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31.どうせなら
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テクフィノレク様の仲間が傷つけられたことは、私だって腹が立つ。それに、私だってずっとあの二人には腹を立てていたんだ。
けれど、テクフィノレク様はこんな時でもどこかで冷静。彼はじーーっと、恐ろしい顔で私を見下ろしていた。
「……領主様の意向に背くようなことを、私ができるはずがない…………あなたとは違うんです……」
「……テクフィノレク様……?」
「けれど、あなたでうさを晴らしていいようなので、それはありがたい話です……」
「へ!?? え……いえ! それは……」
「では、遠慮なく」
言った彼は、また魔法で武器を呼び出した。先ほどの魔法の杖じゃない。今度は驚くほど大きな斧を握っている。刃の部分だけで、私の身長を遥かに越すくらいの大きさだ。
そして、そんな斧の凶悪さがあっさり隠れてしまいそうなほど、テクフィノレク様は恐ろしい顔をしている。
「あ、あのっ……テクフィノレク様!?」
「黙れ」
彼が放った魔法の光は、訓練場全体を包み、そこの土を弾けさせる。さっきよりずっと恐ろしい威力だ。なんとか魔法で自分を守ったけど、爆風は魔法がかかった私の体をあっさり吹き飛ばす。
「きゃあああああっっ!!!!」
あいつっ…………!! 本気で撃った!!
魔力が違いすぎる。こんな方が本気で殺しにきたら、私なんてすぐに殺される。
というか、大事な領主様の城で、本気で魔法なんて撃つ!? 訓練場が木っ端微塵になっても知らないから!
吹き飛ぶ自分の体はなんとか魔力で受け止めたけど、バランスを崩した体では着地なんて出来なくて、地面に倒れてしまう。
「いたっ…………」
ぐちゃぐちゃになった訓練場に倒れる私に、テクフィノレク様は、大きな斧を下げて近づいてきた。
あんなの振り下ろされたら、私なんて潰れてしまう。
私は慌てて立ち上がって逃げ出した。
すかさず彼も私を追ってくる。
「命知らずにもあれだけの大口を叩いておいて、ずいぶん情けないですね!」
「もっ、申し上げていませんでしたか? 私、ろくに魔物と戦うこともできないんです! 魔力も大してないので!」
「…………誇らしげに言うことですか? 無力なままで、あっさり私に殺されたいのですか?」
「まさかっ……まっったく力のない私にも、できることがあるんです!」
「はあ!?? ふざけてるのか! この馬鹿っっ!!」
怒鳴る彼から魔法の弾が飛んでくる。
残念ですが、怒りに任せた攻撃なら、避けることくらいできます!
私は、魔力で空に飛び上がって逃げた。
「このっ……! 待ちなさい!!」
「嫌です!! 無力でバカでも、逃げることはできますっっ!! 私、捕まりませんっっ!!」
「…………そうですか……私は、逃亡する者を捕らえるのが得意なんです!!」
怒鳴る彼から魔法の弾が飛んでくる。城の屋根まで飛んで逃げると、急に、足に力が入らない。
あれ?? 思ったより、魔力の消費、激しい?? 彼の攻撃を魔力で受け止め続けたからだ。
立てない私と追ってきたテクフィノレク様の間に、ロズルラト様が入ってくる。彼は人の姿をしていて、その尻尾が、微かに私の頬を掠めた。
そして彼は、握った剣でテクフィノレク様の斧を受け止めていた。
「やめとけ」
「まだ邪魔をするか……バカ虎……」
「今はお前の方がバカだろ。城ぶっ壊したら、領主様になんて言うんだ?」
「…………」
それを聞いたら、テクフィノレク様は無言で離れてくれた。
「まさか、こんなに無力だったなんてっ…………! ロズルラトを懐柔したのなら、もう少しマシかと思ったのに!!」
「か、懐柔って…………彼は、私のことを心配してくださっただけです。それに、無力であることは、あなたには最初から分かっていたでしょう? けれど、喧嘩がしたいなら、相手になりますよ!」
「黙れこの馬鹿っっっっ!!!!」
思いっきり怒鳴られて、耳が痛くなりそう……本当に、怒鳴り声の大きな方だ。
「私をそこにいるその馬鹿な虎と一緒にしないでいただけますか」
「おい!! 誰が馬鹿な虎だ!!」
そう言ってロズルラト様は怒りの声をあげるけど、テクフィノレク様は取り合わない。
今度は私が、テクフィノレク様に尋ねた。
「私だって、喧嘩がしたいわけではありません。テクフィノレク様! 部隊の方が、ロクデラッド様に見捨てられて怪我をしたと言うのは本当ですか?」
「……そんなこと、あなたには関係ありません」
「あります! だって私は! その時失われた道具の代わりでしょう?」
「…………」
「先ほどの魔法の道具…………結界で部隊の方を守るためのもののはずです。けれど、あなたにはお気に召さなかったご様子。私もです!」
「……は?」
「だって、どうせならもう二度と部隊の方がそんな目に遭わなくていいような物が欲しいではありませんか! お渡ししたものに関して、不満があるなら聞きます! もう二度とそんなことがないように強化してみませんか!?」
「……強化? できもしないことを…………」
「できます! 私にも、武器の強化は少しならできます! それに、あなたはあれだけ攻撃の魔法が使えるんです! だったら、あなたが私とあなたがいれば、きっともっと素晴らしい強化もできます! 一緒にやってみませんか!?」
「…………」
「では、今日の仕事が終わったら、またここに集合しましょう!」
「………………………」
彼は、ずっと黙ったままだった。
えーーーーっと…………これは、了承していただけたと受け取っていいのかな??
なんていうか……全く表情の読めない顔をしているけど…………
そして彼は、私を見下ろし、一言いう。
「死ね」
「へ!?? きゃあああああ!!」
振り下ろされた斧を飛び跳ねて避ける。けれどその刃から完全に逃げるなんて、出来るはずがない。刃は、微かに私の髪に触れてしまい、切れた髪が風に吹かれていった。
な、なんて切れ味…………そしてそれをなんの迷いもなく、私に向けるなんて……これはもう、殺すことしか考えてない!!
「やはり、あなたは……」
「て、テクフィノレク様……お、落ち着いて……」
なんて言っても、今のテクフィノレク様が聞いてくれるはずがない。彼は斧を振りかぶり、私に振り下ろしてきた。
「ここで殺しておくべきだ」
「なんでそうなるんですか!!??」
慌てて逃げる私。魔力を回復してもらっておいて、本当によかったーー!!
ロズルラト様が「やめろよ!」と言って止めてくださるけど、しばらく彼の勢いは止まりそうになかった。
けれど、テクフィノレク様はこんな時でもどこかで冷静。彼はじーーっと、恐ろしい顔で私を見下ろしていた。
「……領主様の意向に背くようなことを、私ができるはずがない…………あなたとは違うんです……」
「……テクフィノレク様……?」
「けれど、あなたでうさを晴らしていいようなので、それはありがたい話です……」
「へ!?? え……いえ! それは……」
「では、遠慮なく」
言った彼は、また魔法で武器を呼び出した。先ほどの魔法の杖じゃない。今度は驚くほど大きな斧を握っている。刃の部分だけで、私の身長を遥かに越すくらいの大きさだ。
そして、そんな斧の凶悪さがあっさり隠れてしまいそうなほど、テクフィノレク様は恐ろしい顔をしている。
「あ、あのっ……テクフィノレク様!?」
「黙れ」
彼が放った魔法の光は、訓練場全体を包み、そこの土を弾けさせる。さっきよりずっと恐ろしい威力だ。なんとか魔法で自分を守ったけど、爆風は魔法がかかった私の体をあっさり吹き飛ばす。
「きゃあああああっっ!!!!」
あいつっ…………!! 本気で撃った!!
魔力が違いすぎる。こんな方が本気で殺しにきたら、私なんてすぐに殺される。
というか、大事な領主様の城で、本気で魔法なんて撃つ!? 訓練場が木っ端微塵になっても知らないから!
吹き飛ぶ自分の体はなんとか魔力で受け止めたけど、バランスを崩した体では着地なんて出来なくて、地面に倒れてしまう。
「いたっ…………」
ぐちゃぐちゃになった訓練場に倒れる私に、テクフィノレク様は、大きな斧を下げて近づいてきた。
あんなの振り下ろされたら、私なんて潰れてしまう。
私は慌てて立ち上がって逃げ出した。
すかさず彼も私を追ってくる。
「命知らずにもあれだけの大口を叩いておいて、ずいぶん情けないですね!」
「もっ、申し上げていませんでしたか? 私、ろくに魔物と戦うこともできないんです! 魔力も大してないので!」
「…………誇らしげに言うことですか? 無力なままで、あっさり私に殺されたいのですか?」
「まさかっ……まっったく力のない私にも、できることがあるんです!」
「はあ!?? ふざけてるのか! この馬鹿っっ!!」
怒鳴る彼から魔法の弾が飛んでくる。
残念ですが、怒りに任せた攻撃なら、避けることくらいできます!
私は、魔力で空に飛び上がって逃げた。
「このっ……! 待ちなさい!!」
「嫌です!! 無力でバカでも、逃げることはできますっっ!! 私、捕まりませんっっ!!」
「…………そうですか……私は、逃亡する者を捕らえるのが得意なんです!!」
怒鳴る彼から魔法の弾が飛んでくる。城の屋根まで飛んで逃げると、急に、足に力が入らない。
あれ?? 思ったより、魔力の消費、激しい?? 彼の攻撃を魔力で受け止め続けたからだ。
立てない私と追ってきたテクフィノレク様の間に、ロズルラト様が入ってくる。彼は人の姿をしていて、その尻尾が、微かに私の頬を掠めた。
そして彼は、握った剣でテクフィノレク様の斧を受け止めていた。
「やめとけ」
「まだ邪魔をするか……バカ虎……」
「今はお前の方がバカだろ。城ぶっ壊したら、領主様になんて言うんだ?」
「…………」
それを聞いたら、テクフィノレク様は無言で離れてくれた。
「まさか、こんなに無力だったなんてっ…………! ロズルラトを懐柔したのなら、もう少しマシかと思ったのに!!」
「か、懐柔って…………彼は、私のことを心配してくださっただけです。それに、無力であることは、あなたには最初から分かっていたでしょう? けれど、喧嘩がしたいなら、相手になりますよ!」
「黙れこの馬鹿っっっっ!!!!」
思いっきり怒鳴られて、耳が痛くなりそう……本当に、怒鳴り声の大きな方だ。
「私をそこにいるその馬鹿な虎と一緒にしないでいただけますか」
「おい!! 誰が馬鹿な虎だ!!」
そう言ってロズルラト様は怒りの声をあげるけど、テクフィノレク様は取り合わない。
今度は私が、テクフィノレク様に尋ねた。
「私だって、喧嘩がしたいわけではありません。テクフィノレク様! 部隊の方が、ロクデラッド様に見捨てられて怪我をしたと言うのは本当ですか?」
「……そんなこと、あなたには関係ありません」
「あります! だって私は! その時失われた道具の代わりでしょう?」
「…………」
「先ほどの魔法の道具…………結界で部隊の方を守るためのもののはずです。けれど、あなたにはお気に召さなかったご様子。私もです!」
「……は?」
「だって、どうせならもう二度と部隊の方がそんな目に遭わなくていいような物が欲しいではありませんか! お渡ししたものに関して、不満があるなら聞きます! もう二度とそんなことがないように強化してみませんか!?」
「……強化? できもしないことを…………」
「できます! 私にも、武器の強化は少しならできます! それに、あなたはあれだけ攻撃の魔法が使えるんです! だったら、あなたが私とあなたがいれば、きっともっと素晴らしい強化もできます! 一緒にやってみませんか!?」
「…………」
「では、今日の仕事が終わったら、またここに集合しましょう!」
「………………………」
彼は、ずっと黙ったままだった。
えーーーーっと…………これは、了承していただけたと受け取っていいのかな??
なんていうか……全く表情の読めない顔をしているけど…………
そして彼は、私を見下ろし、一言いう。
「死ね」
「へ!?? きゃあああああ!!」
振り下ろされた斧を飛び跳ねて避ける。けれどその刃から完全に逃げるなんて、出来るはずがない。刃は、微かに私の髪に触れてしまい、切れた髪が風に吹かれていった。
な、なんて切れ味…………そしてそれをなんの迷いもなく、私に向けるなんて……これはもう、殺すことしか考えてない!!
「やはり、あなたは……」
「て、テクフィノレク様……お、落ち着いて……」
なんて言っても、今のテクフィノレク様が聞いてくれるはずがない。彼は斧を振りかぶり、私に振り下ろしてきた。
「ここで殺しておくべきだ」
「なんでそうなるんですか!!??」
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