁ なんとかせんとな なぁ誠一郎」
「と いいましても これは、ふたりの問題でして」
「そんなことあるか ひとんちの大事な娘をなんだと思っているんだ ワシも本町さんに顔向けできないぞ ハッキリするように、彼に言え なぁ、絢さん」
「そんなぁ 私 呼んでくれるまで、待ってます 彼の側に行けたら、それだけで幸せです」
「いじらしいのぉー 誠一郎 先に、ワシは、その民宿の主人に、会って来る。その時に、水島君をけしかけて来るぞ あさって 家内と一緒に、泊りに行くから、手配してくれ 絢さんを預けるにしても、どんな人か、会っておかないとな」
― ― ― ☆ ☆ ☆ ― ― ―
私達の結婚が10月の初めに決まった。あっと言う間だった。社長さんたちが島に入った後、どういう風に話してくれたのか、モトシがご両親と一緒に、私の実家に結婚の申し込みに行ってくれた。式は簡素にということだったけど、うちのお母さんが、娘の絢には、どうしても白無垢とウェディングドレスを着せたいと言っていたらしい。私がどうしても、簡素に言い張ったので、結局、白無垢は写真だけということになった。
7月の梅雨が明けて、私は、島に行って、お世話になる民宿に挨拶に行った。70近いおばさんで、20年くらい前にご主人に先立たれ、子供達も東京に行って、帰ってこないらしい。お客さんが多いときには、大変なので断っている状態らしい。顔を見せると、すごく喜んでくれた。親しみやすかったので、私は、8月の会社休みの時には、手伝いに来ると言ってしまった。
帰る前、モトシの借りている家にも行ってみた。汚れた白い壁のお家。汚くて、一瞬、こんなとこって思ってしまった。ぜいたく言えないか、私達の第一歩なんだ。鍵も掛かっていなかった。電気製品であるのは、冷蔵庫、炊飯器だけで、他には、本と服と鍋が2ツとフランパンと少しの食器だけ。布団だって、敷きっぱなしの1組だけだし、洗濯物をロープに吊るしてあった。モトシってこんな生活しているのかしら。ちゃんと ご飯たべているのかしら・・・覚悟しているとはいえ、私、生活出来るんだろうかと思いながら、台所とか、お風呂、便所を掃除して、家を出た。今日は、多分、モトシは仕事で会えない。
茜が7月の末に出産予定だという。去年、夏の終わりに結婚していた。卒業してから、直ぐに、小野原さんと同棲をしていて、教員になるのもあきらめていたみたいだ。結局、小野原さんの手伝いをしていたみたい。式には、私行かなかったけど、慎二と葵、詩織は出席して、小野原さんの仕事の関係で出席者も多く、豪華だったということだ。
モトシが、式場を決める為、島から来ていた。披露宴は島でやりたいと言っていた。私は、もともと、ふたりだけで式だけあげれれば、いいと思っていたので、それは、それでも良かった。結局、ホテルの教会と身内だけの会食会場、貸衣裳だけを決めたんだけど、その後も、お母さんが、私のドレスは仕立てるからと言って、何度も打ち合わせに来ることになる。
20
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる