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41.なんのことだ?
しおりを挟むそんな話をしていると、ヴァトズフィウズ様のところに、使い魔が降りてくる。そして、何かを告げているようだったが、ヴァトズフィウズ様は全く聞いていないような顔をして、僕に向き直る。
「行くぞ! 魔物退治だ!! まずは、向こうの町の周辺あたりはどうだ?」
「……ヴァトズフィウズ様…………あの、その前に…………さっきの使い魔、フォルゲソスたちのことを伝えにきましたよね? 谷の方であいつらが襲われているって」
「なんのことだ?」
とぼけている……
僕だって無視したいけど、使い魔が写した映像が見えてしまったんだ。
あいつらにはあまり会いたくないけど、そんなわけにもいかない。それに、フォルゲソスたちを襲っていたのは、僕が討伐するように命じられた魔物だ。
「僕、行ってきます」
「待て待て……仕方ない! 俺も行こう!」
「……できれば、僕一人でいきたいんですけど……」
「なぜだ? 俺たちはパーティだろう?」
「パーティじゃないです」
僕だって、本当はヴァトズフィウズ様と行きたい。だけど、ヴァトズフィウズ様、怖い顔をしているから……一緒に行くのは少し心配。
こんな顔をしてるヴァトズフィウズ様と一緒に行って、ヴァトズフィウズ様の方があいつらを殺しちゃいそうだ。
けれど、ヴァトズフィウズ様は行くと言って聞かないし、ルイトシオレトさんまで「俺も行くっ」と言い出した。
「俺も行くぞ!! 仲間だからな!」
すると、警備隊の面々まで、俺たちも行く! と言い出した。
みんなで行くしかなさそうだな……
*
僕たちは森を進んで、フォルゲソスが襲われているのであろう辺りに急いだ。
森の奥をさらに東に行った方にある谷には、あまり木々はなくて、荒れた土地が続いている。この辺りにはあまり人が来ない。
荒地の谷に降りた僕らは、すぐに谷底にいる魔物を見つけることができた。それは、骨を組み合わせてできた塊のような姿をしていて、ひどく不気味だ。
近くにフォルゲソスたちの姿はない。
他にも逃げ遅れた人がいるかもしれないからと言って、警備隊の二人が周辺の様子を確認しに行ってくれた。
崖の上から眺めているだけでも、相手の魔物はかなり強力なものだと分かる。あれの隙をついてフォルゲソスたちを助けるのはだいぶ骨が折れそう。
ルイトシオレトさんが、暴れる魔物を見下ろして言った。
「な、なんだよっ……あの魔物っ……すごい力だっ…………!」
「あ、危ないので、下がっていてください」
「言われなくても下がる。俺、戦うのは苦手なんだ。だが、魔法の道具なら貸してやれる! これがあれば魔法を強化できるぞ!!」
そう言って、彼は小さな宝石のような魔法の道具を取り出す。彼がそれを僕の杖に近づけると、すぐに鎖のようになって僕の杖にまとわりついて、激しい魔力を持つようになった。
「すごい……」
僕がその魔力に関心していると、ルイトシオレトさんは胸を張って言った。
「これで破裂の魔法一つで、この辺り一帯を吹っ飛ばせるぞ!!」
「それは困ります!! 魔物だけ破壊するようにしないとっ……! フォルゲソスたち以外にも人がいるかもしれません」
話していると、周辺を見て回ってくれていた警備隊の隊長が部下の人と一緒に戻ってくる。
「周囲にいた奴らなら、警備隊が保護した!」
「フォルゲソスたちですか?」
「いいや。最近、砦にきた魔法使いらしい。貴族のご子息で、魔法は苦手なようだ……そんな奴もいるのか?」
「……貴族のご子息が素材を集めたり、魔法の研究のために砦に来ることは、よくあるんです……」
「……だったらこんなところには入らないようにしてもらわないと困るな。俺たちがいたからいいが、あのままでは追って来た魔物に殺されていたかもしれない。俺の方から、正式に抗議しておく」
「え!?? い、いいんですか!??」
「もちろんだ。そんなものがいては、俺たちも困るからな」
「あ、ありがとうございます……グレヴロオル様はそういうの、あまり聞いてくれないので……」
よかった……こういうことが続くと、魔物退治の効率が下がるから、困っていたんだ。
「では、保護した人たちを頼みます」
「魔物はどうする?」
「僕に任せてください! 魔物退治は僕に言い付けられた仕事でもあるんです!」
「お前にできるのか?」
「僕だって、砦の魔法使いですから!」
僕は、前に出た。すると、隣に並んだヴァトズフィウズ様が言う。
「使い魔がフォルゲソスたちを見つけたようだ。俺が保護に行く」
「え!? い、いえっ……それなら僕が行きます!」
「リュイウェリレクが攻撃の魔法で魔物を退治して、俺が消去の魔法で、攻撃の魔法から森と逃げ遅れた連中を守る。それが一番効率的だと思わないか?」
「でも…………」
ヴァトズフィウズ様、ずっと怖い顔しているし、どう考えても恐ろしいことになるような気がする。
「あの……やっぱり僕一人で行きます……」
「何を言っているんだ。谷に残されている連中を守ればいいのだろう? 俺に任せておけ!」
言われて僕はますます不安になった。
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