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第6章
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それから、山水と白木屋君が私の優勝のお祝いで、仲間で集まろうと、日曜日のお昼にしてくれることになった。その日は、仕出しも法事の10客だけで、お店のほうは夜まで入って無いからと、健也さんも送り出してくれた。
12時に近所のおばぁさんがやっているお好み焼き屋さん。私も、中学の時、何回か来たことがあるのだ。4人掛けのテーブルが2つと3人座れるカウンターがある小さな古くからあるお店なのだ。
お店に向かう途中、亜里沙と進藤智則君と出会って一緒にお店の前まで来ると、キラちゃんがお店の近くでうろうろしていた。パステルグリーンのフレァなスカートに子猫の絵柄のトレーナー姿だった。そして、肩から猫の顔のポシェットを下げていた。
「あらっ どうしたの? キラちゃん」
「あっ 山葵さん 私 お店 教えてもらってたんだけど ここで 良いのかなーって迷っていて・・」
「うん ここよ 入りましょ」
中に山水と白木屋君が待っていた。
「おぉー チヤンピオンの登場かー」
「登場か じゃぁないわよ キラちゃん 表で迷っていたみたいよ 白木屋くん なんで 一緒に連れてきてあげないのよー!」
「なんでって ちゃんと 場所教えたしー 子供じゃぁないんだからー」
「山葵さん 私が悪いんです 教えてもらったのに ちゃんと来れなくて・・」
この子、本当に純粋というのか、育ちが良すぎるのか・・・私は、それ以上なにも言えなかった。愛おしくなって、私の隣に座らせていた。おそらく、お店はわかっていたのだけど、初めてのことで、独りで入る勇気が無かったのだろう。
自分で焼くことも出来るのだが、この日はおばぁさんに焼いてもらって、前の鉄板に乗せてもらった。
「おばぁちゃん この山城山葵は京都のチャンピオンになったんだよ」
「そうかい テニスでかい?」
「えっ おばぁさん 私がテニス やってること・・・」
「ぁあー 覚えてるよ 前にウチに来てくれた時は、中学のテニス部の4人組で・・・お嬢はんは イカが大好きなんじゃな 多めに入れといたぞ」
「えぇー えっ そんなことまで・・・」
「ぁあー 天神中学の子なら 大概 覚えてるわー 匠は特にな 来た時は必ず 洗い物をして帰って行くんじゃ やんちゃそうなのに、みかけによらず 優しいんじゃ!」
「へぇーーぇ」と、私と亜里沙は揃って声が出てしまって、白木屋君の方を見ていた。だけど、他人事みたいに
「みんな コップ持ったかー? じゃぁ 未来の日本チャンピオンに・・・」
「そんなー 大それたことを・・ ウチ 先輩と一緒だったから・・」
「そんなの関係無いよ! じゃぁ 山城山葵 お め で とぉー」
みんなから、サイダーで祝福してもらって、お好み焼きをやけどしながら、ほおばっていると
「だけど 山葵が根に持っていた あの先輩と組んで 優勝までするなんて・・なぁー」
「山水 そのことは、もう、言わんとってぇよー ウチも反省してるんやからー だから、お返しのつもりもあって、必死にやってきたやん」
「キラちゃんも、優勝したんやよねー ウチだけやなー 何も無いのって」と、亜里沙が言ってたけど
「そんなことないよ 僕らも何も無いし それに、亜里沙 学年 トップらしいやんかー」と、智則君が言っていたけど
「亜里沙 ほんまぁー 前から勉強出来たけどなー」と、私は、少し、驚いていた。
「うん たまたまなー ウチ 博物館の学芸員になりたいねん そやから・・」
「ふぅーん もう 将来 見据えてるんやー ウチなんか テニスばっかーで・・・」
「まぁ ええやん まだ 打ち込めるもんがあって そのうち やりたいことが見つかるよ」と、半分、慰めに近い言葉だった。
— — — * * * — — —
この前会った時、みんなには内緒で山水とデートの約束をしていたのだ。少し、遅いけど嵐山の散り落ちている紅葉を歩こうよと・・・私、付き合おうよと言われて、もう、1年経つけど、二人だけのデートらしいのって1度だけなんだものー。今度も、私がお弁当作っていくからねと言っておいた。前も山水が美味しいといってくれた だし巻き卵。
待ち合わせて、電車で嵐山に行って、落柿舎から周ることにことにしたのだけど、歩いていても、しばらく山水は手もつなごうとしてこなかったのだ。何か私達の間には壁があるのだ。だけど、行き交うカップルはみんな仲良さそうに手を繋いでいたり、腕を絡ませていたり、逆に私達の方が不自然だった。私が、いじいじしていると、ようやく、私の鈍感彼氏は手を取ってきてくれたのだ。
それから、常寂光寺から大河内山荘まで落ちた紅葉を踏みしめ歩いた。ようやく、一息入れて
「なぁ 白木屋君達 前 デートで琵琶湖の竹生島に行ったんやってー それから、箱館山にも・・上から見る琵琶湖がきれいかってんよーって キラちゃんが」
「そうかー」と、山水は言った切りで、何にも続かなかった。私は、物足りない気持ちで、そのまま川の縁に行って、お弁当を広げた。
「うん うまい! 山葵の卵焼きうまいなぁー おにぎりもこのちりめん山椒もうまい!」
「そう ありがとう 作って来る甲斐あるわー」
その後は、たいした話にならないので、私は思い切って
「ねぇ ウチ等 付き合うっていって、もう、1年過ぎたやんかー でも、月に一度会うかどうかってー そらぁー ウチが悪いんやでー 違う学校に行ってしもたしー テニスばっかぁーでー ウチは山水のこと好きやでー でも 山水はどう思おてんのかなーって せっかく 付きおうてんのにー そのー・・ 山水も男やから キスしたいとか・・下着はどんなんやろーとか 身体目当てとか・・」
「山葵 そりゃー キスもしたいし 山葵を抱きしめたいって思うこともあるよ でも 僕等は 高校生なんやから それだけや無いと思うねん 悩みがあったら共有しり 苦しいこと励まし合ったり 男同士とはちゃうねん 僕があの時の山葵の辛さをわかってやれへんかったんも・・ 悪かった でも 男と女とは違うからこそ、求めあうんやー お互い、助け合うんやー 山葵がテニスとか家の手伝いあるのって わかってるし だから 今は、しょーがないと思ってるでー」
「あのなー 学校始まった時、帰りに山水が駅で待っててくれた時あったやんかー あの時 なんで、ウチの辛かったのわかってくれへんのー って思ったけど、山水がウチが先輩のこと疑ってても、ちゃんと確かめんとあかんやろとか、仮にあそこで知らん男にやられてても、関係ない 山葵は山葵やって ゆうてくれたん 嬉しかった ほんまは やっぱり 心強かった! ウチは山水のことが好きなんやって」
「そうかー 僕も 山葵が好きやでー それに、この1年だけや無い 小学校から 山葵のことは見てきてるからな!」
その言葉だけで、私は単純に嬉しかった。今日、チャコールグレーでストライブのミニスカートで来ていたのだけど、その後、強引にボートに乗ろうよって連れて行ったのだ。山水が漕いでいる時に、時折、私は、後ろを振り返るふりして、閉じていた脚をずらすように・・・スカートの奥からピンクの小さな花の刺繍が散りばめられたものが見えるかなって・・・。計画的なサービスのつもりだったんだけど・・。
山水にもきっと見えていたはずだけど、その時は変わった反応も無かったのだ。なによー ウチ 思い切ったのだけど・・。白木屋君だったら、もっと、反応してくれたと思うのだけど、しょうがない この冷静なふりをする男を好きになってしまったのだから・・。でも、この男はこんな調子だから・・・当分・・・キスも迫ってこないんだろうなぁーと感じていた。もしかすると、キラちゃんのほうが そーーいう経験するの 早いかも・・・
12時に近所のおばぁさんがやっているお好み焼き屋さん。私も、中学の時、何回か来たことがあるのだ。4人掛けのテーブルが2つと3人座れるカウンターがある小さな古くからあるお店なのだ。
お店に向かう途中、亜里沙と進藤智則君と出会って一緒にお店の前まで来ると、キラちゃんがお店の近くでうろうろしていた。パステルグリーンのフレァなスカートに子猫の絵柄のトレーナー姿だった。そして、肩から猫の顔のポシェットを下げていた。
「あらっ どうしたの? キラちゃん」
「あっ 山葵さん 私 お店 教えてもらってたんだけど ここで 良いのかなーって迷っていて・・」
「うん ここよ 入りましょ」
中に山水と白木屋君が待っていた。
「おぉー チヤンピオンの登場かー」
「登場か じゃぁないわよ キラちゃん 表で迷っていたみたいよ 白木屋くん なんで 一緒に連れてきてあげないのよー!」
「なんでって ちゃんと 場所教えたしー 子供じゃぁないんだからー」
「山葵さん 私が悪いんです 教えてもらったのに ちゃんと来れなくて・・」
この子、本当に純粋というのか、育ちが良すぎるのか・・・私は、それ以上なにも言えなかった。愛おしくなって、私の隣に座らせていた。おそらく、お店はわかっていたのだけど、初めてのことで、独りで入る勇気が無かったのだろう。
自分で焼くことも出来るのだが、この日はおばぁさんに焼いてもらって、前の鉄板に乗せてもらった。
「おばぁちゃん この山城山葵は京都のチャンピオンになったんだよ」
「そうかい テニスでかい?」
「えっ おばぁさん 私がテニス やってること・・・」
「ぁあー 覚えてるよ 前にウチに来てくれた時は、中学のテニス部の4人組で・・・お嬢はんは イカが大好きなんじゃな 多めに入れといたぞ」
「えぇー えっ そんなことまで・・・」
「ぁあー 天神中学の子なら 大概 覚えてるわー 匠は特にな 来た時は必ず 洗い物をして帰って行くんじゃ やんちゃそうなのに、みかけによらず 優しいんじゃ!」
「へぇーーぇ」と、私と亜里沙は揃って声が出てしまって、白木屋君の方を見ていた。だけど、他人事みたいに
「みんな コップ持ったかー? じゃぁ 未来の日本チャンピオンに・・・」
「そんなー 大それたことを・・ ウチ 先輩と一緒だったから・・」
「そんなの関係無いよ! じゃぁ 山城山葵 お め で とぉー」
みんなから、サイダーで祝福してもらって、お好み焼きをやけどしながら、ほおばっていると
「だけど 山葵が根に持っていた あの先輩と組んで 優勝までするなんて・・なぁー」
「山水 そのことは、もう、言わんとってぇよー ウチも反省してるんやからー だから、お返しのつもりもあって、必死にやってきたやん」
「キラちゃんも、優勝したんやよねー ウチだけやなー 何も無いのって」と、亜里沙が言ってたけど
「そんなことないよ 僕らも何も無いし それに、亜里沙 学年 トップらしいやんかー」と、智則君が言っていたけど
「亜里沙 ほんまぁー 前から勉強出来たけどなー」と、私は、少し、驚いていた。
「うん たまたまなー ウチ 博物館の学芸員になりたいねん そやから・・」
「ふぅーん もう 将来 見据えてるんやー ウチなんか テニスばっかーで・・・」
「まぁ ええやん まだ 打ち込めるもんがあって そのうち やりたいことが見つかるよ」と、半分、慰めに近い言葉だった。
— — — * * * — — —
この前会った時、みんなには内緒で山水とデートの約束をしていたのだ。少し、遅いけど嵐山の散り落ちている紅葉を歩こうよと・・・私、付き合おうよと言われて、もう、1年経つけど、二人だけのデートらしいのって1度だけなんだものー。今度も、私がお弁当作っていくからねと言っておいた。前も山水が美味しいといってくれた だし巻き卵。
待ち合わせて、電車で嵐山に行って、落柿舎から周ることにことにしたのだけど、歩いていても、しばらく山水は手もつなごうとしてこなかったのだ。何か私達の間には壁があるのだ。だけど、行き交うカップルはみんな仲良さそうに手を繋いでいたり、腕を絡ませていたり、逆に私達の方が不自然だった。私が、いじいじしていると、ようやく、私の鈍感彼氏は手を取ってきてくれたのだ。
それから、常寂光寺から大河内山荘まで落ちた紅葉を踏みしめ歩いた。ようやく、一息入れて
「なぁ 白木屋君達 前 デートで琵琶湖の竹生島に行ったんやってー それから、箱館山にも・・上から見る琵琶湖がきれいかってんよーって キラちゃんが」
「そうかー」と、山水は言った切りで、何にも続かなかった。私は、物足りない気持ちで、そのまま川の縁に行って、お弁当を広げた。
「うん うまい! 山葵の卵焼きうまいなぁー おにぎりもこのちりめん山椒もうまい!」
「そう ありがとう 作って来る甲斐あるわー」
その後は、たいした話にならないので、私は思い切って
「ねぇ ウチ等 付き合うっていって、もう、1年過ぎたやんかー でも、月に一度会うかどうかってー そらぁー ウチが悪いんやでー 違う学校に行ってしもたしー テニスばっかぁーでー ウチは山水のこと好きやでー でも 山水はどう思おてんのかなーって せっかく 付きおうてんのにー そのー・・ 山水も男やから キスしたいとか・・下着はどんなんやろーとか 身体目当てとか・・」
「山葵 そりゃー キスもしたいし 山葵を抱きしめたいって思うこともあるよ でも 僕等は 高校生なんやから それだけや無いと思うねん 悩みがあったら共有しり 苦しいこと励まし合ったり 男同士とはちゃうねん 僕があの時の山葵の辛さをわかってやれへんかったんも・・ 悪かった でも 男と女とは違うからこそ、求めあうんやー お互い、助け合うんやー 山葵がテニスとか家の手伝いあるのって わかってるし だから 今は、しょーがないと思ってるでー」
「あのなー 学校始まった時、帰りに山水が駅で待っててくれた時あったやんかー あの時 なんで、ウチの辛かったのわかってくれへんのー って思ったけど、山水がウチが先輩のこと疑ってても、ちゃんと確かめんとあかんやろとか、仮にあそこで知らん男にやられてても、関係ない 山葵は山葵やって ゆうてくれたん 嬉しかった ほんまは やっぱり 心強かった! ウチは山水のことが好きなんやって」
「そうかー 僕も 山葵が好きやでー それに、この1年だけや無い 小学校から 山葵のことは見てきてるからな!」
その言葉だけで、私は単純に嬉しかった。今日、チャコールグレーでストライブのミニスカートで来ていたのだけど、その後、強引にボートに乗ろうよって連れて行ったのだ。山水が漕いでいる時に、時折、私は、後ろを振り返るふりして、閉じていた脚をずらすように・・・スカートの奥からピンクの小さな花の刺繍が散りばめられたものが見えるかなって・・・。計画的なサービスのつもりだったんだけど・・。
山水にもきっと見えていたはずだけど、その時は変わった反応も無かったのだ。なによー ウチ 思い切ったのだけど・・。白木屋君だったら、もっと、反応してくれたと思うのだけど、しょうがない この冷静なふりをする男を好きになってしまったのだから・・。でも、この男はこんな調子だから・・・当分・・・キスも迫ってこないんだろうなぁーと感じていた。もしかすると、キラちゃんのほうが そーーいう経験するの 早いかも・・・
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