少女は 見えない糸だけをたよりに・・

すんのはじめ

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第3章

3-5

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 次の日、朝ご飯が終わって、お父さんとお母さんに私は、お話がありますと座敷に座っていた。

「私 一人で暮らしていこうと思います。できるかどうかわかりませんが、がんばります。私なんかのことを、とっても、可愛がっていただきまして、本当に感謝してます。私、島にいた時、一人の男性と出会いました。素敵な人で、初めて、あんな人に出会って、好きになったんです。運命の人だって。だけど、おばぁちゃんが亡くなってしまって、ひとりぼっちになった時、よりどころがその人しか居なくって、京都に来ました。ここの大学生だって聞いていたから。私、この数日間、とても大切にしていただいて、とても、幸せでした。でも、おばぁちゃんとの生活も貧乏だったけど、毎日が充実していました。だから、このまま、のほほんと幸せでいいのかなって・・。おばぁちゃんと暮らしていたことは忘れたくありません。それに、私なんて、高校も行って無いし、田舎育ちで何にも知らないので、お父様の娘なんて、厚かましいと思います。だから、一人でやっていきたいのです。自立できるようにやってみたいんです。我儘、お許しください」

「うむー わかった。だけど、その男って 信用出来る男なのか? まだ、学生だし、会ったのは、一度っきりだろー それに、香波はまだ15だろう そんなに若いのに、その男に人生かけていいのか?」

「ええ 私達 糸で結ばれています きっと」

「そうか 古臭いことを・・香波は純真だのう ワシもそんなに女性から慕われてみたいものだ おばぁさんとのことも大切にしているしな 優しくて、賢い子だ」

「あなた 私は、ずーとお慕いしてますことよ 香波ちゃんの気持もわかるし 女には、年なんて関係ないわ その時、感じたまま」と、お母さんが

「うっ ふん ワシもな この数日間は嬉しかったのだ 香波が居てくれてな 聡もそうだと思う 燿は変な風にかん違いしているかも知れんが ワシは親以上に娘を守ってくれる程の男なら帯屋の屋号なんてどうとでもなると思っているんだ。だから、その男が香波を本当に守ってくれるんだったら、こんなにうれしいことは無い だから、その男が現れるまで、この家にいてくれ 頼む ワシ等には、その義務があると思っている 香波のおばぁさんのためにも、香波を見守る どうだろう?」お父さんは頭まで下げてくれていたのだ。

 私は、しばらく考えていた。こんなに、おっしゃってくれるなんて・・

「お父さん お願いします 私 お母さんのお手伝い 掃除でも何でもします どうぞ この家においてください」と、泣きながら頭をさげて、畳にこすりつくまで。

「お父様 私の我儘 聞いていただいてありがとうございます」と、燿さんが言うと

「燿 お前には、後で 話がある」と・・・

 ― ― ― * * * ― ― ―

 2月になって、私は、アパートを引き払って、帯屋の家に移っていた。燿さんがアパートの違約金を払ってくれたみたいだった。

 そして、ゲンイチさんが久し振りにお店に顔を出してくれた。

「いやー 自分は 単位落としそうだったんで、卒業も危なかったので、缶詰だったんだよ 久し振りだよなぁー」

「そうですよねー お顔見れなくて 淋しかったんですよー」と、くるみちゃんが調子いいことを言っていた。

「うれしいっすね その言葉 じやぁ ランチョン・チーズお願いします」と、私は、その間にお水を持っていったら

「香波ちゃん なんか 感じが変わったすね どんどん 可愛くなってるみたいです 美人です!」

「うわー ありがとう」

「もう 少年のイメージってないよね 又、ウワサになって有名人になったら、嫌だなぁー」

「もうー そんなー ゲンさんタラーッ」

「だめよー はっきり言わないんだけど カナミ 心に決めた人居るみたいよ 私ならフリーだから 今なら お買い得よ」と、クレープを出しながら

「えー そーなんすかー 香波ちゃん」

「えー くるみ なんてことを・・あのね ゲンさん 何となくなんです」

「やっぱり そっかー やんわり 断られたからなぁー」

「ちがうのよ ゲンさんのこと 普通にどっか遊びに行くくらいなら・・ それに、ゲンさんといると安心できるから 好きですよ」

「うん ありがとう 香波ちゃん 君は 自分にとって 太陽のままだね」

「ねぇ ゲンイチさん カナミのことはあきらめて ウチの大学の女の子と合コンしょっ」と、くるみちゃんは言い出していた。

 だけど、ゲんさんは、帰り際 くるみちゃんに聞こえないように、私に「デートさそってもいいですか」と、短く、私は黙っていたが、ゲンさんが出て行くとき「いきます」と・・言ってしまった。でも、直ぐに、巧さんの顔が・・

 だけど、次の日も、くるみちゃんと合コンの話ばっかりで、ちっとも、ゲンさんは私を誘ってきてくれなかったのだ。

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