全ての悪評を押し付けられた僕は人が怖くなった。それなのに、僕を嫌っているはずの王子が迫ってくる。溺愛ってなんですか?! 僕には無理です!

迷路を跳ぶ狐

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番外編3.隣の領地で会議

87.改めて


 それから、魔物の討伐には成功したけれど、側近だった魔法使いが、解決したはずの暗殺未遂事件に関わっていて、しかも今もしつこく領主の命を狙っていることが明らかになり、コーインクルリズ様は、その残党の捕縛に向かうことになった。
 フーウォトッグ様とアンソルラ様が、テリラフイル様やランクイズイル様と協力して、ウェンダクドイスとその周辺の男たちを拘束してくれたおかげで、事件の処理は素早く終わったらしい。

 ただ、その日の会議は開くことができなくなり、僕らは領地に帰り、後日改めて、僕の城で会議が行われることになった。

 会議が開かれる日になって、来てくれなかったらどうしようとドキドキしていた僕は、ずーーっと城の上空からコーインクルリズ様が来るのを待っていて、彼が城門まで来てくれた時は、嬉しくなってすぐに飛んでいった。

 だけど、コーインクルリズ様は相変わらずそっけない態度。会議室の円卓について、ずっと腕を組んでいた。

「お、おはよう……ございます……こ、コーインクルリズ様っ……」

 恐る恐る挨拶をする僕に、コーインクルリズ様は「ああ…………おはよう……」と返事をしただけ。

 なんだかずっと俯いてるし、険しい顔してるし、やっぱり会議なんか開きたくなくなっちゃった……って言うわけじゃないよね!?

 にわかに緊張してくる。

 だけど……コーインクルリズ様だって、会議を開いてくれるって言った。ここまで来てくれた。何より、コーインクルリズ様だって、民たちのことを大切に思っている。

 僕は、ぎゅっと書類を握りしめ、頭を下げた。

「あ、あのっ…………先日は、ありがとうございました!! お招きいただいて……」
「……気にしなくていい。こちらこそ、貴様には世話になったな…………」
「世話にだなんて…………魔物から街を守る役に立てるなら……僕は嬉しいです。そ、それに、あの森が安心して行き来できるものになることは、僕にとっての目標でもあるんです!」
「そうか…………」
「そ、それでっ…………あのっ…………テアティリルさんたちは……彼らは……どうなりましたか?」

 もしかして処罰されてしまったのかも知れないと思って聞くと、コーインクルリズ様は、僕から顔を背けたまま言った。

「あの連中は何もしていない。何があったのかは話してもらうが、それだけだ。傷が回復すれば、解放する予定だ」
「そうですか…………よかった…………」

 すると、テリラフイル様が、パンパンと手を叩いて言った。

「では、とりあえず、席について会議を始めましょう…………トルフィレ様。コーインクルリズ様もーー」
「俺は席についている」

 コーインクルリズ様に振り向いて言われて、テリラフイル様は肩をすくめて答える。

「そこ、僕の席です」
「……どこだっていいだろう」
「よくありません。そこ、一番気持ちいい日差しが当たるんです。僕、そこでお昼寝したいんだから………………コーインクルリズ様は、あっち」

 テリラフイル様に言われて、コーインクルリズ様は、大人しく席を変えた。

 すると彼はニコニコ笑って窓を開ける。そしてその前の席に座って、眠そうにあくびをしていた。

 ランクイズイル様は、コーインクルリズ様の後ろに立って、俺はここにいるって言って聞かないし、僕と一緒にいる殿下はいつもと変わらない様子で平然としているし、フーウォトッグ様は猫の姿で、アンソルラ様も小さな竜のまま。僕とコーインクルリズ様以外は、なんだか随分リラックスした様子だ。

 僕も見習わなきゃ……

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