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第5章
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今日は、くるみちゃんがお休みを取っていたので、代わりに燿さんがお店に入っていたが、5時頃、ゲンさんが来てくれて
「あっ そうか くるみちゃんはデートでお休みなんだ」
「えー くるみ デートなんですか?」
「言って無かったんだー 余計なこと言ってしまったかな 内緒な」
「そう ゲンさんのお友達の方でしょ?」
「うん トシロー 合コンしてから、付き合っているみたいだよ 昨日、トシローがデートなんだと報告してきた。えーと じゃぁ 今日はハムカツサンドにする」
「じゃぁって 何よ べつに クレープでもいいんですよ!」
「いや 香波ちゃんの ワッフルがいい 香波ちやん 今日も機嫌ななめ?」
「ごめんなさい ちょっと からかっただけ」
「なら いいんだけど このお店は美人ばっかり揃ってるんだね オーナーの好みなんかなー あの人も美人だねー」
「・・・オーナー 店長です」と、私は、小声で
「えっ そうなんか まだ、若いよね やり手なんだ」
「ゲンさんの先輩ですよ」
「えー あー そうだ! 校内で、すげぇ美人がいるってウワサの人になっていた人だ」
「うふふっ 私も 知ってますわよ 源さん レスリング部のホープ」と、燿さんが
「えー 光栄です いやー 知っててくれたんだ」
「ええ 有名人だからね 香波ちゃん 私が持ってきた焼き豚 入れて見て 試作段階なのよ 常連さんのご感想をお聞きしたいわ」
私が焼き上げて持っていくと、ゲンさんは珍しくじっくりと食べていた。
「うまいっす 自分には焼き豚 もう少し、甘く無い方が好みかなー でも、肉の感じがいいっす 脂もトロトロしていて」
「そう 参考にさせていただくわね」
その時、3人連れの女子大生が店内に賑やかに笑いながら入ってきた。ゲンさんが居るのを見て、一瞬 たじろいでいたみたいなのだ。食べ終わっているゲンさんのほうを見ると、電話をかける仕草を私に向かってしていた。私は、頷いて、返していた。
そして、仕事帰りに公衆電話から
「ありがとう 香波ちゃん お店では言えなくてな」と、私が話す前に言ってきた。
「いえ 私もゲンさんがなんか 言いたげだったから・・」
「あのー 今度 嵐山 いきませんか 紅葉がきれいですよ」
「誘ってくださるんですか うれしいです でも、水曜の午後からでよければ・・」
「もちろん こっちこそ 楽しみです」
― ― ― * * * ― ― ―
水曜日の朝、お母さんに
「お母さん 今日 午後から お友達と 出掛けるんです すみません お庭のお掃除できなくって・・」
「あら 珍しいわね いいのよ 掃除なんて 楽しんでいらっしゃい でも、遅くなんないようにね 暗くなる前に帰ってらっしゃいよ」
「わかりました すみません」
烏丸の地下鉄の駅で待ち合わせをしていた。私は、グレーのストラップキュロットに編み上げのブーツで、直ぐに、ゲンさんに会えた。
「香波ちやん ミニスカート 可愛いよ」
「ありがと でも、キュロットだからね」
「あっ そうか じゃぁ 見える心配 要らないんだ でも きっと 走ると速そうな脚だよね」
「うふっ ゲンさんでも そんなこと言うんだね 大丈夫よ」
そして、天神川から電車で嵐山へ。祇王寺から天龍寺に向かってずーと歩いた。どこも紅葉が綺麗で、紅く、私はこんなの初めてだった。大学の近くには黄色く色づくのが多かったし、家の池の淵にも紅くなってる紅葉があるけど、こんなにいっぱいなのは見たこと無かった。
「うわー きれい! すごーい ねぇ ゲンさん」と、私は、ゲンさんの手を取っていた。そのまま、手を繋いで歩いていた。もう、男の人だからって、怖くなかった。というより、ゲンさんは 安心できる。
「香波ちゃん 自分は こういうの慣れてないんで 恥ずかしいっす」
「私も 少し恥ずかしいんだけどね まわり見てよ 手も繋いでないほうが、なんだか目立っちゃうよ」
「はぁ そんなもんなんですね でも、香波ちゃんみたいな可愛い娘と自分じゃぁ 釣り合わないって かー」
「そんなことないわよ ゲンさん 恰好いいわよ ごつくて・・ あのね 最初 見た目が怖いんだけど、お話すると優しくて暖かい きっと 女の人にもてると思うわー それに 私のお兄ちゃんなんだから」
「お兄ちゃんかー やっぱり」
「そうよ ごめんね でも ゲンさんと居ると安心できるから 好きですよ」
竹の小径をぬけて、定食屋さんでお昼を食べて、私達はカップコーヒーを持って保津川を眺めながらベンチに座って、お話をしていた。
私は、島にいた時の生活とかを話し始めていて、島を出て京都に来た理由もあの人のことも話した。そして、島に来ていた男達に襲われかけてバクに助けてもらったことも。
「ひでぇ奴等だな 自分がその場にいたら、海にぶん投げてやるんだけどな」
「うふっ まだ そん時は ゲンさんと知り合って無かったもの でも 私にはバクが居たの」
「あっ そうかー だから、その 愛しの彼が自然研究会なんだ 早く、会えるといいね」
「そう でも きっと 帰って来ると信じてるの ゲンさんとこうやってるとこ見ると気分悪くするかもね」
「そんな 気の小さい男じゃぁないんだろう 休学してまで、いろんな経験を積んでいるなんて ただものじゃぁないよ」
「うん そう 思ってるけどね」
「その彼も こんなに可愛い娘が待っているなんて知らないんだろう なんか 複雑だね」
「でも、待つしかないんだー 糸で繋がっていると思っているの」と、私はグーッと両脚を伸ばしていると
「香波ちゃん そうやっていると 輝いているもの 脚が眩しいよ ドキドキする でも 細くて、筋肉質なんだね 島で鍛えたのかな」
「あっ ゲンさんでも そーなんだ ねぇ それって 少しでも、女って見てくれているってこと?」
「うん どっちかというとね 最近 とくに 変わってきたみたい」
「よかった 男の子に見られなくて」
「あのー 香波ちゃんと居ると 楽しいっす その女の子とかいうんじゃぁなくても 素朴だからー」
「あっ そうか くるみちゃんはデートでお休みなんだ」
「えー くるみ デートなんですか?」
「言って無かったんだー 余計なこと言ってしまったかな 内緒な」
「そう ゲンさんのお友達の方でしょ?」
「うん トシロー 合コンしてから、付き合っているみたいだよ 昨日、トシローがデートなんだと報告してきた。えーと じゃぁ 今日はハムカツサンドにする」
「じゃぁって 何よ べつに クレープでもいいんですよ!」
「いや 香波ちゃんの ワッフルがいい 香波ちやん 今日も機嫌ななめ?」
「ごめんなさい ちょっと からかっただけ」
「なら いいんだけど このお店は美人ばっかり揃ってるんだね オーナーの好みなんかなー あの人も美人だねー」
「・・・オーナー 店長です」と、私は、小声で
「えっ そうなんか まだ、若いよね やり手なんだ」
「ゲンさんの先輩ですよ」
「えー あー そうだ! 校内で、すげぇ美人がいるってウワサの人になっていた人だ」
「うふふっ 私も 知ってますわよ 源さん レスリング部のホープ」と、燿さんが
「えー 光栄です いやー 知っててくれたんだ」
「ええ 有名人だからね 香波ちゃん 私が持ってきた焼き豚 入れて見て 試作段階なのよ 常連さんのご感想をお聞きしたいわ」
私が焼き上げて持っていくと、ゲンさんは珍しくじっくりと食べていた。
「うまいっす 自分には焼き豚 もう少し、甘く無い方が好みかなー でも、肉の感じがいいっす 脂もトロトロしていて」
「そう 参考にさせていただくわね」
その時、3人連れの女子大生が店内に賑やかに笑いながら入ってきた。ゲンさんが居るのを見て、一瞬 たじろいでいたみたいなのだ。食べ終わっているゲンさんのほうを見ると、電話をかける仕草を私に向かってしていた。私は、頷いて、返していた。
そして、仕事帰りに公衆電話から
「ありがとう 香波ちゃん お店では言えなくてな」と、私が話す前に言ってきた。
「いえ 私もゲンさんがなんか 言いたげだったから・・」
「あのー 今度 嵐山 いきませんか 紅葉がきれいですよ」
「誘ってくださるんですか うれしいです でも、水曜の午後からでよければ・・」
「もちろん こっちこそ 楽しみです」
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水曜日の朝、お母さんに
「お母さん 今日 午後から お友達と 出掛けるんです すみません お庭のお掃除できなくって・・」
「あら 珍しいわね いいのよ 掃除なんて 楽しんでいらっしゃい でも、遅くなんないようにね 暗くなる前に帰ってらっしゃいよ」
「わかりました すみません」
烏丸の地下鉄の駅で待ち合わせをしていた。私は、グレーのストラップキュロットに編み上げのブーツで、直ぐに、ゲンさんに会えた。
「香波ちやん ミニスカート 可愛いよ」
「ありがと でも、キュロットだからね」
「あっ そうか じゃぁ 見える心配 要らないんだ でも きっと 走ると速そうな脚だよね」
「うふっ ゲンさんでも そんなこと言うんだね 大丈夫よ」
そして、天神川から電車で嵐山へ。祇王寺から天龍寺に向かってずーと歩いた。どこも紅葉が綺麗で、紅く、私はこんなの初めてだった。大学の近くには黄色く色づくのが多かったし、家の池の淵にも紅くなってる紅葉があるけど、こんなにいっぱいなのは見たこと無かった。
「うわー きれい! すごーい ねぇ ゲンさん」と、私は、ゲンさんの手を取っていた。そのまま、手を繋いで歩いていた。もう、男の人だからって、怖くなかった。というより、ゲンさんは 安心できる。
「香波ちゃん 自分は こういうの慣れてないんで 恥ずかしいっす」
「私も 少し恥ずかしいんだけどね まわり見てよ 手も繋いでないほうが、なんだか目立っちゃうよ」
「はぁ そんなもんなんですね でも、香波ちゃんみたいな可愛い娘と自分じゃぁ 釣り合わないって かー」
「そんなことないわよ ゲンさん 恰好いいわよ ごつくて・・ あのね 最初 見た目が怖いんだけど、お話すると優しくて暖かい きっと 女の人にもてると思うわー それに 私のお兄ちゃんなんだから」
「お兄ちゃんかー やっぱり」
「そうよ ごめんね でも ゲンさんと居ると安心できるから 好きですよ」
竹の小径をぬけて、定食屋さんでお昼を食べて、私達はカップコーヒーを持って保津川を眺めながらベンチに座って、お話をしていた。
私は、島にいた時の生活とかを話し始めていて、島を出て京都に来た理由もあの人のことも話した。そして、島に来ていた男達に襲われかけてバクに助けてもらったことも。
「ひでぇ奴等だな 自分がその場にいたら、海にぶん投げてやるんだけどな」
「うふっ まだ そん時は ゲンさんと知り合って無かったもの でも 私にはバクが居たの」
「あっ そうかー だから、その 愛しの彼が自然研究会なんだ 早く、会えるといいね」
「そう でも きっと 帰って来ると信じてるの ゲンさんとこうやってるとこ見ると気分悪くするかもね」
「そんな 気の小さい男じゃぁないんだろう 休学してまで、いろんな経験を積んでいるなんて ただものじゃぁないよ」
「うん そう 思ってるけどね」
「その彼も こんなに可愛い娘が待っているなんて知らないんだろう なんか 複雑だね」
「でも、待つしかないんだー 糸で繋がっていると思っているの」と、私はグーッと両脚を伸ばしていると
「香波ちゃん そうやっていると 輝いているもの 脚が眩しいよ ドキドキする でも 細くて、筋肉質なんだね 島で鍛えたのかな」
「あっ ゲンさんでも そーなんだ ねぇ それって 少しでも、女って見てくれているってこと?」
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