私の辛かった思い あんたにぶつかっていくわ!

すんのはじめ

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第9章

9-4

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 次の日の朝、麗香はコーチに呼ばれて、お叱りを受けていた。勝手に抜け出したからなのだが、璃々香先輩が「聞いていた居たけど、私がコーチに報告してなかった」と、かばってくれたと言う話なのだ。璃々香先輩が釈明していたことの真偽は定かではなかった。だけど、夜は物騒なのでやめろと言われたみたい。

 その日は、1面は1年生を集めて、二人のコーチが指導して、私達2年は1年生の二人を交えて、4コートに別れていて、向こうもそれぞれに別れて5~6人で練習したのだ。向こうの監督さん、古賀さん、璃々香先輩、衣笠響もそれぞれ各コートに散って、指導するといった形だった。午前中の練習が終わった後、約3Kmのロードワーク、そして午後の練習が終わった後も同じく3Kmのロードワークが待っていた。だけど、麗香は美湖と一緒に朝食前にも走っていたのだ。

 3日目から、両チームのほぼ主力とみられるメンバーが隣同士のコートに集められて、練習していて、ウチのチームは2年生の6人。そして、午後からは、ダブルスの練習になるので、私とみく美ペァ、麗香と美湖のペァ、そして1年生の三宮香菜花と篠崎優莉しのざきゆうりのペァが初めて結成されていたのだ。ふたりとも、背が170cm近くあって手足の長い子。学館のチームは4ペァが来ていたが、次の第一ペァと思っていた小野寺鏡と保津聖華が時たま別れて違うペァを組んでいたりしていて、私は、少し戸惑っていたのだ。

 それよりも、私が驚いたのは、麗香と美湖の動きがすごいのだ左右前後に素早く動いているのだ。そして、リターンで返ってきたボールを確実にボレーで・・・時々はジャンプしながら強烈なボレーを相手の居ないところに決めていた。麗香はいつもロードワークをしていると聞いていたけど・・・その成果なのだろうか。そして、美湖も人知れずトレーニングしていたのだろか。学校での練習中では気づかなかったんだけど。

「いい調子ネ ふたりとも」と、麗香に話かけると

「ウチ等 話し合ってネ フットワークを武器にしょうって」と、笑顔が返って来ていた。

 私達のコートの側には向こうの監督という人がサングラスの奥から見詰めていた。いかにも、監督と言った感じで私はいい印象を持っていなかったのだ。その反対側には璃々香先輩と衣笠響が揃って、私達の練習を見ながら色々と話し合っているのだ。

「ウチの山葵とみく美の弱点 探さないでよー」 私が練習の合間にそれとなく、傍に寄ると聞こえてきた。

「そんなことしないわよ ただ ウチの子達も少しでもあの二人から学んでもらおうって ネ」

「うまいこと言ってぇー 近畿の予選 対策考えてるんでしょ ペァの組み合わせ代えたりしてるじゃぁない」

「それはー 監督が・・・ 私なんか 口出し出来ないのよ」

「みたいネ ねっ ウチの1年生ペァ ふたり いいと思わない?」

「そうね まだまだ だけど 良い感じね 手足も長いし 素晴らしい先輩もいるし 伸びるんじゃぁない?」

「私 なんか なんにも出来ないわよー」

「違うよ! 山城・杉田のふたりのことよー」

「コラッ その二人は私の可愛い後輩よっ」

 別に、大したことは話し合って無いんだ。先輩達は気楽でいいよなー・・。

 そして、合宿打ち上げの日の午前中は、6ゲーム2セットの試合が行われ、みく美と麗香は2-0で勝ったのだが、衣笠響が私とどうしてもやりたいと言ってきていた。私も、断る理由も無かったので・・。1ゲームめは私が40-30からサービスエースで決めて、2ゲームめもジュースまでになったが、最後は私が勝っていた。そして、ダブルスも私とみく美のペァは向こうを圧倒して、1年生ペァは1-1だったけど、麗香と美湖のペァも2-0で勝っていた。

  京都駅まで帰ってきた時、衣笠響が私に近づいてきて

「山城さん また 強くなってるわネ ウチの子達も多分 かなわないわ でも、学ぶことがあったと思うわ これから、しごくけど・・ 近畿予選 楽しみにしてるワ 杉田さんも・・」と、璃々香先輩にも別れを告げて帰って行ったのだ。だけど、小野寺鏡と保津聖華が強敵になってくるのは、明らかなのだろう。

 

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