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8.こんなことでもなければ
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「それで? 言いたい話とはなんだ?」
領主様はそう聞いてくれるけど、僕に見せつけるように鞭を両手で弄り回している。もう、僕をこれでもかと言うほど打つ気満々じゃないか。
そんな男の前で話をするなんて、絶対に無理。それなのに、領主様は鞭を握ったまま、怯える僕を眺めている。
こんな状況で何かいい案を考えられるほど頭がよかったら、僕はこんなドジを踏んでいないし、もっと早く前世のことだって思い出している。
そんな後悔をしても、もう遅い。領主様は完全に腹を立ててしまっているし、何か言わなきゃ殺される。だけど、僕だってまだ記憶を取り戻したばかりで、どうやったら領主様と領地が助かるのか、まだはっきりとは言えないんだ。
でも何か言わないと殺されるしっ…………!
「あ、あのっ……」
「なんだ?」
「あ、ぼ、僕のこと殺すとっ……こ、後悔しますっ…………」
「貴様がいた方が後悔しそうだが……」
「そんなことありませんっ…………」
精一杯の虚勢を張ってみる。それくらいしないと、泣き出して失禁でもしそう。そうしたところで必ず殺されるだけだから耐えてるけど…………
ちょっと強く出たことで、領主様は少しだけ僕に興味を持ってくれたらしい。鞭を下ろしてくれた。
「……では、後悔とはどういうことなのか聞こうか?」
「え…………えっと、あの…………ぼ、僕の言うとおりにしないと……あの…………領地、取られちゃう……」
「なに?」
たずねる領主様の表情が微かに変わる。
やった…………さっきより、興味を持ってくれたっぽい!!
「り、領地……取られちゃう…………かも、知れません……よ…………」
「かも? それはどういうことだ?」
「あ、ああっ……あのっ……! だから、ぼ、僕を殺さないでくださいっ……必ず、お役に立ちますから!!」
「…………どう役に立つと言うんだ?」
「へ!??」
ど、どうって言われても…………まだ考えてない……
だけど、そんなこと馬鹿正直に答えたら殺されるし……
「え、えーっと……だから、そのぉーー…………」
どうしようか、必死に考える僕。
すると、僕の背後で壁にもたれかかって立っていたベリレフェク様が口を開いた。
「その男はその場凌ぎをしているだけです」
「…………」
領主様が、無言でベリレフェク様に振り向く。
なんでそんなこと言うの!? 確かにその場凌ぎしてますけどっ……そんなこと、後ろから言われたら困ります!!
それなのにベリレフェク様は、さらに続けた。
「おそらく、何か知っているようなふりをして、領主様の断罪から逃れたいのでしょう。この場でたっぷりと拷問して聞き出すべきです」
すると、領主様はベリレフェク様を睨みつけて言う。
「黙れ。これの処遇を決めるのは俺だ。貴様こそ、なぜまだこの部屋にいる?」
「…………その男は、反逆を企んでいるのですよ? それなのに、二人きりにしておけるわけがないでしょう? 俺は王家から、この領地の魔物の状況を報告するように命じられています。何しろ、ただでさえ魔物の多いこの地で、魔物がさらに急増すれば、ここだけではなく、国全体が危険に晒されるのです。あなたこそ、この領地を安全に保つと言う本来の役割をお忘れにならないように願います」
「………………そうだな」
そう答えてはいるけれど、領主様は今にもベリレフェク様を刺し殺しそうな顔をしている。
……な、なんだか二人とも怖い…………ベリレフェク様はしょっちゅう城に来るのに、この二人、こんなに仲が悪かったのか?
…………よく考えてみたら、僕……前世の前に、今のここのことをよく知らない。領主様のことだって、魔物退治に彼らが出発するときに必死に道具や武器を準備するばかりだった。
ベリレフェク様なんて、領主様の隣にいるいつも僕にかなり冷たい人……くらいにしか思っていなかった。
こうして話すことなんて、こんな機会でもなければ、ずっとなかった気がする。
…………って言っても、僕は吊るされて、今にも鞭で打たれそうなんだから、それどころじゃないんだけど。
領主様はそう聞いてくれるけど、僕に見せつけるように鞭を両手で弄り回している。もう、僕をこれでもかと言うほど打つ気満々じゃないか。
そんな男の前で話をするなんて、絶対に無理。それなのに、領主様は鞭を握ったまま、怯える僕を眺めている。
こんな状況で何かいい案を考えられるほど頭がよかったら、僕はこんなドジを踏んでいないし、もっと早く前世のことだって思い出している。
そんな後悔をしても、もう遅い。領主様は完全に腹を立ててしまっているし、何か言わなきゃ殺される。だけど、僕だってまだ記憶を取り戻したばかりで、どうやったら領主様と領地が助かるのか、まだはっきりとは言えないんだ。
でも何か言わないと殺されるしっ…………!
「あ、あのっ……」
「なんだ?」
「あ、ぼ、僕のこと殺すとっ……こ、後悔しますっ…………」
「貴様がいた方が後悔しそうだが……」
「そんなことありませんっ…………」
精一杯の虚勢を張ってみる。それくらいしないと、泣き出して失禁でもしそう。そうしたところで必ず殺されるだけだから耐えてるけど…………
ちょっと強く出たことで、領主様は少しだけ僕に興味を持ってくれたらしい。鞭を下ろしてくれた。
「……では、後悔とはどういうことなのか聞こうか?」
「え…………えっと、あの…………ぼ、僕の言うとおりにしないと……あの…………領地、取られちゃう……」
「なに?」
たずねる領主様の表情が微かに変わる。
やった…………さっきより、興味を持ってくれたっぽい!!
「り、領地……取られちゃう…………かも、知れません……よ…………」
「かも? それはどういうことだ?」
「あ、ああっ……あのっ……! だから、ぼ、僕を殺さないでくださいっ……必ず、お役に立ちますから!!」
「…………どう役に立つと言うんだ?」
「へ!??」
ど、どうって言われても…………まだ考えてない……
だけど、そんなこと馬鹿正直に答えたら殺されるし……
「え、えーっと……だから、そのぉーー…………」
どうしようか、必死に考える僕。
すると、僕の背後で壁にもたれかかって立っていたベリレフェク様が口を開いた。
「その男はその場凌ぎをしているだけです」
「…………」
領主様が、無言でベリレフェク様に振り向く。
なんでそんなこと言うの!? 確かにその場凌ぎしてますけどっ……そんなこと、後ろから言われたら困ります!!
それなのにベリレフェク様は、さらに続けた。
「おそらく、何か知っているようなふりをして、領主様の断罪から逃れたいのでしょう。この場でたっぷりと拷問して聞き出すべきです」
すると、領主様はベリレフェク様を睨みつけて言う。
「黙れ。これの処遇を決めるのは俺だ。貴様こそ、なぜまだこの部屋にいる?」
「…………その男は、反逆を企んでいるのですよ? それなのに、二人きりにしておけるわけがないでしょう? 俺は王家から、この領地の魔物の状況を報告するように命じられています。何しろ、ただでさえ魔物の多いこの地で、魔物がさらに急増すれば、ここだけではなく、国全体が危険に晒されるのです。あなたこそ、この領地を安全に保つと言う本来の役割をお忘れにならないように願います」
「………………そうだな」
そう答えてはいるけれど、領主様は今にもベリレフェク様を刺し殺しそうな顔をしている。
……な、なんだか二人とも怖い…………ベリレフェク様はしょっちゅう城に来るのに、この二人、こんなに仲が悪かったのか?
…………よく考えてみたら、僕……前世の前に、今のここのことをよく知らない。領主様のことだって、魔物退治に彼らが出発するときに必死に道具や武器を準備するばかりだった。
ベリレフェク様なんて、領主様の隣にいるいつも僕にかなり冷たい人……くらいにしか思っていなかった。
こうして話すことなんて、こんな機会でもなければ、ずっとなかった気がする。
…………って言っても、僕は吊るされて、今にも鞭で打たれそうなんだから、それどころじゃないんだけど。
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