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第9章
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全国大会の結果は、みく美は3回戦敗退で、他は璃々香先輩のシングルスと団体戦は準決勝で敗退していて、私達のダブルスも決勝で敗退。学館の衣笠響も決勝までいっての敗退だった。そして、今年は学館と夏の合宿を合同で行うことなった。コーチは今年は有力校の集まる信州の菅平か白馬でと、校長に掛け合ってくれたが予算の関係で、拒まれて、もっと近くでと、だけど、いつものところは、予約が遅れてしまってコートの時間が自由に取れず、結局、神鍋高原で5泊となっていたのだ。
3年生は、もう、引退なのだけど、璃々香先輩と多田先輩は参加することになっていて、向こうの3年生は衣笠響と追分すずみと言う人の二人。4人とも、スライドで大学に進学するから受験勉強は無いのだという。織部先輩は教育大志望だから、受験勉強のピッチを上げて行くと言っていた。ウチの学校は2年が6人、1年が5人で11名なんだけど、向こうは1.2年併せて20人ぐらいで、そういう点では圧倒されていた。それに、監督、コーチが2人、ウチはコーチと去年も来てくれた古賀さんなのだ。
当日の朝は7時京都駅集合で、全員がクラブの名入りのジャージで集まっていた。早かったのだけど、JR特急とバスに乗り継いで11時前には合宿所に着いていた。コートは午後1時からで、部屋にも夕方までは入れないので、ロビーの片隅に荷物を置いて、それまで自由行動になった。お弁当に、各自がおにぎりかサンドイッチのようなものを持ってくるように言われていたので、私はおにぎりを持参していた。
宿舎はロッヂ風で、冬はスキー客を迎えるらしい。コートは歩いて数分のところなので、私達、2年の6人はそっちの様子を見に行って、付近に座ってお昼ご飯にしたのだ。
「なぁ 人数でも圧倒されるけど、ウチな 高校 学館に行こうと思ってたんやけど、担任の先生に安全考えて、音女にしろって言われたんやー そやから そういう点でもなー ちょっと気遅れするねん」と、美湖が言ってきて
「なんやー ウチかってー 同んなじやー そやけど、ウチには山葵とみく美がおるヤン 実力では、勝ってるでー」と、こころが鼓舞してきていた。
お風呂場で着替えて、ロッヂの玄関前で全員が揃ったところで、それぞれの自己紹介が始まった。向こうのキャプテン小野寺鏡は2年生で総体予選の準々決勝でみく美が勝った相手なのだ。そして、小野寺鏡と保津聖華は、ダブルスの時、美湖・麗香に勝った学館の第二ペァなのだ。おそらく、今度の学館のエースふたりだ。
それぞれが、どんな思いを抱いてコートに向かったのかはわからないが、私は、相手の良い所を教えてもらうんだと、自分に言い聞かせていた。コートを5面借りていると言うことで、この日は、それぞれの学校に別れて練習を終えたのだ。
璃々香先輩と衣笠響は意外と仲が良いのか、練習中も今も夕食で隣同士で話し合っているのだ、時々笑いながら・・・。食事はカウンターにワンプレートと汁物を取りに行って、席に座るのだけど、私達6人で席に着こうとすると、いきなり
「杉田さん となり いい?」と、小野寺鏡だ。みく美は、戸惑いながらも「えっ ええー」と、駄目とも言えないから仕方無かったのだろう。みく美は私の向かいに座っていたのだけど、私の隣には保津聖華が座ってきていた。
「私達ね 響姉さんに、よ~く 音女の人達から学びなさいって、きつく言われてるの」
「そうなのよ 音女の人達は普通に強くなってるんじゃぁないから よく、見ておきなさいって」と、横から保津聖華も言ってきた。
「そんなー 普通ですよー なんにも、特別なことなんかー 勝てたのはたまたまですよー ねぇ みく美」と、私もどういう対応をしたらいいのか、みく美に助けを求めていた。
「そうよ ただね 学館と国際の看板を立てて、めがけてサーブとスマッシュを毎日100本するの 璃々香先輩に怒られるからー」と、澄まして言い放った。なんてことを・・・みく美と思っていたら、それが聞こえたのか
「こらぁー みく美 ええ加減なことを・・・でたらめ ゆうんじゃぁない! あとで、お尻 ぺんぺんだからなー」と、璃々香先輩のどなり声が飛んできた。
「うふっ これが音女の強さの秘密」と、肩をすくめて小声で・・・。それから、その場が和んで
「そうなんだぁー 響姉さんは ああ見えて、優しいんですよ ウチは監督とコーチが厳しいから・・技術面は・・」と、小野寺鏡が言っていたけど
「ああ ウチのコーチは、見てのとおり なに考えてるんだか ぼーっとして・・」と、私が、言うと、皆でクスクスっと笑っていたのだ。お陰で何となく打ち解けていったのだ。
だけど、麗香はお風呂にも入らないで、食事の後、抜け出して走りに行ったのだ。次の日、聞くと美湖と1年生の菜花と藍も同室のせいか、一緒だったと言う。彼女達は次の日の朝も朝食前に走っていたらしい。そして、みく美も朝 早く起きて、自主トレをしていたらしい。何にもしてなくて、ギリギリまで寝ていたのは 私だけ・・・
3年生は、もう、引退なのだけど、璃々香先輩と多田先輩は参加することになっていて、向こうの3年生は衣笠響と追分すずみと言う人の二人。4人とも、スライドで大学に進学するから受験勉強は無いのだという。織部先輩は教育大志望だから、受験勉強のピッチを上げて行くと言っていた。ウチの学校は2年が6人、1年が5人で11名なんだけど、向こうは1.2年併せて20人ぐらいで、そういう点では圧倒されていた。それに、監督、コーチが2人、ウチはコーチと去年も来てくれた古賀さんなのだ。
当日の朝は7時京都駅集合で、全員がクラブの名入りのジャージで集まっていた。早かったのだけど、JR特急とバスに乗り継いで11時前には合宿所に着いていた。コートは午後1時からで、部屋にも夕方までは入れないので、ロビーの片隅に荷物を置いて、それまで自由行動になった。お弁当に、各自がおにぎりかサンドイッチのようなものを持ってくるように言われていたので、私はおにぎりを持参していた。
宿舎はロッヂ風で、冬はスキー客を迎えるらしい。コートは歩いて数分のところなので、私達、2年の6人はそっちの様子を見に行って、付近に座ってお昼ご飯にしたのだ。
「なぁ 人数でも圧倒されるけど、ウチな 高校 学館に行こうと思ってたんやけど、担任の先生に安全考えて、音女にしろって言われたんやー そやから そういう点でもなー ちょっと気遅れするねん」と、美湖が言ってきて
「なんやー ウチかってー 同んなじやー そやけど、ウチには山葵とみく美がおるヤン 実力では、勝ってるでー」と、こころが鼓舞してきていた。
お風呂場で着替えて、ロッヂの玄関前で全員が揃ったところで、それぞれの自己紹介が始まった。向こうのキャプテン小野寺鏡は2年生で総体予選の準々決勝でみく美が勝った相手なのだ。そして、小野寺鏡と保津聖華は、ダブルスの時、美湖・麗香に勝った学館の第二ペァなのだ。おそらく、今度の学館のエースふたりだ。
それぞれが、どんな思いを抱いてコートに向かったのかはわからないが、私は、相手の良い所を教えてもらうんだと、自分に言い聞かせていた。コートを5面借りていると言うことで、この日は、それぞれの学校に別れて練習を終えたのだ。
璃々香先輩と衣笠響は意外と仲が良いのか、練習中も今も夕食で隣同士で話し合っているのだ、時々笑いながら・・・。食事はカウンターにワンプレートと汁物を取りに行って、席に座るのだけど、私達6人で席に着こうとすると、いきなり
「杉田さん となり いい?」と、小野寺鏡だ。みく美は、戸惑いながらも「えっ ええー」と、駄目とも言えないから仕方無かったのだろう。みく美は私の向かいに座っていたのだけど、私の隣には保津聖華が座ってきていた。
「私達ね 響姉さんに、よ~く 音女の人達から学びなさいって、きつく言われてるの」
「そうなのよ 音女の人達は普通に強くなってるんじゃぁないから よく、見ておきなさいって」と、横から保津聖華も言ってきた。
「そんなー 普通ですよー なんにも、特別なことなんかー 勝てたのはたまたまですよー ねぇ みく美」と、私もどういう対応をしたらいいのか、みく美に助けを求めていた。
「そうよ ただね 学館と国際の看板を立てて、めがけてサーブとスマッシュを毎日100本するの 璃々香先輩に怒られるからー」と、澄まして言い放った。なんてことを・・・みく美と思っていたら、それが聞こえたのか
「こらぁー みく美 ええ加減なことを・・・でたらめ ゆうんじゃぁない! あとで、お尻 ぺんぺんだからなー」と、璃々香先輩のどなり声が飛んできた。
「うふっ これが音女の強さの秘密」と、肩をすくめて小声で・・・。それから、その場が和んで
「そうなんだぁー 響姉さんは ああ見えて、優しいんですよ ウチは監督とコーチが厳しいから・・技術面は・・」と、小野寺鏡が言っていたけど
「ああ ウチのコーチは、見てのとおり なに考えてるんだか ぼーっとして・・」と、私が、言うと、皆でクスクスっと笑っていたのだ。お陰で何となく打ち解けていったのだ。
だけど、麗香はお風呂にも入らないで、食事の後、抜け出して走りに行ったのだ。次の日、聞くと美湖と1年生の菜花と藍も同室のせいか、一緒だったと言う。彼女達は次の日の朝も朝食前に走っていたらしい。そして、みく美も朝 早く起きて、自主トレをしていたらしい。何にもしてなくて、ギリギリまで寝ていたのは 私だけ・・・
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