誰より重くて愛がないと言われる僕の後ろには、いつも監禁趣味のあいつがいる

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
10 / 106

10.冷たい魔法

しおりを挟む

 離せって言ってるのに、フュイアルさんはそれを無視して、僕の服のボタンを外していく。

「嫌だっ……離せっ!」
「……そろそろ静かにしないと、本気で痛めつけるぞ」
「あんな約束守るくらいなら、その方がマシだ!! 離せよっっ!!」
「……」

 ついにキレさせたのか、フュイアルさんはひどく冷たい目をした。

 僕の服は弾け飛んで、吊るされたまま丸裸にされた僕は、初めて心底恐ろしくなった。

 何をされるか分からない。

 フュイアルさんは、青くなる僕の前で、魔法の鞭を作り出した。

「な、何する気……だよ……」
「少し痛いぞ」

 ひゅん、と風を切り、鞭が僕のお尻に振り下ろされる。ピシッと、痛みのわりには軽すぎる音がした。

「ぃっ…………たっ…………!!」

 何が少しだ!! めちゃくちゃ痛いっ!!

 痛すぎて涙が出てくる。息すらできないくらい痛いのに、無情な鞭が、今度は背中に振り下ろされた。

「ああああぁぁぁぁぁーーーーっっっっ!!!」

 背中、壊れそう。まるで切り裂かれたみたいだ。休む間もなく、今度は足にまで鞭が打ち付けられる。

「ぐっっ……いっ……いた……」

 ポロポロ泣いている僕に、フュイアルさんは笑顔で近づいてきて、僕の頬に触れる。

「約束を守る気になったか?」
「……っ……な、なるもんか!!! 誰が守るか!!! 絶対やだ! 殴り殺されたって、絶対聞かないっ!!」
「……じゃあ、別の方法を試そうか」

 そいつの持っていた鞭が光りだし、鞭は光の粒になって僕を取り囲む。

 今度はどんな方法で痛めつけられるのかと、怖くて震えだしそう。

 こんな奴に怯えるなんて悔しすぎる。絶対に恐怖を顔に出さないように、僕はぐっと歯を食いしばった。

 光の粒が、一つ一つ僕の体に入ってくる。そのたびに体の中が、まるで火をつけられたように熱くなる。

「んっ……! ひんっ……!! ひっ……ぁ、ん……っ!! な、何? これっ……」
「魔族が使う、媚薬の魔法」
「はっ!? び、びや……びやくっ!?」

 え、び、媚薬って言った?? だからさっきから体がピクピクするのか?

 知ったときには、もう遅すぎた。

 体の中に生まれた熱が溜まっていく。裸にされ、丸見えの自身の先が、ひくひくと物欲しげに揺れた。そのたびに、緩い甘さみたいなものが、僕の体を震わせる。

「ひぅんっ……ひゃっ……!! と、解いてっ……!! 魔法、解いてぇっ……!!」

 もう、さっきの鞭打ちの痛みなんて、まるで感じない。
 集まった快楽が、膨れ上がった欲望の先を何度も刺激する。

 もう限界。早くしごいて解放されたいのに、吊るされた腕を何度も動かそうとしても、鎖が食い込むだけで逃げられない。

「ふっ……うっ……ふぅっ……んっ……んんぁっ……! ぉ、お願いっ……ぃ、言うこと、聞くっからっ……これ外してぇっ……!!」

 必死の思いでフュイアルさんに頼むけど、そいつは楽しそうだ。鎖を操り僕を吊り上げ、膨らんだ僕の屹立を、からかうようにツンツン指で弄ぶ。

「ひやあっ!! や……やだっ……!! いや……っ!! 嫌だっ……や……やめて……やだぁっ…………ぉ、お願い……っ!! ……い、言うことっ……聞くからあっ!! フュイアルさん……っ!!」
「えっちなことしてる時くらい、フュイアル様でいいよ」
「死ねよ刺すぞクソ上司!! 気持ち悪いんだよ! 死んでも呼ぶかっっ!!」
「早速自分で言ったことを反故にするか……言うことを聞くんじゃなかったのか?」
「それは……っ! だ、だからって……誰がそんな風に呼ぶかっ! 嫌なもんはいや……」

 怒鳴ってた声が小さくなっていく。

 だって、目の前の男が、手にローションを垂らしていたんだ。

 何に使うんだ、そんなもの。なんでそんなに楽しそうなんだ。なんで鼻歌歌ってんだ!

「な、何してるんですか!?」
「レイプの準備」

 気持ち悪いくらいの笑顔で言ったフュイアルさんは、ドロドロになった指を僕の背中に回す。

「まずは、後ろの孔を躾けるか……」
「や……嫌っ……! 嫌だっ……っ!! やめろぉっっっ!!!!」

 冷たいフュイアルさんの指が、僕の背中を伝いながら降りて行く。

 媚薬を盛られたせいだろうか。その冷たい指の感触にすら、僕の体はいちいち反応して快感に変えてしまう。

 こいつの冷たさが気持ちいいなんて、僕の体、おかしくなっちゃったんだ。

 フュイアルさんの指が、僕の後孔に触れる。ひやっと冷たくて、背中が反り返る。
 喘ぐ僕をからかうみたいに、フュイアルさんの指が、僕の小さなそこを押し開けて、中に入ってきた。

 冷たい指が、ゆっくり僕の中を広げて行く。

 だけど……

「いっ……いたっ……痛いっっ!!」
「ん……? あれ? トラシュ……」

 フュイアルさんが指を抜く。それでも、まだ痛い。ズキズキする。

「もしかして……いつも乱暴にされてた?」
「乱暴じゃないっ!! ダストは……」

 ダストは、いつもちょっとサディストで、僕を強引に抱く。する時は、いきなりベッドに押し倒され突っ込まれてた。しかも、昨日は機嫌が悪かったらしく、馬鹿でかい大人のおもちゃを突っ込まれて、奥までそれで突かれまくって血が出た。だからまだ痛いんだ。痛すぎて涙が出てくる。

「うっ……うっ……もうっ……無理っ…………」

 なんでだろう。ダストを思い出したからか? 涙、溢れてくる。

 こうなると、もう体に力なんか入らない。抵抗する気力すら消えた。

 力が抜け、だらんとしている僕を、フュイアルさんは、なぜか床に下ろしてくれた。

「フュイアル……さん?」
「レイプは許してあげる。かわりに……」
「わっ!」

 いきなりフュイアルさんは僕を抱きしめ、胸にキスをした。

 え? ちょ、え!? 何するんだこいつ!!

 びっくりした僕は、そいつを蹴り上げ殴りかかる。だけど、僕の蹴りも拳も、あっさり避けられてしまった。

 フュイアルさんは、僕から飛び退いて笑う。

「傷を癒す魔法をかけたよ。もう痛くないだろ?」
「え? あ……う……」

 本当に痛くない……本当に回復してくれたんだ。じゃあキスなんかしないで、魔法だけかけてくれればいいのに……

 顔を上げたら、フュイアルさんは、僕に微笑んで言った。

「約束を果たすのは、また今度にしてあげる」
「なんで……」
「傷つけたらかわいそうだから。夕飯の続きしようか」
「フュイアルさん……」

 フュイアルさんは僕に背を向け、食事が並んだリビングの方に歩いて行く。

 ふざけやがって。

 僕を吊るして襲おうとしておきながら、何が夕飯だ。

 力一杯恨みと怒りを込めて撃った魔法は、けれどもあっさり吹き散らされてしまう。

「はい。残念でしたー」

 振り向きもせずにそいつは言って、僕の首にはまた首輪が現れる。

 フュイアルさんは勝ち誇った顔で、僕の首輪の鎖をぐいぐい引いた。

「おとなしくしてれば何にもしないのにー」
「うるさいっ……! 離せ変態上司!!」
「だめ。食事して暴れない約束くらい、守りなさい」

 くっそ……なんで敵わないんだ……
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

処理中です...