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51話 猛毒の泉トラッフグを浄化せよ!
しおりを挟む変態四天王ビエルに裁きの炎を与えた翌日。
魔王城の玉座の間で私は頭を抱えていた。
「むむむ……むぅ」
玉座に座り、魔導水晶板を見ながら私は声を漏らす。
見ていたのは〝ドヤッター〟のユーナのアカウントページだ。
なんとユーナのドヤ呟きがトレンド一位になっている。
トレンド名は『神託の勇者ユーナ、ついに始動か!?』だった。
……もちろん私はいつもかかさず、ユーナの〝ドヤッター〟の呟きはチェックしていた。
ユーナは〝ドヤッター〟に毎日ドヤ呟きや画像投稿をしてはいない。とはいえ、時折アップする画像やコメントに私はキャッキャしながら喜んで見ていた。
顔出しをしていて、その天使のような可愛さからか、いつの間にかフォロワー魔族数が100万魔族と登録してからめっちゃ人気者になっている。
そんなユーナのコメントはこうだ。
アカウント名
【ユーナ・ステラレコード@天使の聖剣!】
コメント
【伝説の剣・エクスカリバーを手にいれました! レベルはまだ1だけど……でも、そのおかげでついに! ユーナに勇者としての依頼がありました! 猛毒の泉トラッフグのモンスター討伐依頼です! ユーナがんばっちゃお!】
エクスカリバーを掲げる画像と、このドヤ呟きに対してたくさんのコメント返しが押し寄せていた。
どうやらユーナのことを応援する魔族はなかなかに多いらしい。
というか、めっちゃバズっている……!
そんな、ユーナファンの返信コメントはこうだ。
『猛毒の泉トラッフグ!? だいじょぶユーナちゃん?』
『たしか、その泉は初代魔王ネクラデスが人間たちを苦しめようとして猛毒化したとこじゃん!』
『勇者パーティーに回復役の大聖女がいてもやばくね? 一応、初代魔王の力が未だに影響されてるらしいし……』
『あそこのモンスターもタチが悪いからなあ、気をつけてねユーナちゃん!』
ファンの魔族達がめっちゃユーナを心配している。中には応援したり、チヤホヤしている者もいるくらいだ。
わかるぞ、ユーナを応援したくなるファンの皆の気持ち……!
私だってユーナが最近、レベルが上げられないことに悩んでいたことをどうにか解決したいとは思っていたし。
そういうことで、ユーナに伝説の剣エクスカリバーをゲットしてもらったわけだし?
おかげでユーナの悩みが消えて、自信に満ち溢れたということは私も喜ばしい。
しかしな……!
なんでまた、猛毒の泉攻略をユーナに依頼したんだ?
どこのどいつか知らんが、依頼者はとことん頭の悪いアホなのか?
私の可愛いユーナが猛毒に侵されたらどうしてくれるんだ!
ぬっころすぞマジで……!
猛毒の泉トラッフグといえば、たしかに初代魔王ネクラデスによって猛毒化した泉。生態系は破壊され、いまやその泉は毒属性のモンスターばかりがいる危険地帯だ。
はっきり言って、魔族だって迂闊に近寄らない場所なんだぞ。
ぐぬぬぬぬ……!
「これはさらに、魔王軍へ新たな命令を下す必要がある……! 私のユーナを危険にさらすわけにはいかないッ」
私は玉座から立ち上がると、強く拳を握りしめた。
「新たな魔王軍へ下す命令は……そうだな」
【猛毒の泉トラッフグを浄化しろ! なんなら回復の泉に変えてしまえ! モンスター? 駆逐しろ! 毒属性の魚は浄化して美味しい魚にしてしまえ!】
決定だ。
ユーナが泉に辿り着く前に、この作戦は成功させる……!
絶対に。
応援ありがとうございます!
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