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番外編.その後の街の領主
65.嘘じゃないだろ?
殿下とそんなことをしていたら、背後から声がした。
「全く、頼もしい限りですよ。ロティンウィース殿下……」
言って、空からフーウォトッグ様が降りてくる。城にいたはずなのに。
「お迎えにあがりました。トルフィレ殿。帰りが遅いから、心配しましたよ。どこかで騙されて、さらわれてしまったのではないかと」
「す、すみませんっ……! 心配かけちゃって……」
「……いいえ。あなたが謝罪することはありません……何があったのかは聞いています」
言って、フーウォトッグ様は、冒険者さんたちに振り向いた。
「……そちらが…………トルフィレ様が助けたと言う冒険者さん……ですか……」
「は、はい!! あ、あのっ……盗賊に追われていた人もいて……回復と食事もっ……ここでして行っていただきたいのですが……」
僕が言うと、冒険者さんは焦ったように言った。
「お、おいっ……! なんでお前がそんなことまでするんだよ!!」
「だ、だって…………盗賊に追われて疲れているだろうし、回復しないと、帰ることも難しいですよね? ちゃんと回復してから出発してください!」
「はあ!?」
「だ、だって……そっちの方は……すぐに出発なんて、多分無理ですよ……」
僕らが助けた人は、冒険者さんの後ろで僕らの様子をうかがっている。なんだかまたひどく怯えているみたいだ。
フーウォトッグ様が、彼らの方に向き直って言った。
「トルフィレ様のおっしゃる通りです。どうか、ここでゆっくりして行ってください。歓迎しますよ。冒険者さん」
すると、パーロルットさんも、にっこり笑って言った。
「いいですね。上の階があいています。美味しいお菓子もあるんです。どうかゆっくりして行ってください」
すると、冒険者さんは、ますます苦い顔になって、僕を睨んでいた。
*
パーロルットさんの計らいで、僕らは二階の部屋を貸してもらうことにした。
広い部屋に通された僕らは、テーブルを囲んで座ったけど、冒険者さんも助けた人も落ち着かない様子。
フーウォトッグ様が、席に着いた冒険者さんに向かって口を開いた。
「それで? このようなところで、何をされているのですか? ランクイズイル様」
言われて、冒険者さんはさっと顔を背ける。
「……だから言ってるだろ。こいつ探しに来たんだよ……うるせーな……」
そんなことを言いながら、彼は隣に座った、助けた人の肩を叩いて、フーウォトッグ様を睨みつけていた。
「え……? お、お知り合いですか? 冒険者さん……」
僕が聞いても、冒険者さんは聞こえないふり。
それを見て、アンソルラ様も声を上げた。
「どっかで見ことあると思った……お前っ……コーインクルリズのところの護衛の騎士だ!!!!」
アンソルラ様が言うのを聞いて、冒険者さんは「うるせーな」と不機嫌に言うけど、否定したりはしない。
コーインクルリズ様といえば、隣接する領地の領主様の名前じゃないか。街道の開通の件でよく連絡をとっている、ヴォーヤジュ様とは反対側。森の向こうの領主様で、深い森の向こうには切り立った岩山と谷が続いていて、まだ街道なんかも整備されていない。
だけど、谷の奥にある暗い森のあたりを通れば、比較的安全にここまで来ることはできるらしい。だから、アフィトシオたちがここにいた時は、よく取引をしていたようだ。
そんなところの護衛の騎士と聞いて、僕はパニックだ。
「な、なんで…………こ、コーインクルリズ様のところから……」
フーウォトッグ様の方は、急に、冷たーーーーい目になって、冒険者さんに振り向く。
「冒険者…………ですか……一体、なんの真似ですか? 依頼のふりをして他人の領地に入り込み、スパイ行為とは……」
「あ? なんのことだ? スパイ? 遊びに来ただけだよ」
「王族と、それに仕える我々、竜の部隊の前で、随分ふざけた真似をしてくれます」
「…………冒険者でもあるんだ。嘘はついてませーん」
「…………殿下。王城に連絡を。コーインクルリズ様は、隣接する領地に間諜を送っています」
「ま、待て待て待て待て待て待て!!!! お、落ち着け! 俺は、行方不明だったうちの魔法使いを探しに来ただけで……」
言って、冒険者さんは僕に向き直る。さっきまでより、やけに真剣な顔をするから、僕はひどくドキドキした。
「あ、あの……」
「領主、トルフィレ様……失礼をお詫びします。俺はランクイズイル……普段は、コーインクルリズ様のところで、魔法使いの部隊を率いています」
「………………コーインクルリズ様の……」
「あっ!! でも、冒険者って言ったのは本当だ! 嘘じゃない……!!」
「……なんで、冒険者なのに護衛をしているんですか?」
「元冒険者だったが、腕を見込まれたんだよ……今でも、冒険者としての仕事はしてる。ほら見ろ! 嘘じゃないだろ!」
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