私の辛かった思い あんたにぶつかっていくわ!

すんのはじめ

文字の大きさ
66 / 67
第12章

12-7

しおりを挟む
 その夏の合宿は、今年も神鍋高原に決まっていた。学校側では、以前の希望通りに菅平高原でと、打診があったのだが、監督が宿泊先への恩義もあるし、今年も学館と合同で行うからと、神鍋に決まったのだが、京都国際も合同でとの申し出があって、3校合同でいう形になったみたいだった。

 私は、エスカレーターでウチの大学に進学が決まっていたので、合宿にも参加するようにしていた。そして、みく美は、まだ、決めかねているんだけど、あの衣笠響の粘り強い誘いで、推薦で学館の大学に進むだろうからと、合宿にも参加すると言っていたのだ。確かに、今回は妙に学館の監督という人と話している姿が目立ったのだ。

 現地で各校の顔合わせがあって、学館の小野寺鏡と保津聖華の姿もあった。二人とも、そのまま大学に進むという。おそらく、みく美とは同じクラブでということになるんだろう。だけど、京都国際の多々良カンナの姿は無かったのだ。サナサに確かめると、もう、同じ大学のほうの練習に参加しているから・・と、言っていたのだ。

「山葵 腰の調子どうなん? 大会でも、だいぶ無理してたんちゃう?」

「あぁー 相変わらず 重いでー 珠に ビクッとするしー」

「やっぱり そうかー あのなぁー ウチ 衣笠さんから、トレーナー 紹介されたんやー あの人も、膝が調子良くなくて、見てもらってるんやってー ウチ 今度 行ってみようと思ってる 山葵もどう?」

「えぇー 衣笠さん? ねぇー ずいぶんと親しくなったのねぇー」

「山葵! あのさー なんか 変に考えてない? ウチは・・・ず~ぅっと 山葵とペァ組んでいきたいんやでー 大学でも頂点に立って・・ そやけど・・・山葵をウチの勝手な夢に、引きずることできひんやんかぁー そやから、ウチは学館やったら、衣笠さんもおるしー 新しい相手も見つかると思って・・・そうやって、衣笠さんにも勧められてるから・・・ 山葵は璃々香先輩との絆のほうが強いのちゃう?」みく美は、急に、涙目になってきていたみたい。

「みく美・・・ ごめん 変な言い方 してしもたー ごめん! ウチって そーいうとこ 子供やねんなぁー ずぅ~っと 一緒って約束したのにな! でも、ウチは頂点は高校で もう ええねん これからは、テニスの面白さとか 子供達に教えて行く勉強したいねん ごめんなさい みく美はみく美で自分の夢を考えてー みく美だったっら、夢でなくなると思う これからは、お互い 自分の夢に向かっていこー」

「うん ウチ 山葵にあこがれて ここまで これたから」

「うん ウチも・・ みく美がいたから ここまで 頑張れた」と、私は、みく美を抱きしめて・・・涙が出てきていた。今までの苦しかった練習に試合のことが思い出されていたのだ。

「なつかしいなぁー 山葵と初めて組んで・・・めちゃめちゃ練習したもんなぁー どじでノロマなうさぎですってな!」

「そうやー 夢に進もうって 言ってね そして 二人で頂点やぁー みく美とやったからー」

 その時、「先輩 ミーティングします」と、いきなりドァーを開けてこられたのだ。香菜花に抱き合っているとこ 見られてしまった。私達は慌てて、離れたのだけど・・・

「・・・ 先輩 ・・・ ふたりは・・・ そーいうんだったんですか?」

「バカ! ちゃうんよー ちょっと ふたりで 感傷に浸ってただけ 大会の余韻よー」

「ええやんかー そんな風に言われても ウチ等 そーいう仲やんかぁー」と、みく美はウィンクしてきていた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...