性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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42.もっと二人で

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 話し合いの末、やっぱり僕では逃げ遅れた人を守れそうにないので、そっちはヴァトズフィウズ様に頼むことにした。

 谷底で暴れる魔物が撒き散らす魔力の弾を、魔法で飛んで避けながら、僕は魔物に近づいて行く。

 途中で僕の周りに結界が張られて、僕のことを守ってくれた。その結界に阻まれて、僕に向かって飛んできていた魔力の弾が弾け飛ぶ。

 振り向けば、ヴァトズフィウズ様が背後から魔法で飛んで、僕を追いかけて来ていた。

「ありがとうございますっ!!」

 お礼を言うと、彼は嬉しそうに微笑む。

「俺も行く」
「いいえ! 僕に行かせてください!!」
「だったら、後ろは俺に任せろ」
「は、はい! あ、あの……フォルゲソスたちは……」
「保護して警備隊に預けた。心配するな!」

 ……なんだかヴァトズフィウズ様がニコニコしていると、少し不安になってくる。フォルゲソスたちには随分腹を立てているみたいだし……

 だけど、まずは魔物退治が先だ!!

 僕は、魔物を追って谷の方に飛んでいった。

 ヴァトズフィウズ様が、僕に強化の魔法をかけてくれる。

 体から魔力が溢れてくる。やっぱり、すごい……この強化の魔法。

 僕は、杖を構えた。僕に飛んできた魔物の攻撃は、ヴァトズフィウズ様の結界に阻まれて、全部消えていく。これがなかったら、ここまで来るのにだいぶ苦労していたかもしれない。

 僕は、魔物のそばまで降りると、それに向かって杖を掲げた。溢れた魔力は激しく破裂して、辺りにあるものを破壊していく。

 森や周りにいる人のことはヴァトズフィウズ様が守ってくれるから、僕は魔法を弾けさせるだけで済む。
 破裂に巻き込まれた魔物は、バラバラになって落ちていった。

「やった……」

 予定よりずっと早く討伐できたな……

 警備隊の二人やヴァトズフィウズ様たちが助けてくれたお陰だ!!

 これなら、予定の魔物退治もすぐに終わるかもしれない!!

 ヴァトズフィウズ様も僕の隣に降りてくる。

「相変わらず、すごい威力だな。その魔法は」
「はい!! ちょっとスッキリしました!!」

 ヴァトズフィウズ様は周りの様子を確認すると、僕に振り向いた。

「もうここに魔物は現れそうにないな。使い魔で上空も見て回ったが、魔物はいないようだ」
「あ、ありがとうございます! 素材を回収してから、もう少し周りを見て回っておきたいのですが……」
「分かっている。警備隊たちには連絡しておいたから、夜まで少しこの辺りを歩こう」
「はい!! 素材を回収すれば、今日の魔物退治は終わりですっ……!!」

 ヴァトズフィウズ様の顔を見ていたら、だんだん実感が湧いて来た。こんなに早く、この魔物も退治できるなんて思わなかったからすごく嬉しい。

 すると、突然頭に触れられた。

「え…………あ、あの……」
「よくやったな!! 俺たちは相性がいい! 部隊になるべきだとは思わないか!?」
「……部隊ではないです…………」

 嬉しいのに、そう答えると、ヴァトズフィウズ様には、本当に頑なだなー、と言われてしまう。

 部隊か……

 ヴァトズフィウズ様といると魔物退治もやりやすいし、何より……もっと二人で戦ってみたいと思ってしまう。

 あれだけ部隊じゃない! って言っておきながら……

 だけど、こっそり見上げたら、ヴァトズフィウズ様は僕を見下ろして微笑んでくれて、なんだかそれが嬉しい。

 魔物退治の後で、僕にこうして「よくやった」なんて声をかけてくれる人、今までいなかった。自分のしたことを認めてもらえるなんて、僕には初めてのことだ。

 ……ヴァトズフィウズ様と一緒にいるのが、気持ちいいんだよな…………

 部隊になれたら……嬉しいけど、僕は、そんなふうに誘ってもらえるほど、大した魔法使いじゃない。ヴァトズフィウズ様の方が、よっぽど……

 そんな風に、また、そばにいたいような気持ちと、なぜかそこから離れたくなる思いが微かにぶつかって、僕は動けなくなってしまった。

「リュイウェリレク? どうした?」
「……な、なんでもないです……」
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