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23話 魔王の社交辞令
しおりを挟む勇者パーティー【天使の聖剣】結成記念祝賀会にて。
開会式で、私の愛するユーナと魔王軍四天王であり、バカゴリラのエツィーが抱きしめ合うというゴミイベントからどれくらい時間が経ったのか。
私は今、ユーナとその仲間たちのテーブルで食事を取っていた。
ユーナは王や大教皇らに呼ばれたのか、今は席を外しているのだが……まったく、何が悲しくて、この魔王軍の頂点にして魔王のこの私がユーナの取り巻きと食事をしなければならないのか。
それというのも、このアホンダラ四天王のせいである。
エツィーに対して怒りを爆発させた私をなだめるキノコが、
『とりあえず食事にしましょうよ? ね? 美味しいものを食べたら落ちつきますから……ね、ヨーケスおにいさん』
と、やんわりなだめるように言ってきたからだ。
エツィーめ、キノコに感謝するがいい。貴様のクビがまだ繋がっているのは、この男のおかげなのだからな!
そして、私がグイッとワインを口にしたその時だ。
「……ま、魔王様。ど、どうかお気を鎮めてほしいゴリよ……ワガハイも勇者殿にせがまれたら断れなくて」
私にさっき裏で、フルボッコにされたエツィーが包帯ぐるぐる巻きのボロボロになりながら、テーブルにワインとチーズ、ウィンナーの盛り合わせを持って近づいてくる。
しかも腹立つのがだ。
小首を傾げ、自分ちょっとかわいいゴリラじゃありません? みたいなアピールをして言うものだから、再びぬっころしたくなる。
エツィーの気色の悪さに、私の怒りの炎が再び燃え上がる。
私は下品であるのを承知で、テーブルを叩き割る勢いで拳を振り下ろした。
「ぷんすこ! やいエツィー、私は〝イラオコナウ〟だぞ! この私ですら、ユーナと抱き合ったのは幼少期のみだというのに、それをあそこまでステキに成長したユーナと貴様は……! あぁ、思い出すだけでも腹が立つッッ、ぷんすか!」
「ヒイィ! も、申し訳ありませんゴリッ!」
私が睨みつけると、エツィーはプルプルと恐怖に怯え。
私は、エツィーが反逆の台詞を並べたことよりも、こいつがユーナと抱きしめ合ったことの方を怒っていた。
あんな大勢が見ている前で、しかも私の前で抱きしめ合うだなんて……!
ユーナに関しては仕方ない、あの娘は心優しい女の子だし、無自覚だ。
しかしこのエツィーはどうだ? 最恐最悪の魔王軍の、泣く子もチビる四天王だぞ?
そんなこのバカゴリラに下心がないわけないのだ。
どーせ、『あぁ、勇者殿の身体柔らかいふわふわでいい匂い萌え死ぬー!』とか考えたに違いないのだ!
ったく、不浄の者めが汚らわしい!
ぷんすこ!
☆★
時間が経ってくると、私の怒りもやや鎮火してくる。
すると、なんとはなしにユーナの仲間の女性が目に入る。
ふむ、たしかシャンプル・リンスルとかいう名前だったか? 近くで見るとたしかに美人ではある。
聞けば、西方にある王国の出身という。
美しい銀髪と、細身のスタイル。それでいて主張のある胸。
なるほど、男どもが見惚れてしまうわけだ。
ま、私からしたら、彼女はユーナの足元にも及ばないが。
なぜならユーナの可愛さに勝てる女性など、この世界に存在しない。いや、異世界にだっていやしないさ。
そんなことを考えていると。
「……なに見てるんですか? そんなにわたくしが食べてるものが気になりますか?」
と、シャンプルが私をじとーっと見てくる。すると、彼女がフォークに刺したフルーツを私に差し出す。
もぐもぐとフルーツを頬張りながらシャンプルが言った。
「……はい、どうぞ」
こ、これは……しまった、勘違いをさせてしまった。
私が底抜けの食い意地を持つ男だと思われたか?
ふーむ……別にそんなつもりはないのだが、よし。
私も魔王軍の頂点にして魔王。
社交辞令の一つでも言おうじゃないか。
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