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第4章
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私のお休みの日曜日には、私は、お父さんに散歩とお昼ご飯をいろいろと連れていってもらっていた。比叡山なんかにも連れて行ってくれた。初めて見る大きさに、島なんかも見ていると、私は、少し瀬戸内の海に似ていると懐かしかった。お洋服とか靴とかも、私は「こんなの 着ていくとこもないですから」と、断っていたんだけど、構わずに買ってくれていた。そして、私は16才になっていた。
そして、ある日、お店の表をウロウロしていた男の人。お店の中に入ってきて、私をしばらく見つめていた。
「あ・り・さ・わ さん?」と、私は声をかけた。
「やっぱり 香波ちゃんなのかー まっさかーな インスタで見た時、似てるな―って思ったけど まさかと思うやんかー でも、みんなが可愛い娘が居るって言うんで、きてみたんだ なんか綺麗になったなー わかんなかったよー あの男の子みたいなんがー」
「うん 香波です やっと 会えた」
「なんで ここに居るの―」
「うん 会えるんじゃぁないかと ここだったら 巧さんに」
「そーなんかー あいつはなー 試験終わったら、休学して全国周るって、アパートも解約して、出て行った。農村とか漁村を体験するって・・あいつな、冬休みに、あの島に行ったんだぜー 香波ちゃんに会いに・・だけど、会えなかったって言って居た、もう、食堂も閉められていて、民宿の人に聞いたんだけど、おばぁさんが亡くなった後、香波ちゃんは島を誰にも言わないで離れたってことしか、わかんなかったって・・じゃぁー すれ違いだったんだ こんなに近くに居たなんてなー あいつは、好きなんだって、香波ちやんのことが」
「私も・・結ばれていると信じて・・いつか、又、会えると・・」
「そうかー あいつもな その気持ちだから、再び、島に行ったんだけど 1週間程、島に逗留したんだけど、手伝いもできること無いからって島を離れたんだ。その後は、消息も知らせてこないんだよ あぁ バクは元気だって言っていたよ 懐いてくれたって」
「バク・・ごめんね お別れもしないで・・ 私 信じていて良かった 巧さん・・」
「そうなんかー 追いかけてきたんだ 巧を・・無茶苦茶するのー 香波ちゃんも なんか、連絡あればなぁー あいつも・・ 香波ちゃんが、ここに居るってわかったら、直ぐに帰って来るんだろうけど」
「私 待っています あの人が帰って来るまで」
「うーん だけど もう 諦めているかも知れんデー 香波ちゃんのこと あいつ 意外と、もてるからどっかで 良い娘に つかまっているかも」
「ちょっとー あんたー カナミはなー 男に言い寄られても、その人のことだけ想って なびきもせーへんかってんでー ええ加減なこと言わんとって―な」と、横で聞いていたくるみちやんが
「えっ なんやねん 突然 ・・ こわぁー 可愛い顔して、そんな鬼のような顔でー」
「なんやねんって ウチはカナミの親友や 可愛い顔は生まれつきや」
「ウフッ 香波ちゃん いい友達 できたな 巧から連絡きたら、勿論 知らせるよ ここに ずーといるんやろー」
「居ます 待っています」
「ウン 又 来るよ」
それは また 運命の出会いの2度目の始まりだったのだ。見えない糸の・・・
― ― ― * * * ― ― ―
4月の天気のいい日に、お父さんと私は腕を組むように疎水縁を散歩していた。もう、桜も満開で、人出も多かった。
「香波がこうやって、散歩に付き合ってくれるから、いい運動になるよ 今まではな ひとりだから、つい、億劫になって、歩かない日も多かった」
「そうですか 私も、お父さんと こうやって 歩くの好きです 一人だと 部屋に閉じこもっていたから」
「そうかー 香波は可愛いのう 神様がワシに授けてくださって、感謝しとるんじゃ」
「お父さん 私 プログラミングの教室に通っていいですか 勉強したい」
「そうか 良いんじゃぁ無いか 勉強することは大切だよ」
「だけど この時間が無くなるかも」
「うーん 仕方ないのー でも、少しくらい 時間空かないのか」
「うん 考えます 私も こうやって 歩きたいから」
「そうか 今日は、市役所の近くに うまい 天ぷらを食べさしてくれる所があるんじゃ そこに、付き合ってくれ」
お店はカウンター席だけで、ご主人 ひとりでやっていた。他には、誰も居なかった。
「いらっしゃい 今日は、お綺麗なお嬢様とですね」
「ああ ワシの下の娘なんだ 散歩がてらな」
「社長は お綺麗な お嬢様をおふたりもお持ちなんて、今まで、知りませんでした。お幸せですなー」
「あぁ 今が春だよ この娘にうまいの食べさせたくてな」
「わかりました おまかせください」
最初に出てきたのは、若竹のてんぷら
「淡竹です 少し、早いんですが 手に入ったもんでね 糸島の塩と真鍋島で取れた海藻を練ったものでどうぞ」
懐かしい。瀬戸内の海藻。私の秘密基地の磯の香りがしたのだ。その後、氷魚と新芽、烏賊すり身と三色素麺、太刀魚とか私が初めて食べるものばっかり出してくれた。
「お父さん おいしかった ありがとう 島の香りもしたの」
「香波 島には 帰ることは無いのか?」
「私 お父さんとお母さん それに、おばぁちゃんの お墓が・・」
「そうか 元気にやっていると 報告に行かんとな― ワシも一度、香波が生まれたのは、どんなところなのか一度見ておきたいものだ」
そして、ある日、お店の表をウロウロしていた男の人。お店の中に入ってきて、私をしばらく見つめていた。
「あ・り・さ・わ さん?」と、私は声をかけた。
「やっぱり 香波ちゃんなのかー まっさかーな インスタで見た時、似てるな―って思ったけど まさかと思うやんかー でも、みんなが可愛い娘が居るって言うんで、きてみたんだ なんか綺麗になったなー わかんなかったよー あの男の子みたいなんがー」
「うん 香波です やっと 会えた」
「なんで ここに居るの―」
「うん 会えるんじゃぁないかと ここだったら 巧さんに」
「そーなんかー あいつはなー 試験終わったら、休学して全国周るって、アパートも解約して、出て行った。農村とか漁村を体験するって・・あいつな、冬休みに、あの島に行ったんだぜー 香波ちゃんに会いに・・だけど、会えなかったって言って居た、もう、食堂も閉められていて、民宿の人に聞いたんだけど、おばぁさんが亡くなった後、香波ちゃんは島を誰にも言わないで離れたってことしか、わかんなかったって・・じゃぁー すれ違いだったんだ こんなに近くに居たなんてなー あいつは、好きなんだって、香波ちやんのことが」
「私も・・結ばれていると信じて・・いつか、又、会えると・・」
「そうかー あいつもな その気持ちだから、再び、島に行ったんだけど 1週間程、島に逗留したんだけど、手伝いもできること無いからって島を離れたんだ。その後は、消息も知らせてこないんだよ あぁ バクは元気だって言っていたよ 懐いてくれたって」
「バク・・ごめんね お別れもしないで・・ 私 信じていて良かった 巧さん・・」
「そうなんかー 追いかけてきたんだ 巧を・・無茶苦茶するのー 香波ちゃんも なんか、連絡あればなぁー あいつも・・ 香波ちゃんが、ここに居るってわかったら、直ぐに帰って来るんだろうけど」
「私 待っています あの人が帰って来るまで」
「うーん だけど もう 諦めているかも知れんデー 香波ちゃんのこと あいつ 意外と、もてるからどっかで 良い娘に つかまっているかも」
「ちょっとー あんたー カナミはなー 男に言い寄られても、その人のことだけ想って なびきもせーへんかってんでー ええ加減なこと言わんとって―な」と、横で聞いていたくるみちやんが
「えっ なんやねん 突然 ・・ こわぁー 可愛い顔して、そんな鬼のような顔でー」
「なんやねんって ウチはカナミの親友や 可愛い顔は生まれつきや」
「ウフッ 香波ちゃん いい友達 できたな 巧から連絡きたら、勿論 知らせるよ ここに ずーといるんやろー」
「居ます 待っています」
「ウン 又 来るよ」
それは また 運命の出会いの2度目の始まりだったのだ。見えない糸の・・・
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4月の天気のいい日に、お父さんと私は腕を組むように疎水縁を散歩していた。もう、桜も満開で、人出も多かった。
「香波がこうやって、散歩に付き合ってくれるから、いい運動になるよ 今まではな ひとりだから、つい、億劫になって、歩かない日も多かった」
「そうですか 私も、お父さんと こうやって 歩くの好きです 一人だと 部屋に閉じこもっていたから」
「そうかー 香波は可愛いのう 神様がワシに授けてくださって、感謝しとるんじゃ」
「お父さん 私 プログラミングの教室に通っていいですか 勉強したい」
「そうか 良いんじゃぁ無いか 勉強することは大切だよ」
「だけど この時間が無くなるかも」
「うーん 仕方ないのー でも、少しくらい 時間空かないのか」
「うん 考えます 私も こうやって 歩きたいから」
「そうか 今日は、市役所の近くに うまい 天ぷらを食べさしてくれる所があるんじゃ そこに、付き合ってくれ」
お店はカウンター席だけで、ご主人 ひとりでやっていた。他には、誰も居なかった。
「いらっしゃい 今日は、お綺麗なお嬢様とですね」
「ああ ワシの下の娘なんだ 散歩がてらな」
「社長は お綺麗な お嬢様をおふたりもお持ちなんて、今まで、知りませんでした。お幸せですなー」
「あぁ 今が春だよ この娘にうまいの食べさせたくてな」
「わかりました おまかせください」
最初に出てきたのは、若竹のてんぷら
「淡竹です 少し、早いんですが 手に入ったもんでね 糸島の塩と真鍋島で取れた海藻を練ったものでどうぞ」
懐かしい。瀬戸内の海藻。私の秘密基地の磯の香りがしたのだ。その後、氷魚と新芽、烏賊すり身と三色素麺、太刀魚とか私が初めて食べるものばっかり出してくれた。
「お父さん おいしかった ありがとう 島の香りもしたの」
「香波 島には 帰ることは無いのか?」
「私 お父さんとお母さん それに、おばぁちゃんの お墓が・・」
「そうか 元気にやっていると 報告に行かんとな― ワシも一度、香波が生まれたのは、どんなところなのか一度見ておきたいものだ」
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