それから 本町絢と水島基は

すんのはじめ

文字の大きさ
75 / 80
第13章

13-3

しおりを挟む
 8月になって、最初の土曜日、朝早く、島に向かった。モトシが港まで迎えに来てくれていた。だけど、彼は、潜りに行くと言って、民宿まで一緒に行ってくれたけど、そこで、別れた。

「おばさん こんにちは 何から、手伝えば、いい?」

「おはよう 朝から、ありがとうね 本当にきてくれたのー ×※×※×・・」

 最後は、何いっているのか、聞き取れなかった。

「おばさん 私、着替えたいんだけど、奥でいい?」

「いいよ そこの右っかわが、私等の部屋だから 先に、[あ]と[か]の部屋のシーツと枕カバー、はがして洗ってくれるか―」
 
 ここは、10室あって、1階が4室、2階が6室ある。1階が[あ][い][う][え]、2階が[か][き][く][け][こ][そ]。だけど、もう、独りでは大変なので、2階は使ってなかったらしい。でも、今日は私が来るので、今晩の人を2階にも泊めるらしい。今晩は、もう2組が来る。

 洗濯物を2階のデッキに干していた時、私も、ここを借りよって思っていた。なんか、あそこ、草だらけだし、道路からも近いし見られたら嫌だ。お客さんの布団も用意して、下に降りてゆくと

「絢ちやん ご飯食べよ ×××・・よぅ」おばさん、言ってくれたけど、聞き取れない。

 配膳の机らしき上には、イカのお刺身が少しと、ラッキョウの漬けたの、巻き貝みたいなものの汁ものとご飯。

「おばさん イカがコリコリしておいしー お米もおいしいわー」

「そうかい たくさん、お食べ」と、嬉しそうな笑顔だった。

「おばさん 私、お昼はあんまり食べないから、忙しいのに、用意してくれなくても良いですよ。おにぎり1コ、自分で作ります」

「そんな 若いのに おにぎりって×××  ※※  だのー 言葉が解らないだろうから、気をつけて話してるのだけど」

「いいんです なんとか、わかるようになりますから 気を使わないでください」

「絢ちゃんは、良い娘だね 来てくれて、本当に、良かった。※×※× ご飯、食べたら、夕方まで、時間あるから、散歩しといで」

 私、少し、ウキウキしていた。近くの食品店でアイスクリームを買おうと入って行った。

「観光の人かい」って聞かれて

「私、そこの民宿で働いているんです。10月から、ここに、住むのでよろしく、お願いします」

「本当かい こんな美人が来るなんて、×××× うれしいねぇ ※※※※」

 私は、海辺に行って、食べながら、だんだんと実感が湧いてきていた。海の色がきれいで、キラキラしている。私は、ここで暮らしていくんだと覚悟した。

 戻ると、おばさんは、夕食の準備を始めていた。

「ごめんなさい 私、何をやればいいですか」

「そこの佃煮と漬物、入れて、×※×※その横に置いてある器。11コよ」

 手際よく、次々にお料理をおばさんは作って、私は盛り付けて行った。そのうち、宿泊の人が来たりして、みんな、おばさんに挨拶をしてきた。馴染みのお客さんみたいだった。

「おばさん 今日も世話になるね こんなかわいい娘、誰?」と、みんなが言っていた。

「うちの孫だよ 島内で一番、いっぺー ちゃらさんどー うちで働いてくれることになったよ 手出したらダメだよ ※※※だじゃー」と、言っていた。

「えぇ そうなんか じゃぁ もっと、来るようにしなきゃぁな 楽しみが増えるよ」

 夕食の片づけを終えて、私達もご飯を食べていたら、裏口から、モトシが顔を出した。

「あっ モトシ」私が言うと

「やっぱり、あんたかい、最近越してきたって言ってたからね。※×※×多分、そうだと思っていたよ。よく働くし、美人だし、こんな娘をよく見つけたね ×※×・・・せんとなー」

「はぁ 大切にします」

 私達は、海に向かって歩いていた

「モトシ ご飯は?」

「うん 食べたよ」

「ねぇ ちゃんと、食べてる? カップラーメンばっかり、置いてあったけど なんか、越す前より、乱れているみたい。ウチ 男の人の部屋って、あんまり知らんけど・・なぁ 洗濯機買うわ そーしたら、ウチが来た時、まとめて、洗濯するし 今、手で洗ってるんやろー そーしょ」

「うん だけどな 絢に負担掛けるの悪いしなぁー」

「なに、ゆうてんのー ウチはあなたの妻なんですもの、当たり前やん エヘッ 一回、言ってみたかってん」

「そうか 頼りにしてるわ」
 
「大丈夫や それとな、土曜の夜はウチも居てるし、あそこでご飯食べてーな おばさんには、ウチから、ゆうとくし ちゃんと、食べてるか、心配やねん」

「うん、わかった 絢が作ったものなら それより、絢がうちに、泊ればどうなん」

「うん でもな 結婚前やし、余計なこと言われるのって嫌やしな もう、少しやん 結婚したら、その分、可愛がってな あー 茜が男の子産まれたって 幸せそうに言ってたよ」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」 「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」 「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」 県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。 頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。 その名も『古羊姉妹』 本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。 ――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。 そして『その日』は突然やってきた。 ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。 助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。 何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった! ――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。 そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ! 意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。 士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。 こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。 が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。 彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。 ※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。 イラスト担当:さんさん

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

処理中です...