誰より重くて愛がないと言われる僕の後ろには、いつも監禁趣味のあいつがいる

迷路を跳ぶ狐

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45.我慢した俺を称えてよ


 ベッドの上で怯える僕を、光の粒たちはすでに取り囲んでいる。逃げ場がなくなり、もう動くことすらできない。

「いやあ……ふ、フュイアルさん!」

 すがる思いで見上げるけど、そいつは僕を見下ろし、微笑んでいた。

「さて。お仕置きしようか?」
「はっ!? お、お仕置き!? な、なんのだよ!!」
「俺を殺そうとしたのと、通行人を毒殺しようとしたこと、お風呂で気絶して俺に我慢させたお仕置き」
「そんなの知らない! 全部言いがかりじゃないか!! それに、最後のやつ!! なんだよ我慢させた仕置きって!!」
「だって、風呂上がりで火照ったトラシュなんて、据え膳どころか、ご馳走……それを前にして我慢した俺を称えてよ」
「どういう理屈? 強姦をしなかったから褒めろって、本当にどんな理屈なんだよ!」
「じゃあ、お仕置きと媚薬とどっちがいい?」
「どっちもやだ!! なんだよその二択!! 死ね!! 死んでこの世から消えろ!」
「じゃあ媚薬」
「うっ……」

 お仕置きなんて、絶対に嫌だ。そんなのされるいわれないし、何でこんな奴にそんなことされなきゃならないんだ!!

 だけど、媚薬の魔法の方が嫌だ。

 あれが体の中に入ってくると、自分では全く制御できない快楽に襲われて、イキ続けながら延々悶え苦しまなければならない。

 怯える僕に、フュイアルさんは楽しそうに顔を近づけてくる。

「どうする? トラシュ。お仕置きと媚薬、欲しい方をおねだりして?」
「い、嫌だ……嫌っ…………」

 ベッドに手をついて僕に迫ってくるフュイアルさん。

 さっきまで嫌だと言って突き飛ばせたのに、その男の背後に飛ぶ媚薬の魔法を見たら、もう、何もできない。

 怖くて、体が震えているのがわかる。

 ガタガタ震えながら、僕はベッドの上で後退りした。

 こんな風に怯えたりしたら、フュイアルさんを喜ばせてしまう。

 案の定、そいつは、快感に顔を歪ませるようにして笑って、ベッドの上で野獣のように四つん這いになって、僕に近づいてくる。

「嫌なのか? 嫌なら……お仕置きしながら媚薬しかないな……」
「ど、どっちも……!? なんでそうなるんだよ!! いっ、嫌!! それはもっと嫌っ……」
「じゃあ、どっちがいいか言って?」
「うっ……」
「そんなに涙目になって煽るな…………どれだけ可愛いんだ……」
「はっ!? や、やだ……来るなよ!!」

 叫んで立ち上がる僕だけど、ピリッと、嫌な音がした。パジャマの裾が破れた音だ。

「な、なんで……なんだよ! これ!!」

 慌てて破れたところを手で押さえようとしたけど、今度は腕のところが破れてしまった。

 一体、どうなっているんだ。さっきまでなんともなかったのに、今は紙より脆い。

 裂け目から露わになる肌を、焦って隠す。

 何がおかしいのか、フュイアルさんは、焦る僕を見て、ゾッとするような笑みを浮かべた。

「そのパジャマ、簡単に破れるようになってる。少し動いただけで、ボロボロになるように……」
「はっ!? な、なんで……なんでそんなわけわかんないもの着せてるんだよ!!」
「そんなの、ボロボロの服着て、涙目になるトラシュを見たいからに決まってるだろ? もっと焦って泣けよ」
「はあっ!? い、意味分かんないっ……! 死ねよ!!」

 怒った弾みで、背中のあたりが破れてしまう。もうずっと手で抑えていないと、胸も、足も、じわじわ熱くなりかけた腰とその奥まで、この男の目に晒してしまいそうだ。

 ますます怯える僕を、フュイアルさんはずっと楽しそうに眺めている。

「可愛いぃー……ほら、もっとちゃんと抑えないと、トラシュのえっちなぱんつ、丸見えになるよ?」
「お前が着せたんだろ!! 僕のじゃない!!」
「ちなみに、今日のパンツは、紐」
「紐!?」
「腰のところ、見て」

 言われて、ビクビクしながら腰骨のあたりに触れると、細い紐が結んである。股間を隠しているのは、小さくて薄い布だけで、それをその紐が支えている。
 これ、紐を解いたら落ちるやつじゃないか!!
 もうすでに結び目はかなり緩くなっている。あと少しでも動いたら、紐が解けてしまいそう。

 慌てて両足をくっつけて、股を隠す。

 すでにパジャマはボロボロ。ほとんどパジャマの形をしていなくて、僕の体に布切れが絡みついてるだけになってる。これでパンツまで脱げたら、全部見られる。

 だけど、必死に隠す僕に、フュイアルさんは近づいてきて、ふざけたことを言い出した。

「勝手に逃げようとしたから、今日はたっぷり恥ずかしい思いしながら、俺に服従してもらうか……」
「は!? ふ、ふざけんなっ……!! 誰がっ……!!」

 涙目になる僕だけど、それはこの男を煽るだけだ。そいつは、ゾッとするような加虐的な笑顔で、僕に近づいてきた。

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