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14.絶対に誰もいなかったはずなのに、なんでいるんですか!!
しおりを挟むフォルゲソスたちは驚いていたけど、僕だって、自分がこんなことを言っているなんて、びっくりだ。
だけど、これはずっと、僕が考えていたことだ。
そもそも僕、なんでこいつに従ってるんだ?
フォルゲソスは、僕に手を上げられたって騒いでいたけど、僕はそんなことしてない。
だいたい、僕はこの砦で働くように言われてここに来たけど、僕を雇っているのはグレヴロオル様で、部隊を抜けるのも僕の自由じゃないか!!
だったらやめて出て行くのだって、僕の勝手だろ!
けれどフォルゲソスは、僕が言っていることがおかしいと言わんばかりに焦り出す。
「は……?? は!? な、何を言っているんだ!? やめる??」
「…………はい。僕……もうあなたの部隊にいるのはやめます」
「か、勝手なことを言うなっ……!! 今日の部隊の仕事はどうする!?」
「終わりました」
「は!?」
「朝早くに終わらせてきました」
僕が言うと、フォルゲソスはますます驚いていた。
だけど、これは本当のことだ。
僕はグレヴロオル様との話し合いが終わってから、魔物退治に行ってきた。
いつもフォルゲソスたちの部隊に割り当てられる魔物退治は、ものすごく簡単なもの。グレヴロオル様は、仕事の割り当てでひいきがひどいんだ。リギューラ家の人に怪我をさせるわけにはいかないんだろうが、あまり魔力を持たない魔物を数体倒すだけ。あれくらいなら、フォルゲソスたちがいなければ、すぐに終わる。
それに僕の魔法は屋内で壊しちゃダメなものがあるときは使いづらいけど、外に出てしまえば、心置きなく撃てる。特に、森での魔物退治には最適。少し吹っ飛ばしたら終わった。
こんな奴のために魔物を倒すみたいで癪に触るが、最後の義理だ。あとは自分達でなんとかすればいい。
「これならもう、問題ないですよね? じゃあ、僕は、僕の仕事があるので」
「仕事!?」
「はい。魔物退治です。グレヴロオル様が約束してくださいました。指定された条件を満たせば、僕はここをやめていいって」
「……そんな、まさか……お、お前にそんなことができるわけがない!! 証拠でもあるのか!??」
「証拠って……そんなこと言われても…………グレヴロオル様に聞いてください」
証拠か……
急いで終わらせてきたからそこまで考えてなかったーーーー!!
僕って、こういうところが抜けてるんだよな……
グレヴロオル様には、魔物を退治した時に手に入る素材を渡したから、それを見てもらえば分かるはずだ。だけどグレヴロオル様、簡単にはそれを見せてくれないだろうな…………後でまたグレヴロオル様の部屋に行って、なんとか出してもらうしかないか……
対策を考えていると、横からいきなり肩を抱かれた。
「確かに、リュイウェリレクはそれをしていたぞ」
そう言って僕の肩を抱く男に振り向けば、そこにいたのはやっぱりヴァトズフィウズ様……もう慣れてきたけど……
やっぱりびっくりする!
何してるんだよ!! この人!! 撒いたはずなのに!!
「な、なんで……ここにっ……!!」
「リュイウェリレクがここにいるような気がしたから来ただけだ」
そう言ってヴァトズフィウズ様は、フォルゲソスに振り向く。
「確かに、俺が見ていた。俺が証人だ」
「そんな……まさか…………ヴァトズフィウズ様!! な、なぜそいつの肩など持つのです!! その男は、私に手を上げたゲスですよ!!」
「それも、お前のでまかせだ。リュイウェリレクにお前が言うような魔法は使えない」
「そんなっ…………」
「確かにリュイウェリレクは指定された魔物を退治していた。その時の映像も、記録の魔法で魔力に記憶させてある。その時とれた素材も、回収してグレヴロオルに渡してあるはずだ」
彼がそう言うと、ちょうどそこに、グレヴロオル様が入ってくる。
「朝礼を始める。すぐに整列……」
言いかけたグレヴロオル様に、フォルゲソスが詰め寄った。そして、いきなり胸ぐらを掴み上げる。
「おい! 貴様っ……どういうつもりだ!! 勝手にあいつを自由にするなどっ……」
「り、リギューラ家のお坊ちゃん!! お、落ち着いてください!! できるはずがありません!! 言い付けた魔物退治は、かなり難しいものばかりです! わ、私でも、到底できるとは思えません!! どうか落ち着いて……」
そいつが出した条件を確認したフォルゲソスは、僕に振り向いた。
「…………お前、本当にできると思っているのか?」
「やります。僕は、自由になるって決めたんです。もう、あなたに使われるのはごめんです!」
「……」
フォルゲソスは、まだ不満そうだったけど、チラッとヴァトズフィウズ様の方を見て、僕に向き直った。
「それで? 一人でこの魔物退治に行くつもりか?」
「はい」
「部隊はどうする? 魔物退治は、部隊で行くのが基本だ」
「そんなのいりません。僕は一人で…………わっっ!!」
隣にいたヴァトズフィウズ様が、僕を抱き寄せる。
「俺とこいつで部隊だ」
「は!??? な、なぜ、それとっ!!!!」
フォルゲソスは焦っていたけど、僕の方が焦ってる。
僕…………あ、あれだけ断ったのに……
だいたい、見ていたって言うけど、そんなはずない!!
だって、グレヴロオル様との話が終わってから隙を見て逃げ出して、絶対にあとをつけられていないことを確認して、魔法で周囲に誰もいないか、確認しておいた。絶対に誰もいなかったのに!
それなのに……なんでそんなこと知ってるんだ! しかも、映像!? そんなはずないっ……!! なんでそんなもの持ってるんだ!???
「ぼ、僕っ……部隊なんて、組みません!! そう言ったのにっ…………」
暴れても、ヴァトズフィウズ様は楽しそう。
「聞いたぞ。気をつかわなくても、俺がしたいようにしていいんだろう?」
「あれはっ……そういう意味じゃありません!」
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