少女は 見えない糸だけをたよりに・・

すんのはじめ

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第6章

6-1

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 年が明けて、去年と同じように、お正月のお膳の用意をして、やっぱり、レースの白い襟のブラウスにネイビーブルーのフレァスカートを着て、座敷にみんなで座った。

「あけましておめでとうございます 今年もみんな元気でな」と、お父さんの一声で乾杯した。銀色の盃。

「はやいもんだな 香波が来てくれて もう1年になるな 今はワシに懐いてくれたから、子供の頃から居るような感じだ。本当の子供になってくれている ありがとうな香波」

「お父さん 私のほうこそ ありがとうございます」

「お父様 年末のパーティでね 自己紹介するのに 香波は 帯屋香波ですって言ってたわよ もう、気持ちはお父様の娘なのよ」

「そうか それは 嬉しいのう 香波」

「それでね あの時 少しは、香波にも男の人の免疫出来たみたい。それにね、あの後、香波をもう一度、紹介してほしいって人も何人かが言ってきたのよ もちろん ダメって言っておいたわよ」

「おい 燿 あんまり 無茶すんなよ なんか 香波で楽しんでいるみたいだな」

「お父さん 違うんですよ お姉ちゃんは 私のことを考えてくれて・・」

「うーん 燿は 思い立ったら、すぐに行動するから ヒヤヒヤするよ それで、燿は申し込まれないんか?」

「ええ 私って敬遠されるのよねー」

 そして、着物を着せてもらって、みんなで初詣に・・。

「今年は、何をお願いした?」と、お父さんが聞いてきたので

「みんなの幸せと あの人が無事に帰ってきますようにと」

「そうか 春になると だよな」

「ええ 春には・・きっと」

「ワシには もっと 先のほうが良いと思うのは 勝手なのかな」

「いいえ でも お父さんにも気に入ってもらえると いいなって思っています」

「そうだなー 香波の幸せが待っているんだものな」

 ― ― ― * * * ― ― ―

 冬休みも終わって、学生さんも増えてきた頃、有沢さんがお店に飛び込んできた。

「香波ちゃん わかったよ 多分 巧の居所」

「えー」と、私は言葉が続かなかった。

「沖縄だ 杉沢って先輩が居るんだよ 自然研究会の先輩でな 巧に、サンゴの海を守りながら暮らしている友人が居るから、自然を大切にしている奴だから、学ぶことも多いぞって、尋ねてみろって紹介したらしいんだ。北海道の牧草の借り入れも終わって、相談してきたって言って居た」

「それで、今度は沖縄なんですかー」

「うん 今度は、その杉沢先輩に聞けば、居所わかるぞ どうする?」

「・・・聞いても、私、そこへ行くわけにはいかない それに、邪魔になるだろうし」

「そうか せっかく 居所わかったんだから・・ じゃぁ、香波ちゃんが待っているってことだけでも、知らせておくか」

「有沢さん やっぱり 黙ってて・・ 私 あの人の負担になるの嫌なの 待ってます 帰って来るの きっと 帰ってきてくれると信じて 春までは待ちます」

「そうかー じゃあ、居所聞いて、新学期には帰って来るかだけでも確認しておくよ 香波ちゃんのことは言わないようにする」

「うん お願い」

 その晩、お姉ちゃんとお風呂に入っている時に、報告をした。

「良かったわねー 香波 でも、本当に行かないで良いの? 辛抱できるの?」

「私ね 本当は 会うの怖いの しつこい女だと思われないかと・・それに あの人にふさわしい女なんだろうかとか」

「香波 いまごろになって 何言ってんのよ あんなに結ばれてますって 言い切っていたじゃない それにね あなたは、まだ、子供よ これから どんどん 色々経験して磨いていくの 向こうも そうよ お付き合いが始まって、お互いにね 香波は賢いんだから 自信持ちなさい あなたみたいな子はね 手に入れたくたって 手に入らないんだからー」

 そして、2月になって17才の誕生日を迎えていた。家族のみんなでホテルのレストランでお食事をして祝ってくれたのだ。お父さんは、アメジストのネックレス、イャリングを、お姉ちゃんは細いリングのブレスレットを用意してくれていた。

 あと、ふた月すれば、あの人に会えるんだ。巧さん・・。
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