ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!

迷路を跳ぶ狐

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19.何のことですか?

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 やった……僕の杖が帰ってきた!!

 嬉しくて、ずっとそれを眺めながら歩く。これがあれば、僕の魔法も少しは安定するはずだ!!

 そうだ! ベリレフェク様から頂いたものがあったんだ!!

 すぐに、彼にさっきもらったものをポケットから取り出して杖に括り付ける。これで僕も回復の魔法がちゃんと使えるといいなぁ……

 しばらくそれを見上げていたら、領主様が鋭い目をして言った。

「それは…………もしかして、ベリレフェクのものか?」
「へ? あ、はい!! ベリレフェク様が渡してくださったんです!! その…………えっと……僕、失敗してばかりだから…………回復の魔法くらい、ちゃんと使えるようにって!」
「そうか…………」

 領主様はそう呟いて、僕の方をじっと睨んでいる。

 ……な、何か、変なことを言っちゃったかな…………もしかして、また拷問されるようなこと言ったのか!? ますます反逆を疑われた!?? なんで!?? だって、ベリレフェク様に魔法の道具をもらった話をしただけだぞ! さっきベリレフェク様のことは召し抱えるって言ってたし……

「……え…………えっと……領主様……ベリレフェク様のことは、許してくださったんですよね?」
「…………またあいつの話か?」
「へ!?!」

 だって、彼がいなかったらこの領地は魔物で溢れてしまうかもしれないんだ。気になるのは当然じゃないか。

 けれど領主様は、ムッとしたまま言った。

「…………あれのことは、しばらく城に置いておく。お前の言う通り、役には立ちそうだからな……」
「…………よかった……あ、ありがとうございます…………」
「やけに嬉しいようだな?」
「へ?? えっ……と……はい。嬉しいです。だって、ベリレフェク様はこの領地にとってもなくてはならない存在だし……すばらしい回復の魔法を使えますから」
「……………………随分あいつのことに詳しいようだな?」
「へっ……!?? そ、そうですか?」
「ああ。そうでなければ、あれだけ必死になって命乞いをしたりしないんじゃないか?」
「…………え……えっ……と…………」

 なんだろう……急に、尋問されているような気になってきた。な、何でこんなに色々聞かれてるんだ??

 や、やっぱり疑われているのか……?

 どうしよう……変なことは言えない。

「え…………えっと……」

 ゲームの登場人物のことなら、大体分かっているだけなんだけど…………そんなこと言えないし……

 とは言え、ベリレフェク様がこんなに前から、王家を憎んでいたなんて知らなかった。まだまだ、知らないことも多いな……

 だけど、そんな話をしても信じてもらえないどころか、また疑われそう。

 領主様はじっと僕の方を見つめている。

 なに!?? 今度は何!?? 何を疑われているんだ!??

 ビクビクしていると、領主様は先に歩き出してしまう。しかも、「…………あいつ……こんなに手の早い奴だったのか…………」なんて呟いている。考え事でもしているのか、僕に聞こえていることにも気づいていないようだけど…………

 手が早いって、なんのことだろう……

 あ、さっき領主様を狙ったことか? やっぱり、まだ怒っているのかな??

 …………命を狙われたんだから、怒るか……僕だって、領主様がいなくなったら嫌だ。

「あ、あのっ…………領主様!! ま、待ってください!」
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