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38.どういうつもりだ!
しおりを挟む話していたら、警備隊たちが歩いていた方から大きな声がした。
「お前らっ……!! どういうつもりだ!! ここは俺たちの管轄だぞ!!」
見つかったのかと思った。結構大声で話していたから。
だけど、怒鳴りつける声は、警備隊の声じゃない。
警備隊の二人は僕らの方には気づいていないようだ。代わりに、その二人の前に多くの魔法使いたちが立ち塞がっている。みんな、砦の魔法使いたちだ。それも、グレヴロオル様の部隊の魔法使い。
グレヴロオル様自身は森に出ることはまずないけど、グレヴロオル様の代理を務める魔法使いが、グレヴロオル様の言う通りに魔物退治をこなしている。グレヴロオル様の私兵みたいな奴らだ。彼らが、警備隊の二人を怒鳴りつけているようだ。
「ここには入るなと言ったはずだ!! 森への立ち入りは制限させてもらうと伝えているはずだぞ!」
こうなると分が悪いのは警備隊の方。この辺りは砦の管轄で、ここへ来ると、僕が今朝怒鳴られた街とは立場が逆転してしまう。
けれど、ここに入るために許可がいるなんて聞いたことがないし、まして、立ち入りに制限なんてなかったはず。だって魔物の数はちゃんと減らすことができていて、危険だって少ない。それは僕たち砦の魔法使いが一番わかっているはずなのに。
それなのに、砦の魔法使いの一人が警備隊の二人を怒鳴りつける。
「勝手に森に入ってきて、なんの真似だ! ここへ入る時は許可を取れと言ったはずだ!」
「許可だと!? そんなことを言い出す前に貴様らはここの魔物を退治しろ!」
怒鳴り返したのは警備隊の隊長。彼は相当腹を立てているようで、声を荒らげて言った。
「お陰でこっちは迷惑しているんだ!! そっちから要請があったように、近くの街道の通行に制限をかけているが、いつになったら魔物は退治されるんだ!? 街の連中も、このままでは不便だと苦情を言ってきている!! 貴様らには再三、早く魔物を片付けろと言ってきたのに、いつまで経っても魔物が退治されたと言う報告は来ない! 一体、いつになったら魔物は退治されるんだ!? 貴様らがやらないなら、俺たちが魔物を倒せばいいと考えただけだ!!」
「ふざけるな!! 魔物退治の邪魔だ!! 許可もなく勝手に入ってきて……貴様ら、砦まで来てグレヴロオル様に説明してもらうからな!!」
まずいっ……グレヴロオル様のところに連れて行かれると、グレヴロオル様に一方的に有利な話が、砦に人を派遣している周辺の貴族にまで伝わってしまう。
そうなったら、警備隊が圧倒的に不利だ。
領主様からもお叱りを受けるだろうし、砦に連れて行かれて先に周辺貴族を味方につけられたら、警備隊は平謝りになるしかない。
警備隊は、街のことを思ってここまで来ただけなのに……
僕は、ヴァトズフィウズ様に振り向いた。
「あ、あのっ…………こ、ここをお願いします!」
「なに?」
「このままだと、警備隊が一方的に悪役にされてしまいます! そうなったら、森で何があったのかも分からないまま、立ち入りも制限されたままになる可能性が高いです! 僕が時間を稼ぎます。その間にヴァトズフィウズ様は警備隊を連れて街に戻ってください!」
僕はヴァトズフィウズ様が止めるのを振り払い、砦の魔法使いたちの方に飛び出して行った。
「あ、あのっ……やめてください!!! 許可なら僕が出しました!!
「お前っ……!!」
砦の魔法使いたちの顔色が変わる。突然、砦を出ていくべき僕が現れたんだから、それも無理ないだろう。
だけど、こんなことしてるから、目の敵にされちゃうんだ。僕らはちゃんと魔物を倒してきたし、実際、さっきから魔物の数は少ないじゃないか。それなのに、なんで森に入るな、なんて言うんだ。
「彼らがここに入る許可なら、僕が出しました! あ、あのっ……魔物退治を手伝ってもらっていたんです!」
言いながら、警備隊たちの方にちらっと振り向く。許可なんて口から出まかせで、この場を乗り切るための嘘だけど、このまま警備隊が一方的に責められるよりマシなはず。話を合わせてほしい、そう思いながら目配せして、僕は、砦の魔法使いたちに振り向いた。
「だ、大体っ……ここに立ち入る時に許可がいるなんて、聞いたことがないです!! ここは街に近いし、特に念入りに管理されてるはずなのに……なんで立ち入りに許可なんているんですか? そんなことをするなら、きちんと彼らに説明をするべきです!」
「黙れーーーーっっ!! 貴様、グレヴロオル様の決定に逆らうのか!??」
「け、決定って……か、勝手にそんなことを決められても、困ります! そもそもそんな話、他の砦の魔法使いたちだって知らないと思うのですが……」
「黙れと言っているだろうっっっっ!!!!」
恐ろしい声で怒鳴られて、耳が痛くなりそう。そんなに怒鳴らなくてもいいのに……
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