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37.その方が
しおりを挟む街の周辺の森は、街の警備隊と僕らみたいな森の砦の魔法使いが、森に入ってしばらく行くとある川を超えてさらに森の奥へ進んだ方は、砦が管轄して魔物退治をし、安全を保つことになっている。
境界を決めておかないと、後で問題が起こった時に「どっちが責任を取るんだ!」って言い合いになるからそうしたらしいが、今はまるでそれが縄張りみたいになっていて、ちょっと面倒臭い。砦と警備隊の関係が良好な時はいいけど、こうして揉め事が起こると、本当に面倒くさい。
警備隊の二人は街を離れ、森の中に入っていく。
森に入ってくれれば、僕らも隠れやすい。魔物でも出てくれば隠れるのも難しくなるけれど、そんな気配もなく、鳥や獣の声が聞こえてきて、のどかだ。
森の中を行っても行っても、魔物は出てこない。
少し前にこの辺りで僕らが魔物退治したばかりだからな……
よかった……ちゃんと魔物の数、抑えられていたんだ。
けれど、何もない森を歩くのは少し退屈なのか、ルイトシオレトさんが、あくびをしながら言った。
「退屈だな…………魔物くらいでろよ……」
「出たら困ります……ちゃんと退治してるはずなのに……」
そう僕が答えても、ルイトシオレトさんは眠そう。
「なんでいないんだ? ここで魔物が増えてるから森に入ることも制限されてるんじゃなかったのか……?」
「……それは僕にも分かりません……」
「これじゃ、今日は収穫なしだな……なあ、この森、魔物いないのか?」
「……いないわけではありません。魔物に会いたいんですか?」
「会いたくはない。でも、魔物退治して素材くらい回収しておかないと、今日はもうギルドに戻っても今からじゃ整備の依頼引き受けられそうにないし、今日の収入がゼロになるだろーが」
「今からだと、整備の依頼って受けられないんですか?」
「受けられなくはないが、今から帰ってギルドに行っても、冒険者たちがギルドに帰る時間を過ぎる。そうなると、他に俺みたいなことしてる奴に整備の仕事取られちゃうんだよ。冒険者たちはみんな明日も仕事に行く奴がほとんどだ。魔法の道具や武器の整備や強化は今日中に済ませたいから、できるだけ早く頼みたいんだよ。参ったな……」
「だ、だったら……あのっ……僕らの武器と道具、整備してくれませんか!?」
「お前らの?」
「は、はい!! あのっ……僕ら、そう言う人を探していたんです!」
「本当か!? そうだな………………これがうまくいったらやってやる! 特別料金でな!」
「あ、ありがとうございます!!」
よかった……
ホッとしていると、ヴァトズフィウズ様が言う。
「だったらついでに魔物退治も行くぞ! そこに行けば、素材もたくさん手に入るはずだ!!」
「え……で、でも…………」
戸惑う僕だけど、ルイトシオレトさんは嬉しそう。
「素材か!? いいな!! だったらこれが終わったら、そっちに行くぞ! 素材は山分けだ!!」
そうルイトシオレトさんは嬉しそうに言うけど……
「ま、待ってください! でも、危ないですよ?」
僕が言うと、ヴァトズフィウズ様が僕の肩を抱いて行った。
「部隊の俺たちが守ってやろう! 素材があれば、魔法の道具の強化もできる! 俺たちにとっても都合がいいじゃないか!」
「…………でも、あの魔物は凶暴だし……」
「大丈夫だ! 部隊の俺たちがっ! ついてるからな!」
……なんだか「部隊の」って、すごく強調してるけど……
ヴァトズフィウズ様、どうしたんだろう?
もしかして、街から来たルイトシオレトさんのために張り切ってるのかな……
これから魔法の道具の整備もしてもらうんだし、お礼は用意しないとな!
ヴァトズフィウズ様は、僕を引き寄せて言う。
「その方が、言い付けられた魔物退治だって終わる! そうすれば、早くあの砦を出られるだろう?」
「そ、そうですね……」
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