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第3章
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次の日の朝は、お澄ましのお雑煮と鰆の西京漬けだった。お父様だけ数の子の小鉢も。今日は、独りでお酒を飲んでいた。
「今日は 出掛けないんか」
「別に 予定ないけど・・」と、燿さんが
「じゃあ 八坂さんに行って、帰りに菊水でタンシチューでも食べようぞ」
「お父様 どうして そんなに 出掛けたがるのー」
「うーん せっかく だからな 香波の着物見たいし もっとな 連れて、歩きたいんじゃ みんなが振り返るからのー」
「なんか 私の時とは 全然違うね 香波だから?」
「そんなことはありません! 燿は ワシなんか、相手してくれなかったじゃぁないかー 今でも」
「そうだっけなー まっ いいかー でも、私は、中華の雰囲気なんだけど・・」
そして、又、着物を着て、タクシーで神社まで行った。そして、お詣りの後、橋の袂の古いビルの中華料理屋さんに入った。その間、私は、ずーとお父さんの腕に掴まって腕を組んで歩いていた。人も多かったから。
「お父様 そんなに頼んだって 食べきれないわよー」
「いいさ 余れば、持ち帰ればいいよ いろんなものを香波に食べさせてやりたいんじゃ」
「もうー お父様 香波 香波ってー 香波 いっぱい 召し上がれ 着物じゃぁ無い方がよかったのにねー お腹 苦しいでしょう」
その後、お父様が、私に靴を買うからと、デパートに入って行った。燿さんの薦めもあって、ベージュのパンプスを買ってもらった。そして
「燿 香波にネックレスも買っていいか?」と、お父様が
「どうして そんなこと私に聞くの? どうぞ お好きになさってくださいな どうせ、香波はお父様のお気に入りなんでしょうからね! 香波 大きなダイヤついたの 買ってもらいなさい」
「燿 怒っているのか? わかった じゃぁ 特別にお揃いでどうだ 高いものはだめだぞー」
燿さんは、ゴールドのシンプルなチェーンだけのものをお揃いで選んでいた。「これっくらいの方が、上品なのよ」と、言って居た。地下に降りていって晩御飯のお惣菜も買って帰ったのだ。
御夕飯の時、お父様はお酒を、燿さんはビールを飲んで、お母さんと私は冷たい日本茶を飲んでいたんだけど、お父様が
「なぁ 香波は独りでアパート暮しなんだろー 不用心じゃぁないのか?」
「ええ 私も、最近 心配になってきてるの まぁ 女子学生もそんな人も居るけどね でも 香波の場合はストーカーなんかに狙われやすい感じ・・・」
「ここで 一緒に 住めばいいじやぁないか どうなんだ? アパート代だって大変なんだろう」
「お父様にそう言ってもらえると 助かります でも・・香波は どうかな?」
「・・お父さん ありがとうございます・・・でも・・少し、考えさしていただけますでしょうか」
「そうね 少し、考えた方がいいわね 突然だから」と、燿さんも言ってくれた。
「そうか 香波 ワシを初めとして、みんな 家族と思ってくれていいんだからな 遠慮だけはするなよ」
お風呂から出て、燿さんの部屋で
「あのー 私 さっきのお話 どうすればいいのか」
「うん わかってる 柵の中に閉じ込められる感じになるから、不安なんでしょ それは、あの彼のため? もし、会えたら、どうするの 彼のもとに行くから?」
「ええ できるのなら・・」
「香波の気持って 私にはなんとなくしかわからないけど お父様ね 私 一人娘でしょ だから、後継ぎが欲しくってね 自由恋愛を許してくれないのよ 今の 帯屋 を継いでくれる人が条件なのよ 私にも、高校の時 好きな人が居たのよ でも、結局 うまく行かなかった。だからね、香波のこと 娘だと思っているって言って居たでしょ それは、香波が可愛いし、良い子だからってのもあるけど もしかしたら、私が帯屋を出ていった時のことも頭ん中にあるのかも知れない」
「そうなんですか 私 本当によくしていただいて、可愛がっていただいて 感謝しているんです でも、こんなに幸せをいただいて 島でおばぁちゃんと暮らしていたこと忘れてしまうんじぁないかなって だから・・まだ 一人で自立できるようしなければいけない と 思っているんです」
「香波 えらいわね そして 強い さすが私の妹よ」
「そんなー でも 燿さんには感謝しかないです それに、尊敬しています」
「わかったわ いい? やり方は三つあると思うの 一つ目は、完全にウチの子になって、お父様の言う事を聞いて生きるの 二つ目は あなたが 慕っている彼がいること、それで、京都にきたことを 全部 お父様に話してね その上でこの家で暮らすの そうすればね、苦労することは無いと思うし、安全だわよ 三つ目は ひとりで生活すること。ただし、今の所は物騒だから、もっと、安全なマンションに越すこと。そして、健康保険にもはいらなきゃぁなんないし、病気の時、困るでしょ。どうなの、今のお給料でやっていけているの?」
「ええ なんとか 少しですけど、貯金もしています」
「そう あなた お化粧もしないし、着るものにもお金使わないものね ちゃんと、食べている? そんなに痩せていて・・あなたぐらいの年なら もう少し、ふっくらしてくるのよ どうする? 結論出せる?」
「燿さん 私 我儘ですけど 一人でやります だけど、私の気持をお父さんに全部お話します」
「そう それで、貴方の気持がすっきりするのね でも、私もお父様もなにかと援助はさせていただくから だって、未成年だし、これからも、困ることもあるでしょ」
「ありがとうございます 私 一所懸命働きます ご迷惑かけないように」
「ふふっ お願いね 私ね うすうす 香波も知っているでしょうけど 夜 割烹料理屋さんで働いているの 小さなところだけどね 大学の3年の時から そのことは、お父様のお知り合いのところだから、知っているわ 奥様が亡くなってね お店を閉めようかと、そこのご主人が言って居たんだけど、私がお手伝いしますって強引にね 社会勉強だからって、お父様を説得して・・だけど、私、飲食店をやりたかったからね 今の自分のお店を開くときも、我儘聞いてと、でないと、家を出ますからと脅してね だけど、25までという条件なのよ そのうち、お見合いなり勧めてくると思うのよ そうなると 場合によっては お父様のことだから、余計に 香波を側に置いておきたいと思うかしら・・・」
「今日は 出掛けないんか」
「別に 予定ないけど・・」と、燿さんが
「じゃあ 八坂さんに行って、帰りに菊水でタンシチューでも食べようぞ」
「お父様 どうして そんなに 出掛けたがるのー」
「うーん せっかく だからな 香波の着物見たいし もっとな 連れて、歩きたいんじゃ みんなが振り返るからのー」
「なんか 私の時とは 全然違うね 香波だから?」
「そんなことはありません! 燿は ワシなんか、相手してくれなかったじゃぁないかー 今でも」
「そうだっけなー まっ いいかー でも、私は、中華の雰囲気なんだけど・・」
そして、又、着物を着て、タクシーで神社まで行った。そして、お詣りの後、橋の袂の古いビルの中華料理屋さんに入った。その間、私は、ずーとお父さんの腕に掴まって腕を組んで歩いていた。人も多かったから。
「お父様 そんなに頼んだって 食べきれないわよー」
「いいさ 余れば、持ち帰ればいいよ いろんなものを香波に食べさせてやりたいんじゃ」
「もうー お父様 香波 香波ってー 香波 いっぱい 召し上がれ 着物じゃぁ無い方がよかったのにねー お腹 苦しいでしょう」
その後、お父様が、私に靴を買うからと、デパートに入って行った。燿さんの薦めもあって、ベージュのパンプスを買ってもらった。そして
「燿 香波にネックレスも買っていいか?」と、お父様が
「どうして そんなこと私に聞くの? どうぞ お好きになさってくださいな どうせ、香波はお父様のお気に入りなんでしょうからね! 香波 大きなダイヤついたの 買ってもらいなさい」
「燿 怒っているのか? わかった じゃぁ 特別にお揃いでどうだ 高いものはだめだぞー」
燿さんは、ゴールドのシンプルなチェーンだけのものをお揃いで選んでいた。「これっくらいの方が、上品なのよ」と、言って居た。地下に降りていって晩御飯のお惣菜も買って帰ったのだ。
御夕飯の時、お父様はお酒を、燿さんはビールを飲んで、お母さんと私は冷たい日本茶を飲んでいたんだけど、お父様が
「なぁ 香波は独りでアパート暮しなんだろー 不用心じゃぁないのか?」
「ええ 私も、最近 心配になってきてるの まぁ 女子学生もそんな人も居るけどね でも 香波の場合はストーカーなんかに狙われやすい感じ・・・」
「ここで 一緒に 住めばいいじやぁないか どうなんだ? アパート代だって大変なんだろう」
「お父様にそう言ってもらえると 助かります でも・・香波は どうかな?」
「・・お父さん ありがとうございます・・・でも・・少し、考えさしていただけますでしょうか」
「そうね 少し、考えた方がいいわね 突然だから」と、燿さんも言ってくれた。
「そうか 香波 ワシを初めとして、みんな 家族と思ってくれていいんだからな 遠慮だけはするなよ」
お風呂から出て、燿さんの部屋で
「あのー 私 さっきのお話 どうすればいいのか」
「うん わかってる 柵の中に閉じ込められる感じになるから、不安なんでしょ それは、あの彼のため? もし、会えたら、どうするの 彼のもとに行くから?」
「ええ できるのなら・・」
「香波の気持って 私にはなんとなくしかわからないけど お父様ね 私 一人娘でしょ だから、後継ぎが欲しくってね 自由恋愛を許してくれないのよ 今の 帯屋 を継いでくれる人が条件なのよ 私にも、高校の時 好きな人が居たのよ でも、結局 うまく行かなかった。だからね、香波のこと 娘だと思っているって言って居たでしょ それは、香波が可愛いし、良い子だからってのもあるけど もしかしたら、私が帯屋を出ていった時のことも頭ん中にあるのかも知れない」
「そうなんですか 私 本当によくしていただいて、可愛がっていただいて 感謝しているんです でも、こんなに幸せをいただいて 島でおばぁちゃんと暮らしていたこと忘れてしまうんじぁないかなって だから・・まだ 一人で自立できるようしなければいけない と 思っているんです」
「香波 えらいわね そして 強い さすが私の妹よ」
「そんなー でも 燿さんには感謝しかないです それに、尊敬しています」
「わかったわ いい? やり方は三つあると思うの 一つ目は、完全にウチの子になって、お父様の言う事を聞いて生きるの 二つ目は あなたが 慕っている彼がいること、それで、京都にきたことを 全部 お父様に話してね その上でこの家で暮らすの そうすればね、苦労することは無いと思うし、安全だわよ 三つ目は ひとりで生活すること。ただし、今の所は物騒だから、もっと、安全なマンションに越すこと。そして、健康保険にもはいらなきゃぁなんないし、病気の時、困るでしょ。どうなの、今のお給料でやっていけているの?」
「ええ なんとか 少しですけど、貯金もしています」
「そう あなた お化粧もしないし、着るものにもお金使わないものね ちゃんと、食べている? そんなに痩せていて・・あなたぐらいの年なら もう少し、ふっくらしてくるのよ どうする? 結論出せる?」
「燿さん 私 我儘ですけど 一人でやります だけど、私の気持をお父さんに全部お話します」
「そう それで、貴方の気持がすっきりするのね でも、私もお父様もなにかと援助はさせていただくから だって、未成年だし、これからも、困ることもあるでしょ」
「ありがとうございます 私 一所懸命働きます ご迷惑かけないように」
「ふふっ お願いね 私ね うすうす 香波も知っているでしょうけど 夜 割烹料理屋さんで働いているの 小さなところだけどね 大学の3年の時から そのことは、お父様のお知り合いのところだから、知っているわ 奥様が亡くなってね お店を閉めようかと、そこのご主人が言って居たんだけど、私がお手伝いしますって強引にね 社会勉強だからって、お父様を説得して・・だけど、私、飲食店をやりたかったからね 今の自分のお店を開くときも、我儘聞いてと、でないと、家を出ますからと脅してね だけど、25までという条件なのよ そのうち、お見合いなり勧めてくると思うのよ そうなると 場合によっては お父様のことだから、余計に 香波を側に置いておきたいと思うかしら・・・」
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