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19.絶対にダメです!
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彼女が連れて来てくれたのは、庭の端にある倉庫のそば。そこには、収穫されたばかりらしいいくつもの魔法の力を持った植物が詰まったカゴが並んでいる。どれも泥だらけで、少し痛み始めているものも多いようだ。
「こ……これは…………」
そばにある植物を拾い上げる。
収穫してから時間が経っているみたい。早く洗って、魔力のこもった倉庫で保管しないと、全部ダメになってしまう。
「すぐに始めましょう!!」
「へ??」
驚いている彼女に、全部説明したいけど、まずはこれを守ることが先!!
カゴを持ち上げて、大きな水道の蛇口が並んだところまで走る。そこがこの植物を洗うために設けられた場所みたい。周りに魔法の道具が設置されて、収穫したものが痛みにくいようになっているようだ。それのおかげで、収穫したものも魔法の力を失わずに済んだみたい。
早速カゴの中のものを洗い出した私に、彼女も駆け寄ってきた。
「やったことがあるのですか?」
「はい!! もちろんです!!」
「で、では、あそこにあるものを、城に運べるように整理して欲しいんです。普段は私たちがするのですが、今日は、お客様がいらっしゃる日で、その準備で忙しくて、ここに来れる人がほとんどいないんです」
「分かりました!!」
言って、彼女の持っていたカゴも受け取る。
「お任せください! ここにあるものを城に運べるように処理すればいいのですね?」
「はい……泥を落として、魔法の素材を保管する部屋があるので、そこまでお願いします」
「はい!!」
返事をする私に、彼女は戸惑ったような顔をする。
けれど、早く始めた方がいい!
私は早速、手近にあった魔法の力を持った花を幾つもカゴに入れて、水で洗い始めた。
*
泥だらけだったものを水で洗って、綺麗にする。それから質や大きさによって分けて、運ぶのには使い魔を使うことにした。こっちの方が早い。
頼まれたものはかなりの量だったけど、魔法も使いながら、なんとか終わらせることができた。
「綺麗になりました!!」
私はそこにあったものを抱き上げる。それは、いくつもの植物の茎で、抱き上げたら私の身長より大きなもの。持ち上げたら、結構重い。
それを、私が作った使い魔の背中に乗せる。大きな鳥の姿をした使い魔は、私が少ない魔力で動かせるようにしたもの。これで後は、収穫したものを保管する部屋に向かうだけ!
彼女は、私の洗ったものをカゴに入れて、初めてほんの少し顔を綻ばせた。
「……あ……ありがとうございます……助かりました……フィレイルイラル様」
「私のことは、フィレイルイラルで結構です! 少し聞きたいことがあるのですが……」
「…………答えられることなら答えます。けれど、ご令嬢に対して、そんな無礼なことはできません……」
「…………もう誰も、私のことなんて貴族と考えていません。元婚約者にとっても、私はただの奴隷でしたし……ヴィラウレルト様たちも、私は道具が動かなくなった時に使うもの、くらいにしか考えていません。あなたくらいです。そんなことをおっしゃるのは」
「…………私でなくても、使用人は言います」
「けれどあなたも、貴族のご令嬢では?」
「……お気づきでしたか……私は、貧乏な男爵家の娘です。ですから、そんな風に呼んでいただくようなものでは……」
「いいえ!! こうして私に沢山のことを教えてくださったのです! 敬意を払うのは当然です!」
「…………おかしな方です。あなたは」
「え!!??」
何か変だった!?
びっくりして身をひいたら足元の泥に滑って転んでしまいそうになる。
確かに、着ているものはボロボロで泥だらけ……
彼女は私のことを知っているようだし、これで噂の令嬢だと言っているのだから、驚かせてしまったのかも。
けれど、彼女は微笑んで言う。
「それなら、私だってあなたに敬意を表したいです。あなたがいなければ、決して終わらなかったでしょうから」
「…………」
ここの方は皆さん、私にも感謝してくれるんだ……そんなの、ほとんどされたことがないから……嬉しい……
私の方が顔が綻んでしまっていると、彼女は顔をあげて言った。
「……助かりました。私は、キュファリウェスと申します。ここでは、使用人たちをまとめる仕事をしています。それで……先ほど、何か言いかけませんでしたか?」
「あ、はい!! あの……ここは普段、魔法の道具を運ぶときは、どうしているのですか? 今は私が使い魔で運んでいますが、普段は別の魔法使いの方が運んでいるんですか?」
「……はい……使用人の中にも魔法が使えるものがいますから…………けれど先日、城壁から落ちた魔法の道具を取りに行く際、魔物が現れて……そのときは、城の魔法使いの部隊の方が助けてくださったのですが、その時に彼も負傷してしまったのです。回復の魔法が効いて、そろそろ復帰できるようなのですが……今はまだ、安静にしてもらっています。けれど、まだ他にもここと同じように素材が積んである場所があって……」
「他にもあるんですか!?」
だったら早くそっちにも行った方がいいけど……私たち二人では、全て処理することは難しそう。
「…………でしたら、魔法使いの部隊の方に手伝っていただいてはどうでしょう?」
「部隊の?」
「はい。普段、城を守ってくださっている魔法使いの方々です。いらっしゃいますよね?」
「いますけど、そんなことはできません! 魔法使いの部隊の方は忙しいのです!」
「そんなの、こちらだって忙しいです! それに、ここにあるものの中には、魔法の薬や魔法の道具に使う重要なものもありますよね!? 部隊を集めてでも、すぐに運ぶべきです!」
「……でも…………」
「そうだ!! ヴィラウレルト様たちに頼んでみませんか!??」
「はああああ!? 冗談じゃありません!! 絶対にダメです!!」
「こ……これは…………」
そばにある植物を拾い上げる。
収穫してから時間が経っているみたい。早く洗って、魔力のこもった倉庫で保管しないと、全部ダメになってしまう。
「すぐに始めましょう!!」
「へ??」
驚いている彼女に、全部説明したいけど、まずはこれを守ることが先!!
カゴを持ち上げて、大きな水道の蛇口が並んだところまで走る。そこがこの植物を洗うために設けられた場所みたい。周りに魔法の道具が設置されて、収穫したものが痛みにくいようになっているようだ。それのおかげで、収穫したものも魔法の力を失わずに済んだみたい。
早速カゴの中のものを洗い出した私に、彼女も駆け寄ってきた。
「やったことがあるのですか?」
「はい!! もちろんです!!」
「で、では、あそこにあるものを、城に運べるように整理して欲しいんです。普段は私たちがするのですが、今日は、お客様がいらっしゃる日で、その準備で忙しくて、ここに来れる人がほとんどいないんです」
「分かりました!!」
言って、彼女の持っていたカゴも受け取る。
「お任せください! ここにあるものを城に運べるように処理すればいいのですね?」
「はい……泥を落として、魔法の素材を保管する部屋があるので、そこまでお願いします」
「はい!!」
返事をする私に、彼女は戸惑ったような顔をする。
けれど、早く始めた方がいい!
私は早速、手近にあった魔法の力を持った花を幾つもカゴに入れて、水で洗い始めた。
*
泥だらけだったものを水で洗って、綺麗にする。それから質や大きさによって分けて、運ぶのには使い魔を使うことにした。こっちの方が早い。
頼まれたものはかなりの量だったけど、魔法も使いながら、なんとか終わらせることができた。
「綺麗になりました!!」
私はそこにあったものを抱き上げる。それは、いくつもの植物の茎で、抱き上げたら私の身長より大きなもの。持ち上げたら、結構重い。
それを、私が作った使い魔の背中に乗せる。大きな鳥の姿をした使い魔は、私が少ない魔力で動かせるようにしたもの。これで後は、収穫したものを保管する部屋に向かうだけ!
彼女は、私の洗ったものをカゴに入れて、初めてほんの少し顔を綻ばせた。
「……あ……ありがとうございます……助かりました……フィレイルイラル様」
「私のことは、フィレイルイラルで結構です! 少し聞きたいことがあるのですが……」
「…………答えられることなら答えます。けれど、ご令嬢に対して、そんな無礼なことはできません……」
「…………もう誰も、私のことなんて貴族と考えていません。元婚約者にとっても、私はただの奴隷でしたし……ヴィラウレルト様たちも、私は道具が動かなくなった時に使うもの、くらいにしか考えていません。あなたくらいです。そんなことをおっしゃるのは」
「…………私でなくても、使用人は言います」
「けれどあなたも、貴族のご令嬢では?」
「……お気づきでしたか……私は、貧乏な男爵家の娘です。ですから、そんな風に呼んでいただくようなものでは……」
「いいえ!! こうして私に沢山のことを教えてくださったのです! 敬意を払うのは当然です!」
「…………おかしな方です。あなたは」
「え!!??」
何か変だった!?
びっくりして身をひいたら足元の泥に滑って転んでしまいそうになる。
確かに、着ているものはボロボロで泥だらけ……
彼女は私のことを知っているようだし、これで噂の令嬢だと言っているのだから、驚かせてしまったのかも。
けれど、彼女は微笑んで言う。
「それなら、私だってあなたに敬意を表したいです。あなたがいなければ、決して終わらなかったでしょうから」
「…………」
ここの方は皆さん、私にも感謝してくれるんだ……そんなの、ほとんどされたことがないから……嬉しい……
私の方が顔が綻んでしまっていると、彼女は顔をあげて言った。
「……助かりました。私は、キュファリウェスと申します。ここでは、使用人たちをまとめる仕事をしています。それで……先ほど、何か言いかけませんでしたか?」
「あ、はい!! あの……ここは普段、魔法の道具を運ぶときは、どうしているのですか? 今は私が使い魔で運んでいますが、普段は別の魔法使いの方が運んでいるんですか?」
「……はい……使用人の中にも魔法が使えるものがいますから…………けれど先日、城壁から落ちた魔法の道具を取りに行く際、魔物が現れて……そのときは、城の魔法使いの部隊の方が助けてくださったのですが、その時に彼も負傷してしまったのです。回復の魔法が効いて、そろそろ復帰できるようなのですが……今はまだ、安静にしてもらっています。けれど、まだ他にもここと同じように素材が積んである場所があって……」
「他にもあるんですか!?」
だったら早くそっちにも行った方がいいけど……私たち二人では、全て処理することは難しそう。
「…………でしたら、魔法使いの部隊の方に手伝っていただいてはどうでしょう?」
「部隊の?」
「はい。普段、城を守ってくださっている魔法使いの方々です。いらっしゃいますよね?」
「いますけど、そんなことはできません! 魔法使いの部隊の方は忙しいのです!」
「そんなの、こちらだって忙しいです! それに、ここにあるものの中には、魔法の薬や魔法の道具に使う重要なものもありますよね!? 部隊を集めてでも、すぐに運ぶべきです!」
「……でも…………」
「そうだ!! ヴィラウレルト様たちに頼んでみませんか!??」
「はああああ!? 冗談じゃありません!! 絶対にダメです!!」
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