私の辛かった思い あんたにぶつかっていくわ!

すんのはじめ

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第11章

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 2月の末に、キラちゃんから高校に合格したと連絡が来ていて、3月の初めにいつものお好み焼き屋さんで集まることになっていた。そして、織部先輩と西田先輩が教育大に合格したとの知らせも入っていたのだ。

 私は、練習の後なのでいつも少し遅れるのだが、ガラス戸を開けるとみんな揃っていて、壁には [樹羅 合格おめでとう]の張り紙があって、まだ、私の近畿大会の張り紙も・・・あった。

「おばぁちゃん もう 古いのはがしてよー」

「そうかい? でも、特製山葵焼きはいいだろう? 評判良いからー」

「うーん 売れているんならー 良いけどさー 優勝のやつだけははがしてよね いつまでも、恥ずかしい」

「そうかい? じゃぁ 今年もがんばるんだよ」

「うん 高校 最後だからね 春の総体予選」

「そうかー 早いよなー もう3年生になるんだなー そして、樹羅も高校生 あっ じゃぁ 樹羅の合格を祝して おめでとう 樹羅」と、白木屋君の音頭で始まった。

 キラちゃんは、いつものように、可愛らしいパステルピンクのストライブのワンピース姿。少し髪の毛は短く切ったみたいだった。不思議と もう 子供っぽさは無くなっていて、美人の陰りも見えていた。

「今度 匠と学校が近くになるから 帰りにデートとか出来るかもって 楽しみなんだぁー」と、キラちゃんがうれしそうに言って

「キラちゃん そんな時間ないかもよー 学校のほう 厳しそうやんかぁー」と、亜里沙が心配していたが

「うーん どうだかね でも、きっと 私が終わるのん 匠は待っていてくれるよっ」

「だってよ 匠 僕達も受験生になるんだぞー」と、山水も気にしていた。

「そーだけど まぁ なるようになるさ」と、白木屋君は気楽だった。

「まぁ まぁ 学生さんは大変だね 試合だの受験だの」

「おばぁちゃん 俺等 働いて無いんやから、それっくらいは のー そうや 春休みには みんなで どっか キャンプ行こうぜー」

「えー お泊り?」と、私は躊躇したが

「まぁ できればな 女子はダメか?」

「そーだね キラちゃんなんか 絶対 お母様に反対されるわ ウチだって わかんない 男の子が一緒なんて」

「だろうなー 高校生じゃーダメか」

「私 行きたい! そんなの 初めてだもん お母様に聞いてみるけど、私ね 春休みにお父様に会いに行くの だから、駄目って言われるかも」と、キラちゃんが言うので私達は驚いていたのだ。

「えぇー マニラだっけ?」と、白木屋君も初めて聞いたみたいで

「ええ 独りで行くんだけど 空港までお父様が迎えに来てくださるから」

「お母さんは行かないのか? 独り?」

「詳しいこと言わないんだけどー お母様はあんまり会いたくないみたい これっ! 内緒の話ネ」 

「そうかー じゃー ディキャンプにしよう お嬢様をあんまり引っ張れないものなー」

「なによー その言い方 嫌! 匠」と、すねたように口をとがらせていた。

「白木屋君 どうするぅ? ボディガードで付いていく? 心配でしょ 独りっきりだって それも海外なんてー」と、私は意地悪く聞いてみたら 

「そうだなぁー そういう手もあるなぁー」

「それはー 嬉しいけど・・・ 私 お父様に聞かないとー それに、私はお父様と一緒に泊るのよ」と、キラちゃんは真面目に考えていた。

「樹羅 じょーだんだよ 行ける訳ないじゃん 忘れてくれ 山城山葵 変なこと言うからー」

「あらっ ごめんね ウチは白木屋君の本気を確かめただけよ」

「山水 お前の彼女は ひねくれた部分あるなー 愛情に飢えているみたいだぞー」

「そっ そんなこと 言われなくっても ウチ等はちゃんと確かめ合ってます!」

「おーぉー 言うのぉー どこまで 確かめた?」

「どっ どこまでってー そんなこと・・・ ほっといてよー キラちゃんの前で、なんてことを・・・」

 私も恥ずかしかったんだけど、キラちゃんも、下を向いたまま、手を膝の上で結んで、耳まで赤くなっていたのだ。いつものことなのだが、彼女はどんな風に受け留めているのだろうか もう 自分が一人前の女の子ってこと自覚しているのかしらー それも、誰よりも美人なんたってことも・・・
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