私の辛かった思い あんたにぶつかっていくわ!

すんのはじめ

文字の大きさ
22 / 67
第5章

5-5

しおりを挟む
 西田先輩、多田先輩、麗香、美湖、こころとみく美も1次予選を突破していた。そして、ダブルスの西田先輩とみく美のペァも。

 だけど、中間考査が終わって、又、私は罵声を浴びせられながらコートに居た。

「だからー レシーブの時、バックスイングが小さくなってきてるんだってぇー 打ち切れて無いじゃぁ無い! 何回も言わすんじゃぁないわよー 手で捏ねてるだけやんかー ヤル気無いんだったら やめっちまえー!」

 何時ものことなんだけど・・・なんで、こんなに言われなきゃーなんないのよー と、涙が浮かんでくるのだ。以前は、お前の喉元に喰らいついてやるとからと、誓っていたから我慢できたんだけど、今は、失せてしまっているから、私も、自信失くして、グラついていた。

 2次予選が始まって、個人戦の1回戦で織部部長と美湖が当たっていて、美湖は敗退してしまった。麗香とこころも敗退で、それに、多田先輩は2回戦で、みく美も璃々香先輩と当たってしまって、敗退。私は、順調に準々決勝まで残ってきたのだけど、対戦相手は織部部長だった。

「山葵 負けないわよー あなたの手の内は よぉーく 知ってるんだからーネ」

 私は、サーブの時は素直に打つことにしていった。リードを許していて、だけど、途中からレシーブの時は前に出て、ダイレクトで大きく弓なりにジャンプして斜め上から叩きつけるようにしながら、身体を捻りながらフォロースルーを・・・ボールがドライブがかかったようになって、はずんだ後、大きく織部先輩の胸元に・・。璃々香先輩から仕込まれた打ち方なのだ。その勢いのまま、私はマッチポイントを迎えて、その時、初めて身体を大きく弓なりに反らして、私の得意のサーブを繰り出した。決まったー。

「山葵 お手上げよ 知らない間に、色んな事が出来るようになっていたのネ 準決勝も勝ち進んでネ」

 だけど、準決勝の相手は、学館のエースと言われている人。衣笠響きぬがさひびき。近畿大会の予選の時も、負けていた。試合前、スタンドには、璃々香先輩のお兄さんと言う人が来ていて、眼が合ってしまった。向こうは笑顔で小さく手を振って来て、聞こえなかったが口では 頑張って と、言っているような気がした。私は、思わず、頭をぴょこんと下げてしまったいた。少し、勇気をもらったような・・。

 前半から、前後に揺さぶられて、中半端なターンは無くて、私、仕掛けられなかった。その上、私のサーブを受ける時も、少し下がっていて確実に変化を捉えられていたのだ。ずるずると思う様に反撃も出来ないままに負けてしまった。この前よりも、一方的だった。

 反対ブロックの璃々香先輩は無難に、学館の2番手と言う人も退けて、決勝に進んでいたのだ。

「先輩 すみません ウチ 先輩と決勝で戦いたかった」

「うふっ 甘かったわねー 山葵 操との時、手の内 みんな見せちゃうんだものー 響は もう あなたを研究してきているワ ビデオを見返してネ パターンを覚えて、弱点を探してネ まだまだ 山葵は、対応した作戦が出来ないわね だけど、あの王者の衣笠響が山葵のこと 軽く見てない証拠よ ここまで、やれたのは、立派なもんよ」

「・・・だってー 部長に勝ちたかったんだものー 必死で・・・」

「それは、わかるけど、本当は 衣笠響にも、山葵が勝つ チャンスあったばずなのに あなたが操の時に [必殺技 水の呼吸 参の型]を披露しちゃうからよー 研究されちゃったー 操には、粘り強くコーナー突いていれば勝てたはず」

「なんなんですか? その水のー ってぇー」

「わかんなきやー いいわよ 鬼滅よー 知らないの?」

「ハァー 漫画のー ・・・ 先輩 私 必死だったんですけど 今 ふざけてます?」

「うんまぁー 山葵 あんまり 悲壮な顔してるから」

「だって 先輩のお兄さんも応援してくれてたのにー・・・情けないから」

「あっ そう お兄ちゃん 山葵のファンなんだね きっと 好きなんだよ」

「あのー さっきから ウチのことで 遊んでません?」

「ふふっ 山葵 もっと 肩の力抜いて行こうよー」

「そんなー 先輩・・・ 必ず 勝って かたき とってくださいネ」

 いきなり、私のことを抱きしめながら

「ふふっ どうだかね 私も 一回も勝ってないのよ だけど、山葵もリベンジしたいでしょ」と、意味有り気に ささやいてきていたのだ。

 — — — * * * — — —
 
 璃々香先輩と衣笠響の決勝が始まって、お互い同じようにポイントを取り合っていたけど、1セットマッチなのでゲーム数が4-2になって璃々香先輩がリードしていたのだが、その後・・・急に、璃々香先輩が相手の左サイドライン際ばかりを狙うようになって、結果、左右に振られ続けて、ゲームカウントも連続で取られ続けて、敗退してしまっていた。

「どうしたんですか? 最後おかしかったですよね」

「へぇー そうかなー 相手のほうが上手かったんじゃあないのー 京都の女王だから」

「ウソです 先輩 何か おかしいぃー」

「ウフツ その女王のペァを倒すのは 山葵でしょ」

「先輩 もしかして ウチのことを・・ リベンジしたいでしょって言ってましたよね? バカです! 先輩は ウチなんかのことを・・」

「ウフフッ そのバカ者と組んでいる後輩は大バカ者よね だけど、頂点に立つのよ! 私は個人で京都の頂点なんか目指してないわ」

 そして、私達は先輩のお兄さんが撮ったという前回の学館ペァのビデオを見て、対策を打ち立てていったのだ。そして、練習。あの[参の型]というのをサーブでやれ というのだ。

「先輩 無理です あれは走って踏み込まなければ高くジャンプ出来ないです 腕だって曲がっちゃいそうで・・」と、訴える私に

「大丈夫 弱音吐くんじゃあない 山葵は身体が柔らかいし ジャンプ力もあるのよ ほらっ [参の型]! 響は山葵の外に流れる[壱の型]しか頭に入ってないわ だから、[参の型]だと、はずんで胸元に食い込んでくるから、戸惑って、まともなリターンは出来ないはずよ 真っ向からやっても、近畿大会予選の時みたいにすんなりいかないわよ!」

「先輩 また ウチで遊んでないですか? 漫画みたいに簡単に・・」

「そう 漫画みたいに ヒロインなのは 山葵よ はやぁーくぅ もう一つあるんだからネ 秘技がー」

「えぇー もう、ええ加減にして下さいー ウチ オモチャじゃあないんですからー」

「オモチャねえー コーチから言われたワ 山葵はお前のオモチャじゃぁないんだから、大切にしろよっ もちろん 大切に育ててるヨ 山葵にやらせてることは、昔のチャンピオン沢井智子さんが若い頃 実際に挑戦していたことよ」

「挑戦でしょっ ウチに出来るわけないじゃぁないですかーぁ」

「山葵なら 出来る だって [参の型]もすぐに出来たじゃぁない あのねー 今のままで響に通用しないことわかったでしょ! 相手を憎まなきゃーだめよ!」

 私は、その日も次の日も遅くまで、しごきに耐えて続けていたのだ。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...