全ての悪評を押し付けられた僕は人が怖くなった。それなのに、僕を嫌っているはずの王子が迫ってくる。溺愛ってなんですか?! 僕には無理です!

迷路を跳ぶ狐

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12.ここは一体どこだ!?


 それから、僕が何を言っても、ロティンウィース様は僕を離してくれなかった。
 抱っこしたままおろしてくれないし、こんな泥だらけの体で殿下に抱っこされてるなんて、だんだん耐えきれないくらい申し訳なく思えてきて、なんとか逃げられないかと魔法を使おうとしたあたりから、記憶が途切れている。
 多分、魔力なんてほとんど残っていない体で魔法なんか使おうとしたから、気絶してしまったんだ。

 そして起きたら、僕は、明るい太陽の光の中にいた。朝の明るい日光だ。それが、ずらーっと並んだ背の高い掃き出し窓から降り注いでいる。窓の外には、芝生が敷き詰められ、花壇に花が咲いて、噴水が空高く水を噴き上げ、キラキラと輝く水しぶきを振りまいていた。

 僕がいるのは、広いベッドの上。ふかふかの布団を押し退けて起き上がり、僕は、呆然としていた。

 なんだ……ここは…………いつもの地下の部屋じゃない。

 美しい調度品が並ぶ、広大な部屋だ。城中の人が集まって会議ができそうなくらい広い部屋に、僕が一人だけでいる。

 そして、僕が起き上がったベッドも、僕がいつも寝ている、床の上に敷いた汚れた布の上じゃない。
 僕が横に何人も並んで寝ても、まだ余裕がありそうなくらい広いベッドで、座っているだけで眠くなりそうなくらい気持ちいいし、シーツも清潔。汚れもないし、穴もあいてない。

 なんだこれ……こんなものがあるのか……

 恐る恐る、布団に顔を埋めると、それだけで寝てしまいそう。

 ……怖いくらい気持ちいい……つい、体まで埋めて眠ってしまいたくなる。

 そこで、はっとなって起き上がった。

 布団に負けて寝てしまうところだった。こんなことしてる場合じゃない。どう考えてもおかしい。

 なんでこんなところに僕がいるんだ。

 大きな窓からは、朝の太陽が燦々と降り注いでいて、眩しくて、目を開けていることが辛くなりそう。外の噴水の音が微かにして、鳥の鳴き声が聞こえる。

 こんなところに、僕がいるはずがない。

 服だって、僕が着ていた服じゃない。綺麗なパジャマだ。
 泥だらけだった体も、すっかり綺麗になっていた。

 一体、何がどうなっているんだ!!

 頭を抱える。

 なんで僕はこんなところにいるんだ?

 確か、僕は殿下に抱っこされて、それから僕の体を癒すって言われて、連れて行かれて…………その辺りから記憶がない。魔力を使おうとして気絶して……そして起きたら、なぜかこんなところにいた。

 だったら殿下は!? ロティンウィース様はどこにいるんだ!?

 慌ててキョロキョロするけど、ロティンウィース様がいない。

 なんで殿下がいなくて、僕だけがこんなベッドの上に……おかしい。こんなことがあるわけがない。

 ……まさか、僕はまた何か、とんでもないことをしでかしてしまったのだろうか……そうに決まっている……

 しばらく考える。

 もしかして、意識がないうちに魔法を暴走させて、殿下を傷つけた挙句、フラフラと街を歩いて、気づいたら憧れのふかふかベッドを見つけてしまい、それに惹きつけられるうちに鍵を開ける魔法で侵入して無意識のうちにベッドに入り込んで寝たのかも……

 …………ありそう……僕ならそんな訳のわからないこともしそうだ。

 殿下はどこに行ってしまったんだろう……僕のせいで、殿下をまた傷つけてしまったのか……?

 とにかく、すぐに殿下を探さなくては。ロティンウィース様を守るって決めたばかりなのに、すぐに気絶して、起きたら知らないところにいるなんて、僕は何をしているんだ。

 すぐに殿下を探しにいくんだ。

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