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第11章
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巧も勤め出して、二度目の日曜日、お姉ちゃんが巧の就職祝いにスーツを買ってあげるといって、3人で寺町通の紳士服専門店に来ていた。
「あのね 男の人もそうだけど、それなりに良いもの着ていると、相手からの印象が違ってくるからね 私の妹の旦那さんになるんだから、私の我儘と思ってちょうだい」
「はぁー でも 良いんかなーって 厚かましくないですかー」
「いいの! 京都って そんなとこうるさいのよ どんなの着てるって 特に年配の人はね そういうので、人を見るところあるからね 東京じゃぁ 逆に、ひがまれるかもね」
ハーフオーダーで、お姉ちゃんの好みで選んだようなものだった。
「お姉ちゃん ありがとう」巧がお礼を言った後、私もお礼を言っていた。
「香波の選んだ人でしょ だったら、私にとっても弟じゃぁない 当たり前よ 実はね スポンサーはお父様なの 内緒よ 口止めされているから」
「そう お父さん そんなにまで 私に・・」
「うん 可愛くてたまらないみたいよ 私も、香波のことが可愛くて、食べてしまていたくらい」
「だからー いやだーって そんなのー お姉ちゃんのこと尊敬してるんだから」
「うふっ じゃあねー これから、ステーキレストランね もっと、巧さんのこと知りたいから・・いこー・・香波には、お邪魔かも知れないけど・・」
「いいよー 私は 巧のこと もっと 知っていてほしい ねぇ 巧」
その後、鴨川沿いのレストランに行って、二人はワインも空けて散々飲んで、私は少し口をつけただけで、顔がほてってきてしまって、二人が話しているのを聞いていた。特に、同じ大学だから、伝説の寮生の話とか昔の話なんかとかで盛り上がっていた。
お店を出た後も、もう一軒とかお姉ちゃんが騒いでいて、今度は総菜の小料理屋さんに行って、また、お酒を飲み出していた。出た後、もうフラフラしているお姉ちゃんを支えている巧に私は嫉妬を感じながら、別れを告げて、お姉ちゃんをタクシーに乗せて帰って来たのだ。
家にたどり着くと、お父さんが出てきて
「嫁入り前の娘がなんてざまなんだー そういうのは 時代かのー」と、それっきりだった。
それでも、お姉ちゃんはお風呂に一緒に入ろうとうるさくて・・・。そしたら、また、香波は胸が小さいから、もっとなんとかしろって、平気で私のを揉むようにしてきて・・だから、私も、お姉ちゃんのに吸い付いて・・二人でお湯を掛け合いっこしていたのだ。
だけど、こんなに家の人にも愛されて、私は幸せを感じていた。やっぱり、あの時、この人に出会えなかったら、こんな幸せなかっただろうなと思っていた。それこそ、知らない男の人に騙されて、オモチャにされていたのかもしれないのだ。だから、その日もお姉ちゃんに寄り添って寝たのだ。
― ― ― * * * ― ― ―
水曜日、夕方も奈々ちゃんが代わってくれるからって、私は、ご飯を作りに巧のマンションに行ってみた。なんだか、汗臭いのか、やっぱり男の人の臭い。すぐに、窓を全開にして、冷蔵庫のチェック。お布団は、真面目に隅のほうに折りたたまれていた。炊飯器にご飯が残っていたので、焼き飯にして、野菜サラダと麻婆豆腐を作って、冷蔵庫にしまって、扉にメモを書き残した。温めて、お召し上がれ♡ と。それから、トイレとお風呂を掃除して、7時まで待ったけど、やっぱり帰ってこないので、仕方なく私は、マンションを後にした。
日曜日になって、私は、朝から巧のマンションに向かった。巧は起きたとこみたいで、ちょうど、朝のコーヒーを飲んでいたみたいで、ぼーっと窓の外を眺めていた。
「おはようー 朝ご飯 まだみたいだね」
「あぁ ゆっくりとな」
「あっ ベッド買ったんだ」ベッドの横に学習机が奥のほうに並んで置かれ、手前のほうに簡単なテーブルと椅子があって
「ずいぶんと配置換えね」
「そーだな やっぱり、ベッドがいいよ すぐ 寝ころべるし・・」
「そうだね 低いと なんか 虫が来るようでね 私 島で慣れているはずなんだけどなー」
「香波 この前 ご飯 ありがとう うまかったよ」
「そう よかったー 今日も なんか つくるね」
「だけど 狭いからたいへんだろー?」
「そうね なんとかするよー ご希望は?」
「そーだな でっかいエビクリームコロッケ」
「ふーん じゃぁ ハンバーグね」
「なんだよ それっ!」
「だってさー 揚げ物なんか ここで 出来ると思う? ハンバーグに海老も入れてあげるから我慢して」
「そっかー それもうまそうだなー じゃー それ」
「うん あとで お買い物ね」
巧は、私を抱きしめてきて、唇を合わせて、ベッドに押し倒してきた。そして・・巧の手がスカートの中に・・
「ぁー まってー 私 今 アレの日なの できない ごめんなさい」
「うー そっかー」と、もう一度、唇を合わせて、離れてくれた。
その後、買い物に出かけて、私は、海老入りのハンバーグを作って、昼食兼夕食を済ませて、帰ってきた。夕方、お父さんと散歩するつもりだったから。
家に戻ると、直ぐに、お父さんを誘って、疎水べりを歩いた。
「香波 もっと 彼と一緒に居たかったんじゃぁないのか ワシに付き合ってくれて、すまんのー」
「いいの お父さん 私 こうやって、歩くの楽しいから」私は、やっぱり、腕を組んでいた。
「香波 いずれ、彼氏の元に行くんじゃろー 香波は早く嫁ぎたいだろうけど、出来るだけ先にしてくれ その前に、正式にワシの娘になってくれんかのー もちろん、聡にも燿にも話してある 賛成してくれた」
「えーぇー 今 娘のつもりなんですけどー」
「だからー 籍を 帯屋の娘として・・ 結婚して、嫁ぐのも帯屋の娘としてじゃー そのほうが、巧君の親御さんも安心じゃろーて」
「お父さん 本当に そこまで 私のことを考えてくださって、ありがとうございます でも、私 そんな大切なこと、ひとりじゃぁ 決められません ウチの父母にきかないと・・おばぁちゃんにも・・でも、そこまでしてもらって、いいのかなーって」
「ワシの願いじゃ なんだったら もう一度、島に行ってお墓の前でお願いをする 考えてくれ」
「私 お父さん、お母さん、お姉ちゃんに出会えて 幸せ 良かったって思います」と、私は、お父さんの腕にしがみつくように組みなおしていって、歩いた。
「ワシも こんな 天からの授かりものを与えてもらって 今 幸せじゃよ それに、もう直ぐ 息子もな 一緒に酒を酌み交わすのが楽しみじゃー」
「あのね 男の人もそうだけど、それなりに良いもの着ていると、相手からの印象が違ってくるからね 私の妹の旦那さんになるんだから、私の我儘と思ってちょうだい」
「はぁー でも 良いんかなーって 厚かましくないですかー」
「いいの! 京都って そんなとこうるさいのよ どんなの着てるって 特に年配の人はね そういうので、人を見るところあるからね 東京じゃぁ 逆に、ひがまれるかもね」
ハーフオーダーで、お姉ちゃんの好みで選んだようなものだった。
「お姉ちゃん ありがとう」巧がお礼を言った後、私もお礼を言っていた。
「香波の選んだ人でしょ だったら、私にとっても弟じゃぁない 当たり前よ 実はね スポンサーはお父様なの 内緒よ 口止めされているから」
「そう お父さん そんなにまで 私に・・」
「うん 可愛くてたまらないみたいよ 私も、香波のことが可愛くて、食べてしまていたくらい」
「だからー いやだーって そんなのー お姉ちゃんのこと尊敬してるんだから」
「うふっ じゃあねー これから、ステーキレストランね もっと、巧さんのこと知りたいから・・いこー・・香波には、お邪魔かも知れないけど・・」
「いいよー 私は 巧のこと もっと 知っていてほしい ねぇ 巧」
その後、鴨川沿いのレストランに行って、二人はワインも空けて散々飲んで、私は少し口をつけただけで、顔がほてってきてしまって、二人が話しているのを聞いていた。特に、同じ大学だから、伝説の寮生の話とか昔の話なんかとかで盛り上がっていた。
お店を出た後も、もう一軒とかお姉ちゃんが騒いでいて、今度は総菜の小料理屋さんに行って、また、お酒を飲み出していた。出た後、もうフラフラしているお姉ちゃんを支えている巧に私は嫉妬を感じながら、別れを告げて、お姉ちゃんをタクシーに乗せて帰って来たのだ。
家にたどり着くと、お父さんが出てきて
「嫁入り前の娘がなんてざまなんだー そういうのは 時代かのー」と、それっきりだった。
それでも、お姉ちゃんはお風呂に一緒に入ろうとうるさくて・・・。そしたら、また、香波は胸が小さいから、もっとなんとかしろって、平気で私のを揉むようにしてきて・・だから、私も、お姉ちゃんのに吸い付いて・・二人でお湯を掛け合いっこしていたのだ。
だけど、こんなに家の人にも愛されて、私は幸せを感じていた。やっぱり、あの時、この人に出会えなかったら、こんな幸せなかっただろうなと思っていた。それこそ、知らない男の人に騙されて、オモチャにされていたのかもしれないのだ。だから、その日もお姉ちゃんに寄り添って寝たのだ。
― ― ― * * * ― ― ―
水曜日、夕方も奈々ちゃんが代わってくれるからって、私は、ご飯を作りに巧のマンションに行ってみた。なんだか、汗臭いのか、やっぱり男の人の臭い。すぐに、窓を全開にして、冷蔵庫のチェック。お布団は、真面目に隅のほうに折りたたまれていた。炊飯器にご飯が残っていたので、焼き飯にして、野菜サラダと麻婆豆腐を作って、冷蔵庫にしまって、扉にメモを書き残した。温めて、お召し上がれ♡ と。それから、トイレとお風呂を掃除して、7時まで待ったけど、やっぱり帰ってこないので、仕方なく私は、マンションを後にした。
日曜日になって、私は、朝から巧のマンションに向かった。巧は起きたとこみたいで、ちょうど、朝のコーヒーを飲んでいたみたいで、ぼーっと窓の外を眺めていた。
「おはようー 朝ご飯 まだみたいだね」
「あぁ ゆっくりとな」
「あっ ベッド買ったんだ」ベッドの横に学習机が奥のほうに並んで置かれ、手前のほうに簡単なテーブルと椅子があって
「ずいぶんと配置換えね」
「そーだな やっぱり、ベッドがいいよ すぐ 寝ころべるし・・」
「そうだね 低いと なんか 虫が来るようでね 私 島で慣れているはずなんだけどなー」
「香波 この前 ご飯 ありがとう うまかったよ」
「そう よかったー 今日も なんか つくるね」
「だけど 狭いからたいへんだろー?」
「そうね なんとかするよー ご希望は?」
「そーだな でっかいエビクリームコロッケ」
「ふーん じゃぁ ハンバーグね」
「なんだよ それっ!」
「だってさー 揚げ物なんか ここで 出来ると思う? ハンバーグに海老も入れてあげるから我慢して」
「そっかー それもうまそうだなー じゃー それ」
「うん あとで お買い物ね」
巧は、私を抱きしめてきて、唇を合わせて、ベッドに押し倒してきた。そして・・巧の手がスカートの中に・・
「ぁー まってー 私 今 アレの日なの できない ごめんなさい」
「うー そっかー」と、もう一度、唇を合わせて、離れてくれた。
その後、買い物に出かけて、私は、海老入りのハンバーグを作って、昼食兼夕食を済ませて、帰ってきた。夕方、お父さんと散歩するつもりだったから。
家に戻ると、直ぐに、お父さんを誘って、疎水べりを歩いた。
「香波 もっと 彼と一緒に居たかったんじゃぁないのか ワシに付き合ってくれて、すまんのー」
「いいの お父さん 私 こうやって、歩くの楽しいから」私は、やっぱり、腕を組んでいた。
「香波 いずれ、彼氏の元に行くんじゃろー 香波は早く嫁ぎたいだろうけど、出来るだけ先にしてくれ その前に、正式にワシの娘になってくれんかのー もちろん、聡にも燿にも話してある 賛成してくれた」
「えーぇー 今 娘のつもりなんですけどー」
「だからー 籍を 帯屋の娘として・・ 結婚して、嫁ぐのも帯屋の娘としてじゃー そのほうが、巧君の親御さんも安心じゃろーて」
「お父さん 本当に そこまで 私のことを考えてくださって、ありがとうございます でも、私 そんな大切なこと、ひとりじゃぁ 決められません ウチの父母にきかないと・・おばぁちゃんにも・・でも、そこまでしてもらって、いいのかなーって」
「ワシの願いじゃ なんだったら もう一度、島に行ってお墓の前でお願いをする 考えてくれ」
「私 お父さん、お母さん、お姉ちゃんに出会えて 幸せ 良かったって思います」と、私は、お父さんの腕にしがみつくように組みなおしていって、歩いた。
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