ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
17 / 45

17.俺が案内してやる

しおりを挟む
 僕がこれから領主様に会いに行くはずが、領主様の方から僕に会いにきてくれて、僕は、震え上がることしかできなかった。

 だって領主様……絶対にまだ怒ってる。

 誤魔化してしまいたいけど、そんなことしても無駄なんだろう。

 もう全部正直に話すしかない……

「ちょっと……散歩に行こうとしてました。ベリレフェク様と……」

 彼の名前を出してしまって、ベリレフェク様は、ひどく嫌そうな顔をして、小声で言った。

「おい……俺を巻き込むな」
「え…………あ、す、すみません…………で、でも、ちょっと散歩に行くくらい……悪いことじゃないんだし……」
「散歩がいい悪いじゃない……分かっていないだろう。お前」
「え…………?」

 分かってるって、何を?

 なんのことなのかは分からないけど、ちゃんと話した方がいいよな……もう疑われるのは嫌だ。

「え……えっと…………防御の魔法の強化したくて…………外に魔法の道具の強化に使えそうな魔法の素材があったはずだから……それを探しに行こうとしていただけです……」

 素直に言うと、領主様はなぜか、ひどく苛立った顔をしていた。

「……ベリレフェクとか? 随分、仲がいいじゃないか」
「へっ……!?」

 仲がいい?? 僕と、ベリレフェク様が??

 僕、ついさっき脅されていたのに…………なんでそれで仲が良く見えたんだろう……

「え、えっと……」
「防御の魔法を強化したいのなら、明日取りに行けばいいだろう」
「そ、それはダメですっ……!! 今じゃないとダメなんです!!」
「今?」
「は、はい!! どうしても……今じゃないと意味がないんです!!」
「……なぜ、今なんだ……?」

 不思議そうな領主様。

 だって痛い目に遭いたくないんです!

 ベリレフェク様も僕を見下ろして、口を開いた。

「俺はただ、回復の魔法について教えていただけですよ。やけに怯えていましたし……本当に、それだけです。お迎えにいらしたのならちょうどいい。どうか、連れて行ってください」

 言われて、領主様は僕に振り向いた。

「怯えていた? 何かあったのか?」
「えっ…………えっと…………そ、そういうわけでは……ないんです。すみません……」

 まさか、領主様の拷問が怖かったんです! なんて言えないし……ベリレフェク様、余計なことを言わないでくれ!!

 ぼ、僕……どうしたらいいんだ……

 汗がダラダラ流れてきて、震えていると、領主様は真剣な顔をして言う。

「…………何か、恐ろしいことがあるのなら言え」
「えっっ?!??」

 言われたことに驚いて、領主様を見上げた。

 そしたら、領主様は本当に心配そうな顔をしている。

 もしかして…………

 本当に怯えた僕を気にかけてくれている……のか……?

「え…………えっと……」
「行くぞ」
「へ!? ど、どこに……」
「外へだ。防御の魔法を強化するのだろう?」
「あっ……あのっ…………」
「この辺りのことなら、俺の方がベリレフェクより詳しい。案内してやる」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

「呪いを解くには毎日可愛いと言ってください」と嘘をついたら、氷の聖騎士様が本気で口説きにかかってきました

たら昆布
BL
間違って呪われた青年と呪いを解除したい騎士の話 番外編はその友達たちの話

薄幸な子爵は捻くれて傲慢な公爵に溺愛されて逃げられない

くまだった
BL
アーノルド公爵公子に気に入られようと常に周囲に人がいたが、没落しかけているレイモンドは興味がないようだった。アーノルドはそのことが、面白くなかった。ついにレイモンドが学校を辞めてしまって・・・ 捻くれ傲慢公爵→→→→→貧困薄幸没落子爵 最後のほうに主人公では、ないですが人が亡くなるシーンがあります。 地雷の方はお気をつけください。 ムーンライトさんで、先行投稿しています。 感想いただけたら嬉しいです。

王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍
BL
アレックス=コンフォートはコンフォート公爵の長男でオメガである! これは、見た目は磨けば美人で優秀だが中身は残念な主人公が大嫌いな王子との婚約を回避するため、友達と形だけの結婚をしたつもりが、あれよあれよと溺愛されて満更ではなくなる話である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1/10から5日くらいBL1位、ありがとうございました。 番外編が2つあるのですが、Rな閑話の番外編と子どもの話の番外編が章分けされています。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※僕はわがまま 時系列修正 ※ヤード×サンドル終わったのでラブラブ番外編を末尾に移動 2023.1.20

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

【朗報】無能と蔑まれ追放された俺、実は「聖獣に愛されすぎる体質」でした ~最強の騎士団長が毎日モフモフを口実に抱きついてくるんだが?~

たら昆布
BL
鉄血の重執着ストーカー騎士団長×無自覚もふもふ(聖獣使い)な元雑用係

政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話

BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。 ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。

不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ
BL
 国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。  フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。  生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!

処理中です...