性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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58.僕の方が

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 まだ混乱したまま、僕の方がお礼を言うと、ヴァトズフィウズ様は、どこか誇らしげだ。

「もっと胸を張っていい。あれだけの魔物を、ほとんど一人で退治したんだ。素材も……短期間で、あんなに集めたんだぞ」
「そんなっ……! それはヴァトズフィウズ様が手伝ってくれたからっ…………!!」
「俺はただ、リュイウェリレクの魔物退治の魔法が、魔物以外に被害を出さないように守っていただけだ」
「ヴァトズフィウズ様がそうしてくれていなかったら、僕はあんなに自由に魔法を使えませんでした! ヴァトズフィウズ様のおかげです……」

 僕が言うと、彼は微笑んで、僕が渡した素材を僕に渡してくる。

「これは全部、旅費にしろ」
「へ!!?? そ、そんなっ……できません!! だってこれは、僕が砦を出るための条件でっ…………だから、どうかお納めください!」
「んーー? すでに新しい管理者になった俺は、そんな条件を出した覚えはないな」
「そんな…………」
「それに、あれだけの魔物退治を終えたんだ。それだけで、十分褒美を出すに値するぞ!」
「…………」
「そうだろう? グレヴロオル」

 ヴァトズフィウズ様に振り向いて尋ねられて、グレヴロオル様は顔を背けていた。

 ヴァトズフィウズ様はそう言ってくれるけど、僕は……

「でも……ヴァトズフィウズ様…………僕は……やっぱり、素材は受け取れません。あれだけお世話になったのに……」
「リュイウェリレクは分かっていないな。俺たちが何も受け取っていないと思っているのか?」
「え……?」
「言っただろう。俺は、リュイウェリレクの魔法に興味があると。ずっと魔物退治に同行して、あの魔法を拝めたんだ。それだけで、金を払うべきほどの収穫だ」
「そ、そんなことで、お世話になったことのお礼にはなりません!!」
「…………一撃で魔物を破壊しておきながら、何を言っているのか……俺にはそっちの方が不思議だな」
「……」
「そばにいて、リュイウェリレクの魔力の使い方も学べたしな! これからの魔法の研究の役に立てそうだ!」
「…………」

 本当に、そんなことでいいのか?

 僕が戸惑っている間にも、まだ納得していない様子のグレヴロオル様が、ヴァトズフィウズ様の従者の方に連れられて、部屋を追い出されていく。

 部屋に二人きりになってからも、僕は頭の中を整理するだけで精一杯だった。急にいろんなことが起こって、訳が分からなくなっているんだ。

 すると、ヴァトズフィウズ様は僕に振り向いて言った。

「そういうことだ!! リュイウェリレク、俺の部隊に入らないか?」
「…………ヴァトズフィウズ様……」
「安心しろ! 部隊に入ったからと言って、ここから出て好きなところに行くことも、もちろん止めないぞ! 俺も行くからな!!」
「え…………? だって、そんなの……無理ですよね? 砦はどうするんですか?」
「オフィトインに任せる。すでに、彼にもそう話した。俺はリュイウェリレクと行きたい!」
「そんな無茶な……せっかく砦を手に入れたのにっ……もう離れていいんですか?」
「もちろんだ! もっと欲しいものができたからな!」
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