全ての悪評を押し付けられた僕は人が怖くなった。それなのに、僕を嫌っているはずの王子が迫ってくる。溺愛ってなんですか?! 僕には無理です!

迷路を跳ぶ狐

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番外編3.隣の領地で会議

74.みんなで行きましょう!


 それから待てど暮らせどコーインクルリズ様は戻ってこなかった。

「……僕が、変なこと言ったからだ…………」

 頭を抱えてしまう僕。

 僕の馬鹿ぁぁぁ…………変なこと言うからこうなるんだ……
 あれはそう言う意味じゃなくて、魔物とならいつでも戦えますっていう意味だったのに……

 後悔ばかりの僕は、ずっと円卓に突っ伏して頭を抱えたまま。

 殿下に「大丈夫だ!」って言われたけど、コーインクルリズ様に不快な思いをさせちゃったし、僕はどうすればいいんだ。

 もうダメだ……

 落ち込む僕に、殿下が声をかけてくれた。

「……おい。トルフィレ? そんなに心配するな!」
「……だって…………僕………………会いたくないと思われてしまったんでしょうか…………」
「どうだろうな? 単に魔物の討伐に時間がかかっているだけかもしれないぞ? 以前、魔物退治を終えていたところで、また魔物が現れた可能性もある」
「そんな……」
「魔物というものは、いつ現れるか分からないからな……コーインクルリズほどの力があれば、全く問題ないと思うが……」
「そう……ですよね…………」

 それにしても、コーインクルリズ様……遅い。

 そんなに強力な魔物なのかな…………

 落ち着かない思いでいると、猫の姿になったフーウォトッグ様が、窓から外を眺めて言った。

「それにしても……だいぶ我々は警戒されているようですね……会議室の外にも、城の周りにも、だいぶ警備の者がいます」
「……僕ら、会議をしに来たのに…………や、ややや、やっぱり、僕の不用意な発言のせいで……」
「……落ち着いてください。トルフィレ様のせいではありませんよ。向こうも、魔物との争いに乗じた権力闘争の後と言うこともあって、神経質になっているでしょう」
「…………暗殺未遂まであった話ですか……?」
「はい。コーインクルリズ様を暗殺し、領主の座から引き摺り下ろそうとした貴族たちは、アフィトシオたちと取引があった商人たちと組んでいたようですし……」
「そ、そうなんですか!!??」
「はい。コーインクルリズ様自身は、領地に現れた巨大な魔物の鎮圧に手一杯で、城をあけることが多かったようで、その隙を狙われたのでしょう。暗殺が失敗に終わり、関わった者たちは処罰されたようですが、自分が城をあけている間に、信頼していた側近たちが豪商たちと組んで、自分の暗殺の用意をしていたのです。疑心暗鬼にもなるでしょう」
「……だとしたら、ますます早く誤解を解きたいです……ぼ、僕、た、戦うつもりなんて……」
「落ち着いてください。トルフィレ様。分かってます」

 すると、今度は殿下が腕を組んで言った。

「もしかしたら、今日はもう、会議を開く気がないのかもな……」
「え……?」

 確かに、来るのが遅い…………僕らだって、あまり自分の城をあけてばかりもいられない。このままじゃ会議を開けずに帰ることになる。

 ……だけど……ランクイズイル様は、僕らのことをコーインクルリズ様に話してくれたはず……

 こうして待っていても、もう日が暮れてしまいそうだ。

 も、もう……このまま待ってても仕方ない!!

「あ、あのっ……!! だったらっ……! コーインクルリズ様を助けに行きましょう!! 魔物が出るなら、みんなで倒した方が早いと思うんです!!」

 すると、フーウォトッグ様が言った。

「そうは言っても、私たちが他人の領地で勝手な真似をするわけにはまいりません」
「そ、それは……そうですが…………それでも、このままじゃ会議だって開けないし、強力な魔物が出たのなら、協力した方がいいと思うんですっ!!」

 僕が言うと、殿下が頷いてくれた。

「確かに、トルフィレの言うことも一理ある。このままずっとここで待つわけにもいかない。魔物を相手に苦戦しているなら、援軍に向かうことは、コーインクルリズの統治に干渉したことには当たらないはずだ。だが、それはコーインクルリズの承諾を得ていればの話だ。勝手に城を抜け出したりしたら、ますます疑われてしまう」
「だ、だったら……勝手じゃなかったらいいんですよね!?」
「何か、策があるのか?」
「ランクイズイル様を探しに行きましょう!! さっき、後を頼むって言われてたし、城のことを任されているなら、城のどこかにいるはずです! それで、コーインクルリズ様の魔物退治をお手伝いする許可をもらって、魔物を退治して会議を開くんです!!」

 魔物に苦戦しているなら、放っておけない。コーインクルリズ様のことだって心配だし、魔物の増加を抑えることは、この辺りを治める領主みんなにとって、大事なことだ。

 それに、このままじゃ会議だって開けないし、街道の整備も遅れてしまう。何より、コーインクルリズ様とも、ちゃんと話しておきたい!

「行きましょう!! せ、せっかく時間があるんだしっ……!!」

 言って、僕は窓を開いた。

「えーーっと…………ランクイズイル様、い、いないかな……」

 窓を開けて身を乗り出す僕に、フーウォトッグ様が焦って駆け寄ってくる。

「と、トルフィレ様っ……! 落ち着きましょう……」

 今度は、殿下が胸を張って立ち上がった。

「そうだな! 俺も行くぞ!」

 するとフーウォトッグ様が驚いて言う。

「殿下っ……! 何をおっしゃっているのです!?」
「俺はトルフィレと戦うと決めたからな!! 行くぞ!! トルフィレ!!」

 アンソルラ様も「決まりだー!!」って言いだして、フーウォトッグ様も、仕方ないですねって言ってくれた。

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