23 / 67
第5章
5-6
しおりを挟む
ダブルスの試合が始まって、2回戦で織部部長のペァと西田先輩とみく美のペァがぶつかっていた。試合は、タイブーレークのすえ織部部長と多田先輩のペァが勝ち進んだのだけど、順々決勝であの学館の衣笠ペァに負けてしまったのだ。学館の衣笠ペァはその後も、洛中国際のペァを退けて、決勝に進んできていた。
私達のペァは順調に勝ち進んで、準々決勝で学館の第2ペァを打ち破って、準決勝も難なくストレート勝で決勝に臨んでいた。
「いい? 山葵 この時の為に練習やってきたんだからね 響はあなたを研究してきてるわ だけど、山葵のサーブ 1本目も2本目も [参の型]よ 多分 衣笠は山葵の得意のサーブが頭に入っているから、戸惑うはずよ だけど、3本目から [壱の型] それで、相手のリターンは浮いてくるはず 私はボレーをクロスで前衛の逆サイドに返すわ」
「えぇーぇ 大丈夫かなー 入るカナー」
「何言ってんの! 入れるのよ! 頂点に立つんでしょ!」
そして、私達はラッキーにも、私が最初にサーブを打つことになった。向こうは、璃々香先輩の予想通り、衣笠響が後衛で、そして、最初のサーブを言われていたように、[参の型]で・・・入った・・・そして、レシーブはネットまでも届いてこなかった。そして、2本目も。確かに、衣笠響は戸惑っていたようだ。そして、次のサーブの時はもっとラインから離れて待ち受けていたのだ。だけど、私の得意のサーブは、その後、立て続けにポイントを奪って、ストレートでゲームポイントを取っていた。
1ゲーム目が終わった後、向こうのペァは何かを言い合っていたが、混乱している様だった、だけど試合は3-3になって、7ゲーム目、璃々香先輩が
「ころあいを見て [秘技 滝壺]ネ 衣笠響にぶつけてやりなさい」と、
そして、璃々香先輩は深い所のコーナーをめがけてショットを打ち込んでいて、私はミドルの位置から・・・ジャンプして、斜め上から思いっ切り打ち下ろしてドライブのかかったショットを衣笠響の腰辺りをめがけて、打ち込んでいった。案の定、ネットを超えて返って来ることは無かったのだ。
そのゲームは私を好きなように飛ばしてくれて、先輩のコーナーを突いたショットの合間に、先輩の言う[滝壺]とか[参の型]のショットを自由に連発していて、そのゲームもストレートで取っていた。そのままの勢いで第8ゲームも取っていた。5-3になっていた。あと1ゲーム。
「山葵 今まで、何のために練習してきたの?」と、次のゲームの前に聞いてきた。
「頂点に立つためです」
「そうよ 楽だった?」
「ううん 辛かった」
「そうでしょ それを乗り越えてきたのよ 自信持って行きましょうネ 思いっ切り女王 衣笠響に打ち込むのよ シングル戦の時のリベンジよ 自分に自信持って!」
そして、1本目はジャンプして思いっきり身体を反らして打ち込んだ。バウンドした後、大きくそれて行くように・・・衣笠響は追いきれなかったのだ。そして、次は[参の型]。浮いて返ってきたボールを璃々香先輩が叩きつけるようなボレーで。その後も、璃々香先輩は相手の前衛にボールを触らせるようなことはしなかった。そのまま私達の勢いは止まらなかったのだ。そして、マッチポイントを迎えて、中途半端なレシーブが返って来て「先輩 私」と、後ろから大きく飛び込んで、力の限り[滝壺]を女王の腰の辺りを目指して打ち込んでいった。衣笠響のレシーブのボールがネットの手前で落ちて力無く転がっていたのだ。
「やったー」と、私は璃々香先輩に飛びついていった。衣笠響のペァは呆然していた。そして、表彰式の後、衣笠響が私のもとに来て
「優勝おめでとうネ 完敗! あなたには、驚かされてばっかりだわ でも、次は頑張るからネ」と、立ち去ろうとしたけど、振り向いて
「聞かせてー どうして、個人戦のときは仕掛けてこなかったの?」
「・・・ウチ・・あの時、衣笠さんに圧倒されてしまって・・出来なかった。璃々香先輩と一緒でないと駄目なんです」
その時、衣笠響は璃々香先輩のほうを向いて
「今度は手を抜かないでネ 最後のインターハイよ」と、個人戦の決勝でのことを言っているのだろう。
「手なんか抜いてないよ あなたは女王なんだから・・でも、シングルって孤独よね 喜びも・・ 私には、今 喜びあえる相棒がいるのよ!」
衣笠響はぷいっと振り返って立ち去って行ったのだ。そして、次の日、学校で恒例のように校長室に呼ばれて、体育館の壇上では労いの言葉を受けて居たのだ
私達のペァは順調に勝ち進んで、準々決勝で学館の第2ペァを打ち破って、準決勝も難なくストレート勝で決勝に臨んでいた。
「いい? 山葵 この時の為に練習やってきたんだからね 響はあなたを研究してきてるわ だけど、山葵のサーブ 1本目も2本目も [参の型]よ 多分 衣笠は山葵の得意のサーブが頭に入っているから、戸惑うはずよ だけど、3本目から [壱の型] それで、相手のリターンは浮いてくるはず 私はボレーをクロスで前衛の逆サイドに返すわ」
「えぇーぇ 大丈夫かなー 入るカナー」
「何言ってんの! 入れるのよ! 頂点に立つんでしょ!」
そして、私達はラッキーにも、私が最初にサーブを打つことになった。向こうは、璃々香先輩の予想通り、衣笠響が後衛で、そして、最初のサーブを言われていたように、[参の型]で・・・入った・・・そして、レシーブはネットまでも届いてこなかった。そして、2本目も。確かに、衣笠響は戸惑っていたようだ。そして、次のサーブの時はもっとラインから離れて待ち受けていたのだ。だけど、私の得意のサーブは、その後、立て続けにポイントを奪って、ストレートでゲームポイントを取っていた。
1ゲーム目が終わった後、向こうのペァは何かを言い合っていたが、混乱している様だった、だけど試合は3-3になって、7ゲーム目、璃々香先輩が
「ころあいを見て [秘技 滝壺]ネ 衣笠響にぶつけてやりなさい」と、
そして、璃々香先輩は深い所のコーナーをめがけてショットを打ち込んでいて、私はミドルの位置から・・・ジャンプして、斜め上から思いっ切り打ち下ろしてドライブのかかったショットを衣笠響の腰辺りをめがけて、打ち込んでいった。案の定、ネットを超えて返って来ることは無かったのだ。
そのゲームは私を好きなように飛ばしてくれて、先輩のコーナーを突いたショットの合間に、先輩の言う[滝壺]とか[参の型]のショットを自由に連発していて、そのゲームもストレートで取っていた。そのままの勢いで第8ゲームも取っていた。5-3になっていた。あと1ゲーム。
「山葵 今まで、何のために練習してきたの?」と、次のゲームの前に聞いてきた。
「頂点に立つためです」
「そうよ 楽だった?」
「ううん 辛かった」
「そうでしょ それを乗り越えてきたのよ 自信持って行きましょうネ 思いっ切り女王 衣笠響に打ち込むのよ シングル戦の時のリベンジよ 自分に自信持って!」
そして、1本目はジャンプして思いっきり身体を反らして打ち込んだ。バウンドした後、大きくそれて行くように・・・衣笠響は追いきれなかったのだ。そして、次は[参の型]。浮いて返ってきたボールを璃々香先輩が叩きつけるようなボレーで。その後も、璃々香先輩は相手の前衛にボールを触らせるようなことはしなかった。そのまま私達の勢いは止まらなかったのだ。そして、マッチポイントを迎えて、中途半端なレシーブが返って来て「先輩 私」と、後ろから大きく飛び込んで、力の限り[滝壺]を女王の腰の辺りを目指して打ち込んでいった。衣笠響のレシーブのボールがネットの手前で落ちて力無く転がっていたのだ。
「やったー」と、私は璃々香先輩に飛びついていった。衣笠響のペァは呆然していた。そして、表彰式の後、衣笠響が私のもとに来て
「優勝おめでとうネ 完敗! あなたには、驚かされてばっかりだわ でも、次は頑張るからネ」と、立ち去ろうとしたけど、振り向いて
「聞かせてー どうして、個人戦のときは仕掛けてこなかったの?」
「・・・ウチ・・あの時、衣笠さんに圧倒されてしまって・・出来なかった。璃々香先輩と一緒でないと駄目なんです」
その時、衣笠響は璃々香先輩のほうを向いて
「今度は手を抜かないでネ 最後のインターハイよ」と、個人戦の決勝でのことを言っているのだろう。
「手なんか抜いてないよ あなたは女王なんだから・・でも、シングルって孤独よね 喜びも・・ 私には、今 喜びあえる相棒がいるのよ!」
衣笠響はぷいっと振り返って立ち去って行ったのだ。そして、次の日、学校で恒例のように校長室に呼ばれて、体育館の壇上では労いの言葉を受けて居たのだ
10
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる