好きな人の「好き」を信じられない僕には、会長の束縛じゃ物足りません

迷路を跳ぶ狐

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6.俺に任せて

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 思いがけず会長に会えて、僕は舞い上がってしまう。

 けれど、会長が来て喜んでいるのは僕だけ。
 僕を取り囲んだ男達は、会長を睨みつけている。そして、さっき僕にめちゃくちゃなことを言ったフォーラウセが喚いた。

「生徒会長……ちょうどよかった。この新入生が、セルラテオ様に嫌がらせをしたんです!! 杖を折ったり、話を盗み聞きしたり……即刻、処分するべきです!!」
「悪いけど、全部聞いてたよ」
「は!?」
「君たちの話。セルラテオの方も、色々やってるみたいだね」
「そ、それは…………ま、待ってください! それだけではありません!! その男は、セルラテオ様に付き纏っているんです!!」
「そんなこと、ありえないよ。だってそこにいる新入生のディトルスティは、俺と付き合ってるんだから」
「は!?」

 フォーラウセは、目を丸くして、僕の方に振り向く。

 だけど、僕の方がびっくりした。付き合ってるって……
 さ、さっき告白されたんだから、そういうことになるのか!?? 会長……ほ、本当に、僕と付き合うつもりなのか!??

 真っ赤になる僕の前で、会長はさらに続けた。

「彼は俺の一番大切な人で、これから俺の番になる人。そんな人を虐めないでくれる?」

 会長に睨まれて、ヴィユザが慌てた様子で言った。

「だ、だけど……杖がっっ!」
「それは彼のせいじゃない。魔力が使われた跡があるか、調べてみる?」
「……」

 ついに彼らは黙ってしまう。返す言葉もないんだろう。

 会長……さすがです!! もう、会長のことが輝いて見えます!!

 それなのに、ヴィユザは、会長に振り向いて「まだ……そいつに対する疑いが晴れたわけじゃないからな」と、捨て台詞を吐いて、演習場がある方に歩いていった。

 会長に向かって、そんなことを言うなんて……あいつ、反省してない。

 あ、でも、今回のことは、そもそも、僕が盗み聞きなんかしたせいでもあるのか。
 それで会長の手を煩わせてしまうなんて……ごめんなさい、会長。次からは、もっと気をつけてやります!

 廊下に残ったのは、僕と会長だけ。

 どうしよう……ちゃんと謝らなきゃ。会長、怒ってるのかな……

「あ、あのっ……! 会長っ……!」

 声をかけたら、ほとんど同時に会長は僕に振り向いて、「大丈夫?」って聞いてくれた。

「は、はいっ……あ、ありがとうございます……」
「……何があったのか、今日の夜に聞くから。生徒会室に来て」
「え!?」
「もちろん、君のことは疑ってなんかないよ。だけど、こんなことがあったら、話を聞かないわけにはいかない。セルラテオのことも……」
「はい……」
「じゃあ、早く演習に行って」
「ええ!? でもっ……僕、あのっ……! す、すみませんでした!! 盗み聞きは、あいつらの言うとおりで、そのせいで会長に迷惑を……」
「分かってるよ。聞いてたから」
「き、聞いてたって、なんで……? どうやって……」
「たまたま歩いていたら聞こえた」
「たまたまって……授業中なのに?」
「うん。たまたま。ほら、もう行って。遅刻したら、それだけでだいぶ減点になっちゃうよ?」
「はい……」
「頑張ってね。セルラテオたちのことは、俺に任せてくれればいいから」
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