不自由で自由な僕たちの世界。

広崎之斗

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二章:共助/共犯

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 少しばかりうたた寝をして目が醒めた時には、車は見知らぬ土地を走っていた。街の外、西側の道。それはユーマにとっては未知の場所であったし、風景はまったくつまらないものでもあった。
 何もないと聞いたことはあった。だからこそこのあたりの土地を再開発するという案は浮かび、そして沈むを繰り返しているとミナトが言っていたことを思い出す。
 人が集まらない場所というのは何かしら理由があって、結局のところ、人がいなくなってしまった土地を再開発するというのは骨が折れて金の無駄遣いでしかないという。
 理由がどんなものかはその土地それぞれである。単純に利便性が悪いとか、その土地を現状保有している人間が厄介だとか。街の西側にある土地というのは、そのどちらにも属しているという。何より今住んでいる人々というのも、街に住めない者たちばかりである、というのも理由の一つであり開発が進まない最もたる理由だと聞いた覚えがあった。
「あんまうろつかない方がいい」
 ハチの言葉にユーマは視線を運転席に向けた。自分が起きている気配に気づいて話しかけたのだろうか。
「どうして?」
「治安が悪いってのは知ってるだろ?」
「聞いたことはある。でも俺だってある程度は相手できる」
「だけど数が半端ない。ここは流浪者が特に多い場所だから」

 流浪者とは、大きく括れば家のないものたちの事を呼ぶ。彼らは生まれた時から、もしくは、何かしらの事情によってそうなってしまったもの達である。
 だが、ただ家がないだけならば流浪者とは呼ばれない。それならば然るべき場所に手続きさえ行いに出向けば、最低限の生活は保護されるようになっている。ただこの場合、国からの仕事を請け負うことになり、これが低賃金であることが多く、自ら流浪者となる事を望む者もいる。
 そして流浪者とは、結局のところ国からは居ないものとどこかで処理された、戸籍上は死に、現実には生きている者たちのことといえる。
 彼らは生きるためにならば何でもする。故に、多くの組織の中でも、流浪者は消耗品としての価値がある。

「じゃあこの辺は……」
「自分が死のうと相手が死のうと関係ない奴らばっかりだよ。だからこそ、無理難題の仕事を請け負うなんでも屋になるのが殆ど。その中でも腕のある奴は組織からスカウトがかかる事もある。居たでしょ、ユーマの組織にもそういう奴」
 ユーマはゆっくりと頷き肯定した。そういう者は反抗的であるものが多い。だが、時にはそうでなく、ボスに従順な奴もいる。そういう者は、最初からここに来るために流浪者となり、多くの無茶をして、スカウトを待っていた者もいるという。
 流浪者たちは国の記録にない。そういった人間を無くし、表向きには福祉を充実させるためにナノボットの全国民導入が検討されている。だがもちろん反対派も多くいる。
 それでも国はナノボットの導入を強行突破したいと思っている。むしろその為に着々と準備は成されていて、あとはナノボットをどこが手がけるかという点だけになりつつあり、その一社に名乗りを上げているのがミナトが率いるハデウスだった。
「このあたりの連中はそれなりに長い付き合いだ。だからある程度までは大丈夫。でも俺が知らない範囲に住む奴らは味方じゃない。だから単独行動は禁止」
 ハチの言葉にユーマは頷いた。
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